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組織の問題は古今東西いつでもどこでも―八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) 新田次郎著

2012年07月20日 02時00分36秒 | 書評 小説系
重大な結果が発生して、
その原因が複数存在し複雑に絡み合うとき
関係者は責任をなすりあい、
被害者は置いてきぼりにされ
醜い様相を呈することがままあります。

大津いじめ事件しかり、
東電原発事故しかり。

でも、これは今に始まったことではなく
昔からある人間の性なのかもしれません。

反省しつつも、幾度となく繰り返される事件事故。

有名な八甲田山遭難事件は、
ロシアとの戦争を間近にひかえた明治35年に
起きました。

青森からは第5連隊が、弘前からは第31連隊が出発し
同じ経路を逆方向から行軍を開始しました。

そして、31連隊は雪中行軍に成功し、
5連隊は暴風雪の中遭難してしまいます。

小説では、その比較が対照的に描かれています。

「二十四日山口大隊長は佐藤特務曹長が田代の道を知っていると話したのを軽率に信用し、この雪中行軍の指揮官たる神成大尉に相談せず『然らば案内せよ』と命じて暗夜田代へ向け行軍したが、進路を誤り、駒込川本流に迷い込み一歩も進むことが出来なくなった。雪中行軍のあの悲惨事は実に山口大隊長が軽率にも、行軍計画者であり、指揮官である神成大尉に相談せず命令を発したのがそもそもの原因である」~新潮文庫175頁より。

直接的な原因は、指揮系統の混乱にあったようです。
この事件は、リーダーの能力や責任に矮小化することも可能でしょう。

しかし、当時異常な気象条件下にあり任務遂行が
困難な状況が認められながら
一旦決めた決定を容易に覆すことができない
その柔軟性を欠いた組織体制に
問題があるように思いました。

そう考えると、学校や東電も
柔軟性のない堅牢で体面やメンツを重んじる組織のイメージが
ばっちりあてはまりますね。

起こるべくして起きた事件事故なのかもしれませんし、
そういう組織作りをしている限り
きっとこれからも同じような事件事故は起こるでしょう。


八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


今年は、新田次郎の生誕100年。「孤高の人」はお薦めです。

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