かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠312(トルコ)

2016年05月24日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子旅の歌42(11年8月)【キャラバンサライにて】『飛種』(1996年刊)P141
    参加者:N・I、崎尾廣子、T・S、曽我亮子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部慧子
    司会とまとめ:鹿取 未放

312 うら若き駱駝は夢をみるといふキャラバンサライの胡桃の木下

     (まとめ)
 311番歌「キャラバンサライの廃墟に胡桃の木ぞ立てる机を置きて眠る人あり」を見ると、人間だけが涼しい木陰の机の上で眠っている図と読めるが、つづくこの歌では駱駝もその木陰の恩恵を受けているのだろうか。上の句は短歌的独断かもしれないが、「うら若き駱駝」という設定が何とも魅力的である。涼しい胡桃の木下で若い駱駝の見る夢は、きっとやすらかで楽しいものであろう。(鹿取)


      (レポート)
 駱駝は目を閉じているとも眠っているともあきらかにしていない。「うら若き駱駝は夢をみるといふ」の伝聞につづきて「キャラバンサライの胡桃の木下」と場を提示しているので、駱駝はそこに眠っていると読者は確かな想像をする。上の句の伝聞形と下の句の場が双方をよく活かしあっていて、作者のこのような手法・構成を歌らしいと思う。まぶたのふくらみ、大様でゆったりした面様は、ある人格を思わせたかもしれない。人間の若いほどよく夢を見るということへ、駱駝を重ねたのであろう。(慧子)


      (当日意見)
★上の句、ほんとうに誰かに聞いたのか、自分の想像か。(T・H)
★人間からの連想ではないか。(慧子)
★そうすると、人間の若いほどよく夢を見るという科学的な説があるんですか?(鹿取)
★いや、そういうことを巷で聞いたような。(慧子)



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