ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

自由が丘途中下車

2008-01-30 22:11:22 | 
何とはなしに、自由が丘で下車し、東口の「マリークレア通り」を彷徨った。会社の行き帰りにいつも通る駅なのに、不思議と今は立ち寄ることもなくなった。

そういえば、東口の駅前にあった「青山ブックセンター」がなくなっている。
再び、東京に出てきて1年も経たない頃、ビルの地下一階にあるこの書店で、C子を見た。いや、見たような気がする。声をかけれなかった。それどころか、僕の方で、別の書棚へと姿を隠した。だから、その子がC子だったかどうか、定かでない。けれど、確かにC子だったとずっと今も思っている。

C子は、東急線と交わる、大井町線の旗の台近辺の会社の研究所に一時的に勤務してることを、僕は知っていた。東京に出てくる前の1年間は、何度か東京に住むC子に会いに訪れた。大学院を卒業したC子は、さる大手電気通信会社に就職した。
田園都市線の美しが丘にあったC子の住む会社の女子寮に何度か行ったこともある。仕事のことや東京での生活のことをいっぱい聞いていた。

1年間の遠距離恋愛の末、僕はC子に「三行半」を突きつけられた。
4年間のC子との同棲生活と1年間の遠距離恋愛にピリオドが打たれた。

当然である。C子の気持ちなどそっちのけで、僕は、憑かれたように、くだらない営業の仕事に没頭していた。C子と真摯に向き合い、今後の僕らの進むべき進路や関係について、真面目に考えることを放棄していた。何もかもに自信がなく、よって仕事に逃避することで、そんな自分の立場やC子のことから目をそらし、結果としてC子の思いまで踏みにじってしまった。最低な男に成り下がっていた。

このブログのモチーフでもある「1枚の写真」は、この時に僕の手元に再び戻った。

はたと気がつき目を覚ました時には、すべて取り返しのつかない事が多い。会社を辞職し、僕は東京に出てきた。もう、どうにもならなくなっていた。それでも、2度ほど会ったりしたが、もうC子の気持ちは僕のところにはなかった。C子は、僕よりずっとしっかりした、その会社の誰かに心を決めていたようだった。

東京で仕事も決まり、もうC子には会うまいと思った。電話帳からC子の名前を消した。仕事はきっちりしたが、その後は六本木あたりを飲み歩く日々が続いた。
そんな惨めな姿など、当然、C子に見られたくもなかった。だから、青山ブックセンターで、C子を見かけたとき、僕はとっさに姿を隠したのかも知れない。
無様で、情けなく、これ以上ないくらいみっともない当時の僕であった。

その後、僕のことを心配してか、C子から1度だけ電話がかかってきたことがあった。書店で見かけた話をした。
「声をかけてくれたらよかったのに・・・」
そんなことを言われた。それっきり、あれからもう15年も経ってしまった。
そんなこともあった自由が丘である。そういえば、マリークレア通りの美容室に、C子はよくカットに来ていたという。もう、この近辺にはいない気がする。

女は男よりずっときっぱりしている。
男は見掛け倒しで女よりずっと女々しい。


帰りに、自由が丘「無邪気」にて「特豪快麺(全部入り)」(900円)を食べた。
冷え切った心と体にとんこつ味がじわりとしみた。
そして酒屋で、「I.Wハーパー」と氷とブラックペッパーチーズを買った。

今日はロックでしんみりといこうか。


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