かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠139(ネパール)

2015年06月13日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の外国詠【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)87頁
           参加者:N・I、曽我亮子、藤本満須子、T・H、鹿取未放
           レポーター:T・H
           司会とまとめ:鹿取 未放


139 馬なければ歩みきれざりき高地ムスタンゆきゆきて四本(よもと)の柳植ゑきつ

     (レポート)(2009年4月)
 今、馬場先生は、ようやく高地ムスタンの地にたどり着き、4本の柳を植えて来られた。これは今回のネパールへの旅のメイン・イベントであったろう。1本ではなく4本の柳というところがいい。それも柳である。近くに川が流れているのだろうか。風に靡く柳の姿を思い浮かべるだけで、気持ちが和らぐ。そのムスタンの地へは、馬がなければ来れなかった。馬が唯一の交通手段である。「ゆきゆきて」の語句にそれまでの道程のご苦労が偲ばれる。(T・H) 


      (まとめ)(2009年4月)
 行動半径を広げようとすれば、この土地では馬に乗るしかない。林檎を食べた農場の向かい側に、鱒の養殖場などがあった。そこに行くにはカルガンダキ川(幅70~80メートルといったところか)を渡らないといけないのだが、もう浅瀬ではなく、馬の腹くらいまで水かさがあった。素人はとてもそんな川を馬で渡ることが出来ないので、何人かの馬子さんたちが馬だけを向こう岸へ渡してくれた。われわれは材木を一本渡しただけの橋を幾つか渡り継いで向こう岸にたどり着いた。鱒の養殖場などを見学した後、馬に乗って更に河原を遡行し、広大な河川敷のような所に植樹をした。そのうちの幾本かは背丈ほどに育っていたと10年後にこの地を再訪した友人が教えてくれた。
 「ゆきゆきて」は「伊勢物語」の東下りを連想するが、旅のあてどないさびしさがにじんでいる。(鹿取)



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