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反骨のコツ  団藤重光・伊東乾

2009年06月22日 00時10分00秒 | 書評 その他
司法試験を受験していた時代は、
前田先生の学説を必死に勉強していたので、
団藤先生の学説とは若干系譜が違っていました。

本書ではさらっと注釈で触れられているだけですが、
刑法学には違法性論に関して、行為無価値説と
結果無価値説とが激しく対立しており、
団藤先生は行為無価値説の大家です。

僕が受験生時代は、団藤・大塚の流れをくむ大谷先生の学説が
一世を風靡しており、対立する学説として前田先生がいました。

前田先生や以前紹介した「刑法入門」岩波新書の著者山口先生は
結果無価値説を採ると言われています。

受験生時代は、憲法とともに刑法が最も好きでかつ得意でしたね。
演繹的論理思考がわりと自分の思考方法にあっていて
理解しやすかったイメージがあります。

本書は、東大法学部学部長、最高裁判事、宮内庁参与を歴任され、
刑法学に多大な功績を残された団藤先生に対する新進気鋭の学者
伊東乾氏によるインタビューをまとめたものです。



戦前から学者として活躍されていた団藤先生だけに
5・15事件や2・26事件、美濃部達吉と天皇機関説などが
歴史上の事実ではなく同時代の出来事として語られているところが
非常に興味深かったです。

また、教え子である三島由紀夫を語るところなどは
団藤先生の人間的で、温かい人柄がうかがえます。

団藤刑法学の思想的背景に陽明学があり
「反骨精神」が底流に流れていたというのは
意外でした。

広辞苑によれば、
陽明学とは、明の王陽明が唱えた儒学で、
初め朱子学の性即理説に対して心即理説、
のちに致良知説、晩年には無善無悪説を唱えたとされています。
朱子学が明代には形骸化したのを批判しつつ
明代の社会的現実に即応する理を打ち立てようとして興り
やがて経典の相対化、欲望肯定的な理の策定などの新思潮が
うまれたとされています。
日本では、中江藤樹、熊沢蕃山、大塩平八郎らに受け入れられた
とされています。

本書でも以上の三者のほか、山田方谷の名前も挙げられていました。
団藤先生は岡山の出身で山田方谷の影響を受けているのですね。
体制内から体制を批判する反骨精神を貫くことで
最高裁における数々の少数意見を書いてきたそうです。

「反抗と反骨とは違う」
反骨とは、権威・体制に媚びることなく、
安易な世論に常に批判精神を失わぬ生活態度をいうと
されています。
これに対して、
反抗とは、親や目上の人の言うことをきかずなんでも逆らってみたり、
自分の主張を押し通してみようとしたりすることをいいます。

自戒を込めてですが
「反骨精神」は、今の若者に欠けているものかもしれませんね。

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