料理が半分ほど出てきたところで、
いよいよ『北京ダック』の登場となった。
若くてハンサムなコックが、
ふた付のお盆を持って部屋の中に入ってきた。
テーブルの近くまで来てふたを取ると、
まだ、湯気を立て、ジュージューと音がする、
黄金色に焼き上げられた北京ダックが姿を見せる。
「おぉ~~~」
日本で食べた鶏の北京ダックと、
香りも色も全然違う!
と自分でも訳の分からないことで感動してしまった。
目と鼻で楽しんでいると、
コックはふたを閉じてすぐに出て行ってしまった。
20秒もしないうちに、先ほどのコックが、
カートに北京ダックを乗せてやってきた。
四角い中華包丁を手にし、
北京ダックの薄皮を、すばやくそぎ落とし始めた。
次々にお皿に盛られていく。
それを、蒸籠(せいろ)に入れられた、
蒸したての薄餅(ポービン)に乗せ、
細くきった白い長ネギを添え、
甘辛いソースを塗り、
一方の端を折り曲げ、くるくると巻いて食べる。
食べたときに、肉汁がこぼれないようにする為だ。
私は片手でしか出来ない為、
妻に作ってもらった。
大きな口を開けて、ほお張る。
『さすが本場の北京ダック。満足だ!』
本場の北京ダックは、筒状のストローみたいなものを、
アヒルの口に突っ込み、餌を無理やり食べさせて太らせるそうだ。
フォアグラもガチョウの肝臓を無理やり大きくして食べるのだが、
それと、同じ事をしているのだろう。
北京ダックは、飼育中に強制的に水の中で泳がせ、
肉の締まり具合を良くして、牛と同じように、
肉の繊維の中に霜降り上の脂肪を蓄えさせるそうだ。
コックが、きれいに皮を剥いだ北京ダックの、
身を切り出しお皿に並べ始めた。
「ええ~~~」
驚きである。
私は北京ダックとは皮だけを食べるものだと思っていた。
だれに聞いたわけでもないのだが、
北京ダックとは宮廷料理で、贅沢に食べないと美味しくない。
だから皮だけしか食べないのだと聞いたことがあり、
それを信じていたのだ。
妻に聞くと
「中まで美味しく焼けているのに、
この骨の中の髄も美味しいよ」
そりゃそうだ。
中国人は、4本足で食べないのは机だけだと言われるぐらいなのに、
皮しか食べないのは、
「日本人」
だけだそうだ。
くだらない話を信じていた自分自身が
面白くなってきた。
いよいよ『北京ダック』の登場となった。
若くてハンサムなコックが、
ふた付のお盆を持って部屋の中に入ってきた。
テーブルの近くまで来てふたを取ると、
まだ、湯気を立て、ジュージューと音がする、
黄金色に焼き上げられた北京ダックが姿を見せる。
「おぉ~~~」
日本で食べた鶏の北京ダックと、
香りも色も全然違う!
と自分でも訳の分からないことで感動してしまった。
目と鼻で楽しんでいると、
コックはふたを閉じてすぐに出て行ってしまった。
20秒もしないうちに、先ほどのコックが、
カートに北京ダックを乗せてやってきた。
四角い中華包丁を手にし、
北京ダックの薄皮を、すばやくそぎ落とし始めた。
次々にお皿に盛られていく。
それを、蒸籠(せいろ)に入れられた、
蒸したての薄餅(ポービン)に乗せ、
細くきった白い長ネギを添え、
甘辛いソースを塗り、
一方の端を折り曲げ、くるくると巻いて食べる。
食べたときに、肉汁がこぼれないようにする為だ。
私は片手でしか出来ない為、
妻に作ってもらった。
大きな口を開けて、ほお張る。
『さすが本場の北京ダック。満足だ!』
本場の北京ダックは、筒状のストローみたいなものを、
アヒルの口に突っ込み、餌を無理やり食べさせて太らせるそうだ。
フォアグラもガチョウの肝臓を無理やり大きくして食べるのだが、
それと、同じ事をしているのだろう。
北京ダックは、飼育中に強制的に水の中で泳がせ、
肉の締まり具合を良くして、牛と同じように、
肉の繊維の中に霜降り上の脂肪を蓄えさせるそうだ。
コックが、きれいに皮を剥いだ北京ダックの、
身を切り出しお皿に並べ始めた。
「ええ~~~」
驚きである。
私は北京ダックとは皮だけを食べるものだと思っていた。
だれに聞いたわけでもないのだが、
北京ダックとは宮廷料理で、贅沢に食べないと美味しくない。
だから皮だけしか食べないのだと聞いたことがあり、
それを信じていたのだ。
妻に聞くと
「中まで美味しく焼けているのに、
この骨の中の髄も美味しいよ」
そりゃそうだ。
中国人は、4本足で食べないのは机だけだと言われるぐらいなのに、
皮しか食べないのは、
「日本人」
だけだそうだ。
くだらない話を信じていた自分自身が
面白くなってきた。