BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sライト級王座統一戦

2010-12-30 21:51:56 | Boxing
正規王者 アミール・カーン VS 暫定王者 マルコス・マイダナ

カーン 判定勝利

考察 ~カーン~

すべてのパンチがキレキレで目にも止まらぬ速さのコンビネーションを放つが、
闇雲にハンドスピードを重視するだけでなく、隙間も見えている。
打っては離れ、離れては打ちは自身の身体能力と疑問視されるアゴにマッチしており、
肝臓にめりこませた一発はパッキャオがマルガリートに効かせたのと同じコンビ。
左右の違いはあるにしてもローチの指導に間違いない。
それにしても惚れ惚れするスピードですね。
ジャブ、ワン・ツー、フットワークのいずれもが超速で、
連打のフィニッシュはしっかり体重を戻して引きの速さにもつなげている。
これでは打ち終わりを狙うのは難しい。
かといって始動を狙うのも難しい。
なぜならスピードボクサーに対峙した選手は往々にして見入ってしまうから。
先天的な要素のスピードを極限まで利したボクシングで、
なるほど28歳で引退したいと常々表明するわけだ。

欠点を挙げるならばバックステップ時のガードの置き所。
相手の追い足のなさも手伝ってのことだが、
スウェーも交えることができるはずなのにそれをしないのは
やはり一発を被弾することの恐怖が沁みついているのか。
誰かが喝破していたと思うが、ガードを上げるのは臆病さ、ガードを下げるのは勇敢さ
というを主張には素直に首肯できないが、カーンのようなボクサーを見ると
それも真理かなと思えてくる。
パッキャオと対戦しない(できない)のはここらへんにも理由がありそうだ。


考察 ~マイダナ~

puncher's chanceという言葉通りに、一発で相手を追い詰めたが、
惜しむらくは自身にもダメージが深く蓄積されていた。
抜群の回復力もやはり無尽蔵ではないということか。
10ラウンドの詰め時の単発アッパーへの固執を批判する向きもあろうが、
あれはあれで正解。
なぜならマイダナ自身のイズムだから。
ちまちまガードの上を叩いて隙間にぶち込むなどというのは
凡百のボクサーの仕事。
勝っても負けても価値が上がるボクサーというものは不変の哲学を持つべきだ。

それにしても見るほどに一撃に特化したボクサーで、
やや低めのピーカブーでタイソン風にのっしのっしと歩き回り、
打ち合い時限定だが、前後に開き過ぎと思えるほどのポジションからダッキングと体の戻りで
パンチにつなげるのだから日本人選手のみならず世界的に異端ではなかろうか。
Sライト級は順調に淘汰されていっているが、その他のトップ連中も危ない。
俺ならあんなの喰わないよ、とか高を括っていると想像されるが、
実際に対戦相手に選ぶプロモーターもマッチメーカーもいないだろう。
では我らが亀海が乗り込むか、あるいは招聘してはどうか。
うーむ、徳山vs長谷川のような見たいけど見たくない、みたいな感じがしますなあ。

閑話休題。
レフェリングについては不勉強なのだが、
コルテスのあの減点1にはルールブックに根拠が記されているのだろうか。
対戦相手への反則、危害ではないと考えるのだが。
ご存知の方はコメント欄ででもご教授賜りたいと思います。

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