BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBO世界バンタム級暫定王座決定戦

2010-03-05 23:37:57 | Boxing
ジェリー・ペニャロサ VS エリック・モレル

モレル 2-1判定で勝利

考察 ~ペニャロサ~

川島、徳山あたりと戦った頃に比べ、当然ながら反射速度は落ちる。
にもかかわらず総合的なディフェンスに進化を見せているのは、
蓄積した経験値がスタイルではなく能力と勝負勘に割り振られているからだ。
ボクサーが年齢とともにファイター化する傾向は一般的だが、
手数を増やしながら被弾を増やすという結果につながることも多い。
ペニャロサの場合は逆で、より近い距離で戦いながら被弾はむしろ減っている。
これはブロッキングの巧みさと同時にボディワークの巧みさにもよるもので、
相手のコンビネーションの初撃をブロックし、追撃を避けるスタイルは、
省エネではなく合理性の追求。
一緒じゃないのか?と思われる向きは、
ペニャロサのイメージ相手にシャドーをしてみよう。
攻撃に省エネはありえてもディフェンスに省エネはない。
このディフェンススタイルは当然の如く攻撃にも反映され、
コンビネーションあるいはワン・ツーにおいてさえも
初撃を当てることを意識しない攻撃が随所に見られた。
また、相手のフットワークに目のフェイントで対抗するとともに、
出端のカウンターとパンチの引きのカウンターを操り、
空間の主導権支配では一歩リードしていた。
しかし、後半からは出血により間合いの詰めと波状攻撃に粗さが生じた。
これはファイター的要素ではなく、強引さの現れ。
敗北は妥当とも言えるが、不当とも言える。
モンティエル戦が実現しなかったのは無念としかいいようがない。
それにしても前戦では引退勧告をしたが、
これなら大場あたりはまだまだ中差判定で退けそうな気がする。

考察 ~モレル~

ハンドスピードはあるがパンチは軽く、
ストレート系はヘッドスリップ、
フック系はブロックとダッキングで有効性を消された。
中盤以降は手数を減らし、足捌きに光明を見出そうとしたが、
結局、流れを変えたのは相手の出血。
出血=カウンターという方程式を組み立ててしまえばいい、
とジョー小泉が言うとおり、単純ながら理にかなったカウンター戦法で
終盤のポイントを押さえたことがジャッジに訴えたか。
腰の軽さが見栄えの良さにつながらないと個人的に感じるのだが、
あれはあれでプエルトリカンのスタイルとして認知されているのだろうか。
まあ、ファンが色眼鏡で試合を評価するのなら
ジャッジがある程度のステレオタイプで採点に臨むのもむべなるかな。
ペニャロサ的な二階級制覇(前回戴冠とその後の戴冠までのタイムラグなど)だが、
安定王者とは感じられない。
また、ビッグマッチに絡むとも思えない。
代わりにメキシコ、フィリピンに腕撫す若い挑戦者がひしめいている。

PS.
今日は何という一日か。
大学時代の先輩と約10年ぶりの偶然の再会。
突然の訃報。
贔屓のブログの存続。
少年老い易く学成り難しの実感。
眼疾。

一日としては考えることが多すぎる。
今はしばらく休みたい。

という一節をお気に入りの小説から引かせて頂く。
(ちなみにこの小説の訳者は管理人の大学の大先輩である)