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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

天誅  


しばらく壁に掛けていた掛軸『豊干と虎図』は尊王攘夷派の絵師で、天誅組総裁藤本鉄石作である。新聞の四コマ漫画のような虎の表情を見ると、敵陣に突撃して壮絶な討死をするはとても思えない。人生とは単純なものではないなと思う。 作業机の上の壁に何か飾りたい、とずっと思っているのだが、どう考えても自分の作品は飾れない。制作時の腹の中、企みの念がやかましくて、とても無理である。野坂昭如が雑誌の取材などで家族写真を撮られるのが嫌だと言っていた。あんなことして作った家族だと思うと恥ずかしくてしょうがない、という意味のことを言っていたが、実にまともな神経の持ち主だと思った。 飾る物を決めた。長谷川潔作銅版画の1962年製のコロタイプによる複製である。自分では及ばざるくらいなら過ぎたる方がマシ、という割には、音がまったく聴こえて来ないような作品が好きである。砂町銀座の中に額屋があるので近いうちにマットを頼んで来よう。



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