かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠243(中国)

2014年07月11日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の旅の歌【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
                  参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
                  レポーター:T・H
                    司会とまとめ:鹿取 未放


183 彼方越ここは呉地なる六和塔の十三層上春たけてをり

     (レポート)(2009年11月)
 今、先生は 六和塔の十三層上に居られる。はるかかなたを眺めると、かつてあちらの方は越の国だったなあ、そして今、私は呉と言われた国の六和塔の十三層にいる。周りを見渡すと、花咲き鳥が歌う春たけなわである。旅情を充分に感じておられるご様子が、ほほえましい。それにしても馬場先生の中国の歴史・地理・書物に関するご造詣の深さには、脱帽です。 (T・H)
   呉、越:春秋戦国時代(BC600年~500年頃)の覇者。


    (意見)(2009年11月)
★ 呉越同舟(N・I) 


     (まとめ)(2009年11月)
 六和塔は、かつての呉の地に立っているらしい。その十三層は60メートル近くあるということだから上れば越の国だった地が見渡せるのであろうか。呉越同舟の語源になった争いの地が両方ながら見渡せる高層に登って、何事もなかったかのような春景色の広がりを眺めていると、さまざまな感慨がわくのであろう。「春たけてをり」の結句に寂しいような明るいような茫漠とした気分がにじんでいる。ちなみに呉越の戦いは春秋時代の話で、呉が滅亡したのはBC463年のことである。また、紛らわしい話だが、六和塔は970年に〈呉越〉という国の王が建てたものだそうだ。(鹿取)

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