BOXING観戦日記

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WBC世界Sウェルター級タイトルマッチ

2012-05-06 16:58:04 | Boxing
王者 サウル・アルバレス VS 挑戦者 シェーン・モズリー

アルバレス 判定勝利

考察 ~アルバレス~

怖いもの知らずなボクシングをするのは、
未だ怖いものを経験していないからだろう。
すでに峠を転げ落ちたベテランではなく、
油の乗り切った試合巧者を向こうにまわしたとき、
ごまかされ続けてしまうという危うさも感じさせる。
構図としてわかりやすいのはパブリックvsマルチネス、
もしくはトリニダードvsホプキンス。
アルバレスにとっての最初の壁はまだ現れていない。
老獪な試合運びの裏にはどこかの島国のボクシング一家の
長男的な要素も実は潜んでいたりするのかもしれない。

パンチにしても絶賛されるほどの威力を持っているとは思えず、
野球の投手に喩えるなら横浜、読売のクルーンといった感じ。
速いが伸びがない。
またはミットにはめり込むが、バットを叩き折ることはない。

評価は着実に上昇してきているものの、ステージが上がるにつれ、
確実にexposeされてきてもいる。
パッキャオだメイウェザーだと騒ぐ前にクロッティと戦って欲しい。


考察 ~モズリー~

すっかり負け役が定着してしまったが、
素直に踏み台にならないところにこの男の執念を垣間見る。
ジャブを多用する立ち上がりから、一転してクリンチ作戦に行くのは、
スタミナへの不安、相手のプレッシャーの強さもあるのだろう。
バッティングを多発させる選手には共通点があり、
例えば徳山、30代後半以降のホプキンスなどは最初からパンチとヘッドが
見事に連動した体捌きを見せるものだが、
モズリーの場合は戦略的なバッティングとは言えないし、そうは見えない。
クリンチありきで頭から攻め込むスタイルは洗練されているとは言えない。
パンチを企図しながらクリンチ。
これをしないので何度も名指しでレフェリーに注意されてしまうのだ。

中盤以降はボディも顔面も利かされ苦しい展開だったが、
前戦のようなバックギア全開にならず、またロープを背負わせての
小パンチの高速回転連打(vsマルガリート)や叩きつける右フック(vsメイウェザー)など、
明らかにパッキャオ相手に見せた狼狽、さらに言えば恐怖を
この日は明らかに感じてはいなかった。

ということはリングで相対して初めて分かる何かが
やはりボクサーにはある、もしくは無いということか。
パッキャオにダウンを喫した時の表情を見るに、
「痛ったぁー」という感じだったが、アルバレス相手には
そんな表情・素振りはなかった。

There is something about Pacquiao's punches. ということなのだろう。

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