BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

THE BATTLE OF EAST AND WEST

2009-05-03 17:23:20 | Boxing
IBO・Ring Magazine王者 リッキー・ハットン VS 挑戦者 マニー・パッキャオ

2ラウンド 2分59秒 パッキャオTKO勝利

HBOのインタビュアーがパッキャオを指してthis generation's Henry Armstrongだと
語っていたが、もはやそれだけの修辞を弄しても異論はどこからも出ないだろう。
K・チューのパンチにひるまなかったハットンを3度倒しての勝利は
ケチをつけようにもつけられない。
1ラウンドの冒頭こそハットンの圧力に押されたかに見えたが、
クリンチの際のもみ合いで打たれてもカッカせず、
クイックネスで冷静に距離を組み立て直し、
ジャブに自信をつけたハットンの接近に冷静に右フックを合わせていた。
最初のノックダウンはメイウェザーJrがハットンに浴びせた左フックの
右バージョンだと言える。
2度目のノックダウンはSバンタムからSフェザーまでで
猛威を振るったパッキャオ得意の突き刺す左。
最後のノックダウンは内藤が小松からダウンを奪った右フックを
左に置き換えてグレードアップさせたものだったように見えた。
ハットンが正統派ボクシングと相撲の両方を交えてきたのは想定の範囲内、
それに対するパッキャオの対応策もこちらの予想通り。
だが、結末の唐突さと鮮烈さにおいては長谷川VSマリンガを超えた。
メイウェザーJrの対デラホーヤ、対ハットンのパフォーマンスを
遥かに凌駕したパッキャオは、メイウェザーの復帰(VSマルケス兄とは!)が
実現した今でもパウンド・フォー・パウンド・ランクの1位の座を揺るぎないものとした。
2009年のKnockout of the Yearは(まだ5月だが)パッキャオに決定した。

下馬評ではややパッキャオの後塵を拝したBritish Hitmanだったが、
実際の試合では天と地ほどの力の差を見せつけられる結果となった。
勝っていたのは当日の体重と応援団の数ぐらいか。
ハットンとしては中間距離でボクシングをしては勝負にならないとことは
本人、メイウェザーSrを含めた陣営全員が覚悟していたはず。
ならばstreetfightまたはbrawlに引きずり込むしかなかったが、
もともと揉み合いになっても相手を打たないパッキャオだけに、
今にして思えばこれも実現不可能なプランだったんだな。
フィジカル面でのadvantageを前面に押し出そうにも、
相手のパンチの予想以上の切れと重さ、フットワークの軽さ、ボディワークの巧みさに
面食らったというか翻弄されっぱなしだった感がある。
あの失神KOはメイウェザー戦以上のトラウマになるだろう。
メイウェザー戦はコルテスに割って入られたという見方も不可能ではないが、
今回のKOは、50カウントぐらいは入りそうなKOだった。
もともと引退も視界に入っていた選手だけに素直に引退したとしても
引き際を誤ったとは誰も思わないだろう。
今後も戦い続けるなら、新鋭の踏み台にされる運命が待っている。

PS.
予想は勝利という結果だけが当たったが、
我が目の不明を恥じる気になれない。
パッキャオがあまりにも予想以上すぎたからだ。
いや、予想通りではなく、予想以上の試合を自分は望んでいたのではなかったか?
なにやら上手く言葉にできない。
一つだけ確かなのは、今感じている気持ちは純粋な感動だということ。

Kudos to Manny Pacquiao.
You are so much the Fighting Pride of the Phillippines
as the Fighting Pride of Asian Boxing History.
There can't be too many accolades to truly appreciate
what you've shown to all those who love the sport of boxing.