下町ロケット | |
クリエーター情報なし | |
小学館 |
平成23年度上半期の直木賞受賞作。
「空飛ぶタイヤ」の著者の作品です。
ずっと読みたいと思っていた作品でしたが、
やっと読むことができました。
期待通り、いや期待以上の作品でとても面白く
主人公に感情移入して一気に読んでしまいました。
ロケット墜落の責任を取り、
ロケット開発の研究者の道をあきらめ父の会社を継ぎ、
従業員200人の中小企業を経営する主人公。
人生も半ばを過ぎると
抱いていた夢をあきらめざる場面に
直面することは多々あります。
それでも主人公は第二の人生をポジティブに生き
100億円の売上げを有する中小企業に成長させます。
ところが、大口の取引相手の突然の取引停止で赤字転落の危機。
資金繰りの悪化に銀行の支援は全く期待できない。
そこへ大企業から法廷戦略に基づく特許侵害の訴えを仕掛けられ、
大きな危機に直面する。
この危機を主人公はどう乗り切るかが小説前半の山です。
後半は、主人公が開発した特許の買収・使用権、製品納入を巡る
中小企業の意地とプライドを賭けた戦いを描きます。
主人公の経営方針に対する若手社員の思わぬ反発に
とまどい揺れ動く心理をうまく描いてリアルな現実を描きます。
会社ではそんな状況にあるにもかかわらず
家庭では妻との離婚や気難しい年頃の一人娘との軋轢を抱えており、
四面楚歌にあるこの状況を主人公はどう切り抜け乗り越えていくのか、
中年男が抱える様々な問題を巧みに描いて
単なる経済小説の域を超えていました。
それでいて読者に感動と元気を与える本。
お薦めです。
にほんブログ村