原作はコミックスで、テーマが面白そうと感じて(最初の6巻くらいまで)読んで知っていたものです。
それをVFXを熟知・その応用が上手い山崎貴さんが監督すると知り、公開を楽しみにしてました(^_^)
映画館は一番近いユナイテッド・シネマ新座、上図は開映15分くらい前の客入り状態ですが、最終的にはもうちょっと増えていたかもしれません。客層は中高年齢層中心で70代以上の夫婦連れという方も目立ってました。主役・菅田将暉さんの効果もあってか女性比率も3割以上だったかなと...。
戦艦大和撃沈...衝撃的なこのシーンを冒頭にもってくる思い切りの良さ!すさまじいですし、CGを使っての表現に大きな進歩も感じられました。甲板にいる多くの乗組員一人一人が見て取れるほどの緻密さで、応戦し、傷つき、傾く船体にしがみつき、やがて転覆・崩壊していく様は...ほんとうに痛みがスクリーンから迫ってきて辛い気持ちにもなりました。
水上特攻した大和への爆撃描写はあらゆる映画作品で目にはしてきましたが、今回初めてやったんじゃないかなという表現がありました。
大和へ向かって迫ってくる米軍機を艦側面の機銃で迎撃し撃ち落とすシーンがあったのですが、墜落する米軍機からパイロットが脱出し、海面にパラシュート降下する...まぁここまでなら他の映画でも観たことあるような気もするのですが、そのあと米軍飛行艇が着水、速やかにパイロットを救出・収容し、再び飛び立っていく...こんなシーンは初めてです(戦時の体験手記を元にした実話だそうです)。
それを撃ち落とした大和機銃の兵が唖然とした表情で見守るのですが...日米の感覚の違い、兵(人)と兵器のどちらを大事にするか、そしてその結果がどう響いたのか...この短いシーンに全てが集約されているようにも見えましたし、強い皮肉として印象的でした。
大和は史実の通り、悲痛な最期を遂げるのですが...戦闘シーンはこれだけといってよく、12年遡って海軍省における新型戦艦建造計画会議と、その顛末を描く人間模様がメインとなります。
海軍の派閥抗争...大艦巨砲主義派と、空母と航空機による新しい発想の二派が争う訳で、その結果は冒頭が全てな訳ですが、スンナリと超弩級大型戦艦が決まったのではなく、なんとか阻止したい山本五十六が元帝大の若き天才数学者をもって臨む推移がスリリングで面白い!原作よりもさらにカリカチュアを強め、監督の山崎さん得意のハイテンション演出が上手いこと噛み合わさって、途中途中で笑いをさそうことも多くて、素晴らしい作風になってました(^_^)
キャスティングもとても良い具合で...。
原作イメージも損なっていない上、一癖も二癖もあるベテラン俳優さん達が絶妙な演技を見せてくれる!
その中でも大角海軍大臣役の小林克也さんが抜きん出て素晴らしかったなぁと(*^o^*)
あの昔ながらの耳馴染みのあるDJボイスでどこか惚けてナァナァで済まそうとする事なかれ主義な感じとか、大和の模型を前にして「おぉ...格好が良い!」とお茶目に興奮する姿が...往年のスネークマンショウも彷彿させられて、良い味わいを醸し出してくれるんですわ...(*^ω^*)
山本五十六役の舘ひろしもピッタリでしたし、主人公・櫂直のサポート役・田中少尉なんかも原作では地味な存在を柄本祐さんが面白いキャラとして見事に引き上げていて、主役を食うのではなく、嫌味なく引き立て役として徹底していて素晴らしかった。
平山造船中将役の田中泯さんもシブく、ラストに見せる悪魔の囁きっぷりも真に迫ってましたしねぇ...もう語り尽くせないほど滋味あふれていて、本当に俳優陣の演技が際だった良い映画になってました。原作はまだ完結してないのですが、キモになる部分を切り取って一本の映画作品として上手にまとめた...これに尽きますね(^_^)
評価については何を期待するかで別れる気もしますが、戦争映画ではなく、会議と推理劇として観るべき作品です。
ラストで、あれほど反対していた山本五十六が完成した大和に乗艦するシーンが...ある意味で皮肉たっぷりなシーンですが、そのカメラワークも構図も「トラ・トラ・トラ」での山本が戦艦長門乗艦シーンそっくりで、
「海ゆかば」でも演奏するんじゃないかと(^_^;...まさしく山崎さんのオマージュを感じて、映画ファンとしてはちょっとニヤリときます(*^o^*)
本日放送、日テレ「世界一受けたい授業」より。
もちろんパンフも購入。
目次が付くほど中々内容充実しています。
見開きもあって大きな図解もあって見応えあり!
グッズも、この手の映画作品にしては多め。
でも買う気になれるものはなく...普通に櫂使用イメージのメジャーを商品化しても良かったのでは?(^_^;
そんなこんなでなかなか満足度の高い作品でしたね。
原作も途中で挫折状態でしたが、読み直してみようかなと。