BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBO世界Sバンタム級王座決定戦

2010-04-14 22:28:57 | Boxing
ウィルフレド・バスケスJr VS マルビン・ソンソナ 

バスケスJr 4ラウンドKO勝利

考察 ~バスケスJr~

親父が葛西を瞬殺したのはビデオで観た。
DVDではないところに二世代分の歴史を感じる。
WOWOWは見事に葛西粉砕防衛をスルーしたね。
当然と言えば当然の仕置きか。
そしてリナレス・・・

親父は重厚なプレスとawkwardなカウンターと連打で戦ったが、
ジュニアはsophisticatedな要素がかなり強いかな。
あくまで父親との比較でだけれど。
ようやく体が出来上がったぐらいに見えるが、
相手に比べて胸、背中の厚みが違う。
当然のように耐久力も上回り、左ストレートのカウンターを被弾しても
プレスは止められず、むしろ余裕をもってガードできていた。
打ち合いの中で打ち勝つタイプで、衝突的なカウンターはあっても
意表を突くカウンターとはならない。
センスは遺伝されるがスタイルは遺伝しないということか。
開催地、タイミング、相手とすべての要素を味方にできた。
今後はプロモーションよりもマッチメイクが重要になるが、
西岡以外の強豪がそろって階級アップしたこともあり、
キャリアアップの環境まで整った。
さて、日本から敵地に乗り込むのは下田か、それとも芹江…はないな。


考察 ~ソンソナ~

2ラウンドの時点で体力負けは自覚したはず。
ならば技術と戦術で覆すしかないが、
おそらく元々のメンタリティがかなり天狗になりやすいのだろう。
プランAのみを準備し、プランBを用意せずリングに上がるタイプだ。
一気に2階級上げて相手を呼び込むボクシングがそのまま通用するはずがなく、
あっけなく懐に入られ、顔面を跳ね上げられ、肝臓にめり込まされた。
カウンターは打つ瞬間が勝負なのではなく、
打つ前の地固めでその効果の90%が決まる。
パワーと耐久力に優る相手に素直に詰めさせるのではなく
ガードを空けさせる工夫が必要なのだ。
それはフェイントであり、牽制のジャブであり、入り際の右フックでもある。
打つぞ打つぞと見せかけて結局打たないのは、打つ場所が見当たらなかったからだ。
マーベラスの名を冠するのは10年早かった。
計量失敗、転級失敗、テンカウント負けで評価も地に落ちただろう。
ドネア、ダルチニャンに見向きもされない名城と戦ってはくれないだろうか。

NABF北米ヘビー級王座決定戦

2010-04-14 22:28:19 | Boxing
ジョナサン・バンクス VS トラビス・ウォーカー

6ラウンドTKO勝利

考察 ~バンクス~

フレームが小さく、ゆえにスピードで勝負するしかないが、
そこには過去の敗北の悪夢がうごめいている。
打たれることへの恐怖感は相手の攻撃力と自身のvulnerabilityから来るが
それはクリンチから読みとれる場合が多い。
嶋田がバレロに対して背後に回り込むようなクリンチを見せたが、
回り込む意図から来るものではなく恐怖感から来るものだった。
一撃必倒のポリシーの持ち主でもなく、
毎ラウンドポイント奪取の哲学もない。
ノックアウトシーンこそセンセーショナルだったが、
アレオーラやピーターには捻り潰されるタイプと見る。


考察 ~ウォーカー~

明らかにスピードで劣る場合にどう戦うか。
脚を殺すべくボディを狙う。
目でフェイントを入れる。
コーナー、ロープに追い詰めるなどが考えられるが
そのいずれもが中途半端。
時折打ってくる相手の煽るようなフックに乗ってしまい、
真正面からテンプルにもらってしまった。
delayed reactionはボクシングでは往々にして見られ、
日本ではたとえば坂田のデンカオセーンとのリマッチ。
脳が揺らされることにより錐体路への神経伝達が遮断されるのだ。
味わったことはないが、おそらく気分は最悪だろう。
乗り物酔いの比ではないはずだ。
それにしても珍ノックダウンだったな。
ダブルノックダウンかと思ったぜ。