BOXING観戦日記

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IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ

2010-09-19 23:52:09 | Boxing
王者 ウラディミール・クリチコ VS 挑戦者 サミュエル・ピーター

クリチコ 10ラウンドTKO勝利

考察 ~クリチコ~

初回の奇襲とも言えるローリングに一瞬狼狽したが、
1分30秒に右を一発、さらに2分10秒にもう一発を着弾させたことで、
明らかに相手の方が狼狽した。
一気に精神的優位に立つかと思いきや、サディストかと見紛うほどの
punisherに変身した。
相手の前進を止めるには

1.ジャブで止める
2.ワン・ツーで止める
3.カウンターで止める

という選択肢があるが、2.を選択したのは正解であろう。
この日の右は敢えて肩を残し気味に抑え、返しの軽い左を重視していた。
タイソンの飛び込みを意識したピーターを敢えて迎撃した形。
相手の左フックをカウンターで喰うことを避け、
なおかつ相手の左にカウンターを合わせる意図で、
トレーナーの指示というよりも自身の頭脳がはじき出した戦術と見る。
磨き抜かれたintelligenceと過去の苦いexperienceをうまく融合させていた。

高速道路の左車線を80㎞/hで走っていると後ろから煽ってくる奴がたまにいるが、
安全運転を保つのが事故を避けるもと。
だがボクシングでは追い抜かせるわけにはいかない。
とは言うものの、最後の瞬間までつかず離れずを保つのもどうかと思う。
クルマの性能で優っているならば一気に引き離してやればいいのだが、
それをしないのもウラディミールのPh.Dか。


考察 ~ピーター~

明らかにタイソンを意識していたように見える。
ピーターではモハメド・アリはduplicateできないからね。
左のスイングはところどころで期待感を抱かせたが、
踏み込みを封じられれば威力も脅威も半減どころか全減。
まさに「当たらなければどうということはない」
長距離射程を想定してきたばかりに、相手のワン・ツーよりも
覆いかぶさってくるようなクリンチに手を焼いた。
ピーターの体躯ではタイソンスタイルはそれだけで著しくスタミナをロスするだろう。
それだけのトレーニングを積んできてはいても、クリンチ対策は難しい。
ならばレフェリーがブレイクをかけるまでボディを打って打って打ちまくるしかなかったが、
ナイジェリアンの本能が冷静な戦術選びを許さなかったか、
それとも初回にヒビを入れられたハートが回復しなかったか。
正確さと精密さを旨とする相手に抗するにはそれ以上の正確さ・精密さで当たるか、
もしくは殺戮本能丸出しの獣の化すしかないが、
なぜかクリチコ兄弟を相手にするとピーターはレンタルキャット(借りてきた猫)になってしまう。
ビタリには泣かされてしまったが、ウラディミールにはボコられた。
ジョー小泉はビタリよりもウラディミールの方が完勝だというが、
管理人は正反対の見解である。

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