僕から無くなっていくもののひとつに、『言葉』があります。
言葉と言っても普通に喋ったり書いたりする言葉ではありません。
まだその域に達するには多少の時間が必要でしょう
僕が育った田舎でしゃべっていた『言葉』です。
東北の片田舎だから、いわゆる〝ズーズー弁〟というやつです。
田舎に帰ってもなかなか話せなくなった。
聞いて意味はわかりますし、とっても懐かしいのですが、
自ら話すことにとても抵抗を感じることに気がつきました。
前はそんなことはありませんでした。
いくらか時間がたてば、そのうち慣れてそれなりに喋れたのですが、
そういうわけにはいかなくなっているようなんです。
単語をいろいろ思い出してみました。
こんな言葉は聞いたことがありますか?
がおった
これは〝つかれた〟という意味です。
かばねやみ
なまけもののことです。
たんぱら
怒ることです。
おだずもっこ
あぁ、子供の頃よく言われたものです。
人気者に与えられる言葉です。面白い人のことを言います。
ふざけてばっかりで人を笑わすのが上手な人のことでもあります。
抱腹絶倒ネタを抱えきれないほど持っていたっけ。
今考えるとくだらないことばかりだったが死ぬほど笑えた。
僕は天下一品の〝おだずもっこ〟だった。
あれからずっと遠くに来てしまった僕だが、そうしたサービス精神だけは、
今も忘れず心のどっかにある。
けれど、田舎の言葉がなかなか出なくなっているのと同じで、
なかなか素直には出てきてくれなくなっているようだ。