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フランチャイズ開業&読書日記・・・どこまで行くの?

2010年7月からフランチャイズ店の営業開始。サラリーマンを辞めての再スタートになります。

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元NHK看板プロデューサーが書いたNHKの内幕小説

2010年03月01日 00時01分00秒 | 書評 小説系
ガラスの巨塔
今井 彰
幻冬舎

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著者は「プロジェクトX」を立ち上げた
NHKのプロデューサーである今井彰氏。

ほぼ、今井氏の半生の沿った形で展開する小説です。
三部と最終章という構成になっています。

第一部では、今井氏をモデルとする主人公西悟の
巨大公共放送での下積み時代と次第に頭角を現す様を描きます。

第二部では、「チャレンジX」を立ち上げの苦闘と、
次第に人気番組へと成長する過程で深くなっていく
実力者の会長との交遊関係を描いていきます。

第三部では、一転して、公共放送局で起こる数々の不祥事によって
実力者の会長が失脚。それとともに周囲からの主人公西悟への
風当たりも強くなり、ついには「チャレンジX」自身で起こる
ねつ造疑惑がきっかけで、転落していく様子を描いています。

最終章では、チャレンジXの打ち切りと、
西悟の退職時のトラブルが描かれています。


2000年から2009年あたりまでの
外からは伺い知ることのできなかった
NHKの内部を部分的にせよ垣間見ることができ、
それはそれで面白かったように思います。

ただ、読後感がそれほど爽やかではないのは
結末の「やるせなさ」だけでないでしょう。

著者の半生を描いているだけに
主観的な思い入れがとても激しい印象を持ちました。
ともすれば、鼻につく自慢話のオンパレードになりかねない、
数々の受賞歴や会長との交遊歴、番組への自負心。
一方で、周囲へのあまりにも激しい批判と攻撃が
かえって偏った見方なのではないかと
読者に思わせてしまうアンバランスな表現。

やや客観性が欠けるので
内幕小説としての信頼性を損なっているように思います。

確かに一方的一面的に書けば、わかりやすく面白いですが
内容が薄っぺらくなってしまいがちです。
本書はみごとにその落とし穴にはまっています。

物事には二面性があり、光と影があるはず。
あまりに偏った一面的な見方は
読者の共感を呼びにくいと思います。

もっと客観的にNHKの問題点を
あぶりだすような描き方があったはずですが、
人間同士、特に男の醜い嫉妬によって陥れられた
一人の有能な人間の物語というような展開をしてしまっています。
それではありふれた小説になってしまいます。
しかもそこに主観的な思い入れが入り込んでしまっているので、
読者が感情移入しずらい。
仕事はできるけど職場の困ったちゃん西悟の独善性が
目につきすぎてしまいます。

また、
基本的には、西悟の視点がこの小説の基軸なのですが、
所々で第三者の視点が混じったりする視点のブレが
小説の完成度を著しく落としています。


題材がいいだけにとても惜しいなと思いました。


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狼花 大沢在昌著

2010年02月04日 00時04分52秒 | 書評 小説系
新宿鮫の第9弾。
シリーズが長く続きすぎると
当初の驚きが薄くなると同時に
期待感が年々高まるので、
読後の印象が期待外れになりやすくなるのは
仕方がないかもしれません。

それでも、大沢在昌の『新宿鮫』は
よくできていると思います。
それは、本書が単に警察内部の状況を
描いているだけでなく、
底流に流れる著者の世界観が
きちんと表現されているからだと思います。


『警察官という職業は、
人間の最も人間的な面を直視する。
それは情や憎しみの汚泥に首までつかる仕事だ。
その頂点に立つキャリアが、
非人間的なまでのエリートであることはある意味、
必要な要素なのだと、現場の人間は感じるときがある。
人間の最も人間的な面と向きあう仕事の統率者であるからこそ、
情に流されない非人間的なエリートがあたるのが
ふさわしいのかもしれない、と』

警察小説は今、隆盛を極めています。
でも、こういう世界観・人間観を
きちんと示せる警察小説は
少ないのではないかと思います。
『新宿鮫』は今の警察小説ブームのきっかけを
つくった作品です。

本作品で新宿鮫シリーズは一つの区切りがつくようですが、
今後もしっかりした著者の人間観が底流に流れ、
人間の業をきちんと描かれた
作品を読んでみたいと思います。


狼花―新宿鮫〈9〉 (光文社文庫)
大沢 在昌
光文社

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社会問題になっている外国人犯罪を
モチーフに、警察行政の方針も絡めて
警察内部の問題も浮き彫りにしながら、
馴染みの鮫島や香田との対立、
因縁の仙田との決着が描かれています。


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ワイルド・ソウル 上下 幻冬舎文庫 垣根涼介著

2009年11月27日 00時45分11秒 | 書評 小説系
「君たちに明日はない」「借金取りの王子」を
先に読んで非常に興味を持った垣根涼介。
「借金取りの王子」のあとがきで絶賛されていた
『ワイルド・ソウル』を読みました。

気に入った著者をたまたま発見すると
その著者の作品を芋づる式に読んでいけば
結構はずれがありません。

最近は、小説をあまり読まなくなっていたのですが、
ひさびさに読んで、とてもおもしろかったです。

大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の
三章を受章した本書。息もつかせないストーリー展開に
わくわくドキドキしながら読みました。

どちらかというと上巻のブラジル移民の悲惨な状況と
日本政府の愚策振りがビビットに伝わる内容に
嵌まってしまいました。


ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)
垣根 涼介
幻冬舎

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ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
垣根 涼介
幻冬舎

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本書のテーマ設定となっている
ブラジル移民政策について
少し調べてみると
1908年に始まったブラジル移民は
今年で101年。
高賃金・高待遇の宣伝に騙され
移住を決意した日本人に待っていた現実が
非常に過酷なものだったことは事実なようです。

そしてそれが外務省による
無謀な政策に起因しているようです。

今も昔もとんでもないことをしでかしている役人が
政策中枢には存在しているようです。

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借金取りの王子 垣根涼介著

2009年11月23日 00時08分59秒 | 書評 小説系
垣根涼介の本は、前作の『君たちに明日はない』に続いて
2作目ですが、本書も面白かったです。

無駄のない文章が読みやすいだけでなく、
舞台設定のち密さや
心理描写の巧みさが
物語にリアリティをもたらしています。

小説家の創造力というものは
素晴らしいと思える作品です。

リストラにあったわけではありませんが
退職の意思をつげる際の面談をする方、
される方の両方の立場を経験したことがあり
本書のような心理の推移には実感がこもります。

これを小説家という職業は
想像で描くことができるのですから
その能力には賛嘆してしまいます。


借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)
垣根 涼介
新潮社

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内容は5つの短編からなり、
File1は、百貨店業界、
File2は、生命保険業界
File3は、消費者金融業界
File4は、旅館業界
File5は、人材派遣業界
にまつわるリストラの話です。

殺伐とした舞台設定でありながら
人間の温かさを感じるエピソードを加え
だからと言って甘ったるいところのないストーリー展開が
この作品の魅力になっています。


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ラストワンマイル 楡周平著

2009年10月15日 01時19分09秒 | 書評 小説系
楡さんの小説は『Cの福音』からのファンですが、
いろんなジャンルの小説を書いておられ、
正直言うと、当たり外れがあります。

しかし、ビジネス小説の分野に関して言うと
どれも「あたり!」ですね。
面白くて、興奮します。



新興のIT企業から取引条件の変更を迫られた
運送会社の一課長が考え出したビジネスモデルに
まつわる経済小説です。

楽天のTBS株買収騒動を想像させる舞台設定もあり
現実の社会とシンクロさせながら
小説を楽しむことができました。

本書は、『物流』についても考えさせる一冊です。

面白くてためになる、そういう本です。


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獣の奏者 王獣編 上橋菜穂子著

2009年09月29日 00時40分08秒 | 書評 小説系
『獣の奏者 闘蛇編』の続編です。



傷ついた王獣の子、リランを救いたい一心で、
王獣を操る術を身につけてしまったエリン。
王獣は「けっして馴らしてはいけない獣」
その理由をエリンはやがて身をもって知ることになる。



王獣を決して馴らしてはいけない理由は、
最初、王獣が猛獣であり人を傷つけるからだと
考えていましたが、もっと深い所に理由があったようです。
その理由は、この王獣編の後半で明らかにされますが、
まるで良質の推理小説を読んでいるようでした。
次に展開が気になってしょうがない・・・笑

ただ、本書はそれだけじゃない。
惹きつける魅力がたくさんあります。
それは読む者をしていろんな捉え方ができる
ストーリー展開になっている点にも
秘密があるようです。

王獣は国家にとっては
核兵器のような最終兵器です。
その扱いは国家機密のように
厳重にしなければならない。
一方で核原子力を生み出した
アインシュタインのように
原子力が兵器として扱われることに
苦しむ人もいます。

王獣であるリランと
唯一心を通じ合わせることのできるエリンは
王獣を兵器としてしか考えない国家との板挟みで苦しみます。

それでも結局は自らの信念に基づいて行動するさまが
この物語を単なるファンタジー小説ではないものにしています。


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獣の奏者 闘蛇編 上橋菜穂子著

2009年09月14日 00時35分21秒 | 書評 小説系
たまたまテレビをザッピングしていたら、
NHKで『獣の奏者 エリン』というアニメを放送していて
見いってしまってからファンになっています。

「獣の奏者 エリン」に原作本があることも知らず、
たまたま本屋で見つけ「ああ、原作があったのかと」

これまた知らなかったのですが
著者の上橋菜穂子さんはファンタジー小説の名手で
文化人類学の学者でもあるのですね。
著作も多くあり、数々の賞を受賞しています。


ファンタジー小説といえば、
僕の中では小野不由美の「十二国記」がべストワンですが、
それに匹敵するぐらい面白いです。



ストーリーは
獣ノ医術師を母に持つ主人公エリンが、
山中で天を翔ける王獣の姿に魅了され、
王獣の医術師になる過程を描く内容です。

一人の少女の成長過程が物語の軸になっていますが、
それだけでなく人間と動物の関係、
国と国対立など複雑な要素が絡み合って、
大人が読んでも十分読み応えのある内容になっています。

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選挙参謀 関口哲平著

2009年08月24日 23時40分46秒 | 書評 小説系
現在、衆議院議員選挙が実施され、
投票日まであと1週間を切りました。

とてもタイムリーな内容の
「選挙参謀」を読みました。

   

著者は実際にアントニオ猪木氏や野末陳平氏、大前健一氏、舛添要一氏らの
選挙事務局長を歴任しており、選挙参謀として活動しているだけに、
小説の内容はリアルで迫力がありました。

小説の舞台は、地方の市長選挙であり、
新人候補ではなく、現職市長の選挙参謀をする
主人公の視点から描かれています。

それだけに選挙の内幕は
クリーンには程遠く
えげつない戦術がこれでもかというほど
繰り広げられます。

市長選・知事選・国会議員選挙に
市議や県議が重要な役割を果たしていることが
よくわかりますし選挙事務所の設置場所や
ポスターの内容にそれぞれ重要な意味があることを
知ることができました。


選挙を10倍楽しめる小説です。


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砦なき者 野沢尚著

2009年08月09日 17時43分22秒 | 書評 小説系
江戸川乱歩賞受賞作「破線のマリス」の続編。
マスメディアに潜む悪意を浮き彫りにするサスペンス小説です。
著者の野沢尚さんは、2004年にお亡くなりになっています。



シナリオ作家として深くマスメディアにかかわってきたため、
マスコミの内情に詳しく、
マスコミの人間を描く迫真性には圧倒されます。


マスコミによって祭り上げられたカリスマが、
大衆を操作し、結局奈落の底に突き落とされる様は
かつてのホリエモン現象を彷彿とさせます。

あのときも、当初はホリエモンはマスメディアの寵児で
祭り上げられていたような気がします。

それが一転、逮捕のあとのホリエモン叩きもすさまじかったです。

この小説では、小説らしいエンターテイメントを追求するため、
殺人事件などが織り込まれていますが、
マスメディアのもつ危うさが一貫したテーマになっています。

マスメディアは、毎回反省しながらも同じことを
何回も繰り返しているような気がします。
マッチポンプのように
人気者をつくっては、たたきつぶす。
つくっては叩き潰す。

現実を振り返ってみれば、
押尾や酒井も、ある種マスメディアの中の犠牲者なのかもしれません。


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名もなき毒 宮部みゆき著

2009年05月31日 07時56分13秒 | 書評 小説系

「人が住まう限り、そこには毒が入り込む。
なぜなら、われわれ人間が毒なのだから。
・・・その毒の、名前は何だ。
私は、我々の内にある毒の名前を知りたい。
誰か私に教えてほしい。
われわれが内包する毒の名前は何というのだ。」


人間の持つ名もなき毒。

今週ぼく自身の職場での最近の一連の騒動が
「僻み」「妬み」「嫉妬」「猜疑心」「誤解」・・・
によって生じていただけに
その「名もなき毒」について深く考えさせられました。

そんな動機で、人はとんでもないことをしでかす。
そしてその人の持つその毒によって
周囲の人間を困惑と混乱の極致へと
巻き込み傷つけてしまう。
大切なものを失ってしまう。

『名もなき毒』を読みながら
現実的にも並行して『毒』に振り回されていたので
切実感や現実感がありました。


本書自体は、途中冗長感はあるものの
ラストの数10ページは読ませるものが
ありました。この数10ページがあるから
本書は優れた作品になっています。

ラストがいいと作品全体の印象が
よくなりますね。
ミステリー小説なので、
ネタバレになってしまうと
面白さが半減してしまいますが、
犯人自体には劇的な驚きはありませんでした。

ただ、宮部みゆきが人間の持つ業を『毒』と称して
小説に描こうとしているところが
魅力的な作品になっています。

それにしても宮部みゆきは文章がうまいですね。
文章の中に無駄な単語や表現がない。
推敲を重ねてるのか、
そもそも天性なものなのでしょうか?


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天使と悪魔 文春文庫

2009年05月26日 01時17分12秒 | 書評 小説系
ダン・ブラウンの作品では、「ダヴィンチ・コード」を読んでいましたが、
「天使と悪魔」は単行本でも上下の2巻・文庫本だと上・中・下の3巻もあり、
その分量に敬遠していました。
今回、映画化されると聞いたので、
映画を観る前のにちょこっと読んでみよう、おもしろくなかったら
上巻で読むのやめようって気で読みはじめました。
ところが、読み始めると止まらなくなりましたね。
ストーリーの展開のテンポがよく
説明がくどすぎず、少なすぎず
納得できる分量で、バチカンと科学の歴史上の対立について
説明されていました。



おもしろくて、なかなか本を手放すことができませんでした。
歴史上の秘密の解明だけでなく、
暗殺者の黒幕に関する謎解きも
2転3転し、はらはらドキドキしました。

映画化されていますが、
原作には原作のよいところがあります。

一つは宗教と科学の対立の関して
詳しい考察が述べられているところ。
特に、下巻でのカメルレンゴの演説内容には
読む者を感動させる力がありました。

また、映画に比べると原作の方がストーリーは複雑なので、
なぞ解き結果の納得性は原作の方が当然ながら高いです。

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異端の大義 (下) 楡周平著

2009年04月23日 00時10分10秒 | 書評 小説系


異端の大義(下)では、
東洋電器産業を飛び出した、高見龍平が
外資系企業で活躍する様が描かれています。

有能なビジネスマンであっても
なかなか転職に踏み切れない現実や
転職事情の厳しさなども描かれていて
リアルなビジネス社会をイメージすることができます。

外資系企業のビジネスに対する姿勢も垣間見れて
良質なビジネス小説になっているのではないでしょうか?

勧善懲悪なラストの描き方も、
留飲が下がり
満足いく終わり方でした。

楡周平の小説は若干当たり外れがありますが、
再生巨流とともにビジネス小説は「あたり!」だと
思います。

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異端の大義 (上) 楡周平著

2009年04月22日 09時49分02秒 | 書評 小説系
司法浪人をしていた20代の頃は、
サラリーマンに憧れていて、
ビジネス社会に興味があり経済小説を
よく読んでいました。

サラリーマンになってからは
自分の属している業界以外の業種の
経済小説を読んで想像をふくらましています。

楡周平著 「異端の大義」(上)は
電機メーカーの業界についての経済小説です。


巻末の解説では、モデルは三洋電機ではないかと書かれていましたが
読んだ印象では、
むしろV字回復する前のパナソニック(当時松下電器産業)の色彩も強いので、
パナソニックと三洋の複合させたものが
モデルなのではないかと思います。

日本の企業は結構大企業でも同族経営をしていたりして、
いい面もあるでしょうが、
それと同じくらいデメリットもあり、
異端の大義の上巻では、
同族経営のデメリットがデフォルメされて
これでもかというくらい嫌な面が描かれています。

主人公は、高見龍平。正義感と責任感の強い人物造型です。
対する湯下は、創業者一族に連なるエリートとして
傲岸不遜な人物として描かれ、対立構造がすっきりしているので、
面白く読めました。

内容的にも
電機メーカーが抱える問題点を
わかりやすく指摘しており、
またMBAなどの留学制度も
会社によっては必ずしもうまく活用できていない実態もわかり、
普段よくわからない他業種の実像が想像できました。

お薦めの作品です。

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40―翼ふたたび 石田衣良著 講談社文庫

2009年03月10日 00時03分56秒 | 書評 小説系
40歳になったら自分はどんな人間になっているんだろう?

池袋ウエストゲートパークで有名な石田衣良が
同世代の40歳の人生を描いた感動長編ということで
興味を持って読みました。

40―翼ふたたび 石田衣良著 講談社文庫


40歳といえば「論語」では「不惑」といわれ
平常心をかきみだされることがなくなるほど
物事の判断力がつくようなイメージがあります。
が、
現実にはそんなことはなく、迷いっぱなし、いろんなことに
まどわされっぱなしというような状態なのではないでしょうか?

本書の主人公喜一も迷える40代という感じです。
会社を辞めて、開業した事務所におとづれるさまざまな依頼人との
人間模様を一話完結方式でいくつかの話をまとめたものです。

僕が一番印象に残ったのは「ひきこもり」を
扱った話です。
高校時代から23年間、40歳になるまでひきこもった男との話は
心理描写が巧みで、感情移入してしまいました。

小さい頃は40歳ってものすごい大人のように感じていましたが
自分がその年に近づいてくるとまだまだ幼いな、
というのいうのが実感です。

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向日葵の咲かない夏  道尾秀介著

2009年02月16日 00時25分48秒 | 書評 小説系
道尾秀介さんの作品は読んだことがありませんでしたが、
「このミステリーがすごい!2009年度版」
「作家別投票第1位」という帯に惹かれて、
読んでみました。

向日葵の咲かない夏  道尾秀介著



最後まで一気に読むことができ
内容自体は重苦しかったですが
たいへんおもしろかったです。

ミステリーなので、ネタバレすることは
避けますが、幻想的で非現実的な物語のようにも
読めますが、見方を変えれば非常にリアルな小説でも
あるように読めました。

大人であろうと子供であろうと
人間が抱える闇とそれに耐えるために
どのような「物語」を作り上げるのか
本書は、その過程を丁寧に作り上げているのだと
思いました。

なぜ、蜘蛛がしゃべるのか?
なぜ、トカゲがしゃべるのか?
なぜ、猫がしゃべるのか?
なぜ、バッタがしゃべるのか?


大げさにいえば、
「創造」という小説の可能性にミステリーの手法をつかって
挑戦した作品だと思います。

文章自体も研ぎ澄まされていて
無駄な表現がなく
大変読みやすく、
最後まで読者を飽きさせない展開でした。

『人間は「物語」がなければ生きていけない』
という言葉を聞いたことがあります。

本書を読んでその言葉を思い出しました。

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