BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBOウェルター級タイトルマッチ予想

2010-03-13 22:31:42 | Boxing
王者 マニー・パッキャオ VS 挑戦者 ジョシュア・クロッティ

予想:パッキャオの僅差判定勝利

クロッティに10カウントを聞かせることはおそらく不可能だろう。
破竹の勢いのパックマンをもってしてもだ。
それでも判定勝ちなら十分に狙える。
相手はコット以上の剛腕とブロックの持ち主だが、
それゆえにコット戦以上の明快な勝利が期待できる。
ガードの上からでもしつこく叩き続け
クロッティの強打からは脚とガードで逃げる。
これだけでよし。
パッキャオにしてもローチにしても狙うはもはやメイウェザーのみ。
そのためには圧倒的な手数と運動量が必要とされるが、
クロッティはそれを試すにはうってつけの相手である。

と、ここまではパッキャオにとって楽観的な展望を述べたが、
実際にはそこまでイージーな対戦相手ではない。
懸念としては、クロッティはジュダーを粉砕していることだ。
マルガリートに手数の差で敗れたのはしゃーないにしても
コット戦の敗戦ではメンタルタフネスの重要性を思い知らされただろう。
人間が一番変われないのは実はフィジカルであって、メンタルではない。
メンタルは変えにくい。
フィジカルは変えられない。
メンタリティとは精神力だが、とどのつまり気持ちのコントロール方法だ。
我々も日常生活で嫌なことがあれば、熱い風呂やサウナに入る、
カラオケで大声で歌う、バッグを打つ、酒や女に走るなど、
様々なストレス解消方法を持っている。
また靴は左足から履く、電車は先頭車両に乗る、必ず味噌汁から手をつける
などのルーティンは験担ぎとしても作用する。

ボクシングにおけるメンタルのコントロールは常に相対的で、
打たれて気持ちが萎えるのもいれば、打たれる前からキレている奴もいる。
だが、強いのは結局クールにキレる者なのだ。
クロッティもそのあたりはさすがに自覚しているだろう。
黒人特有の気の弱さは人種が背負った被差別の歴史と不可分だが、
相手がアジア系となると秘めたるポテンシャルを解放させそうな予感も。
OT(Old Testament=旧約聖書)において最も残虐な王として描かれる
ヨシュアの名を冠する挑戦者は、敬虔なパッキャオにとって最も危険な相手になりうる。

東洋太平洋フェザー級王座決定戦

2010-03-13 20:55:06 | Boxing
松田直樹 VS ビンビン・ルフィーノ

松田 SDで勝利

考察 ~松田~

顔面だけ見ればとても勝ったようには見えない。
いつ見ても激闘、熱闘になるが、この男はパンチの喰らい方がいい。
真正面からもらうというのかな。
踏み込む左足のつま先を常に相手の右足のつま先の線上に平行に持っていくのは
真正面からしかパンチを当てられないということ同時に、
真正面からのパンチなら防御できる、あるいはかわせるという自信の表れだろう。
G・エスパダス戦では距離の違いから手も足も出ずストップされたが、
この日のように相手も詰めてきてくれるのなら勝負になる。
苦戦の要因は対サウスポーという点よりも相手の出入りによる。
ロングのジャブに次いで飛んでくる左は足の踏み込みではなく
上体の柔らかさを利したもので、突っ込んだ状態から瞬時に上体をスウェーされた。
サンデーパンチの左フックもこれではカウンターでは当たらない。
自身はリーチにも柔軟性にも秀でていないので踏み込みが肝になる。
相手と逆のスタイルで被ダメージは明らかに大きかったが、ダウン回数で勝ち。
ダウン内容では負けていたけど。
ボクシングは採点競技でダメージではなく、ジャッジからの点を競うもの。
ボクサーとしての素材では相手に上回れたが、キャリアでギリギリ勝ったかな。

考察 ~ルフィーノ~

フィリピンにジャバーなしを証明するような選手だな。
実測のリーチ差はわずかだろうが、
スタイルによる間合いの差は明らかで足と同じぐらいパンチをビジーにできれば
より確実な点差で勝利できたはず。
この選手は倒しに行くというマインドよりもラウンドを取りに行く意識が強く、
スロースターターでもあり、ショーマンシップも少しだけある。
サウスポーの右フックはリード、引っかけ、コンビネーションのつなぎと
用途が幅広いが、この選手は右のパンチに明確な意志が込められていない。
そのくせ打ち合いが好きなのか、相手の疲労とダメージを読み取ったか、
ナックルの返しが半端なまま打ち合いにでる。
ただし、体の柔らかさを使った出入りは
ガチガチで戦う日本人選手を翻弄する可能性が高く、
この試合でも松田を大いに苦しめた。
中南米の選手はサイドの動きに長けていることが多く、
東南アジアの選手は前後と上下の動きに特徴があることが多い。
日本人選手の特質は勤勉さ。
これが盾になるのか矛になるのかは噛み合わせによる。

フィリピン旋風は世界のトップ戦線では停滞中だが、
アジアレベルではまだまだ猛威。
ルフィーノ陣営はリマッチをやる気満々だろう。
残念ながら帝拳はそんな試合は組まないだろうが、
日本のリングで稼ぐチャンスはまだまだ残されている。