【Ⅱ 宙宇のきのこ】『寒気氾濫』(1997年)62頁
参加者:泉真帆、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:鈴木 良明
司会と記録:鹿取 未放
141 宇宙から収縮をしてきしもののかがやくかたさ鬼胡桃なり
(レポート)(2014年7月)
鬼胡桃も実として生っているときは、普通の木の実とそんなにかわらないが、収穫をして殻付きの状態になると、歌のようにその姿が顕わになってくる。その風貌は、地球的なものとはとても思えず、永い時間宇宙空間を漂って凝縮した隕石のような照りと固さを持っている。(鈴木)
(発言)(2014年7月)
★『隕石』という句集を渡辺さんがお出しになったこともあって、鈴木さんの評とそれが合致して
嬉しかった。それと「かがやくかたさ」というのは何か不動のものへの憧れなんでしょうか?
(泉)
★胡桃って脳の相似形のような気がいつもしている。そして宇宙からそれが降ってきてことんと目
の前に転がっている感じ。「かがやくかたさ」ってそういう神秘かなあ。(鹿取)
★胡桃を風貌と捉えたレポートがいいと思いました。ちょっと修行者みたいな感じがして。(慧子)
確かに梅干しのしわしわ感とか色合いとか、生々しい感じも脳に似ていますね。
渡辺さんの歌は、鬼胡桃がリリカルで、いい味出ていますよね。この硬質感がいいですね。