馬場あき子の外国詠 ⑦(2008年4月実施)
【阿弗利加 3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P171
参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・S *レポートの表記は、句読点・誤字脱字を含めママ。
司会とまとめ:鹿取 未放
62 アフリカの乾ける地(つち)にとぐろなすもの飼ひならし老いゆくは人
(まとめ)
眼前の蛇つかいを見ながら、ふっとこの老い人の生活を思っている。アフリカの過酷な風土で長年蛇を調教しながら生きてきた人間、あくどいようでもそれは生活の為である。その点では憎い顔をした蛇使いながらそこはかとない悲哀があり作者の同情がある。蛇と直接言わないで61番歌( すべらかにとぐろなす身を解く蛇のいかなれば陽に涼しさこぼす)を受けて「とぐろなすもの」と言っているところが面白い。結句も「人は老いゆく」となだらかに用言で止めず、体言止めで人を強調したところにも作者の思いが出ている。「アフリカの乾ける地」という生きる場の提示が、下句をよく活かしている。(鹿取)
(レポート)
この乾ける地で蛇と共同体である。生活していく以上蛇を飼い慣らしまた自分もかいならされて老いて行く。生きていく。ここに寂しさがある。(T・S)
(当日意見)
★レポーターは「自分もかいならされて」と書いているが、歌ではそうはいっていない。比喩的に
アフリカという過酷な土地に「かいならされて」ということなら言えるかもしれないが、そうい
う意味ならレポートにはもっと言葉を補わないといけない。(鹿取)
★この蛇使いには、他になりわいの道がないのだ。(Y・S)