電圧と電流それと電力、これらはそれぞれの概念が明確ですね。電圧と電流は「オームの法則」V=IR 、電力はW=VIと見慣れた数式が意味を確定的に示しています。
しかし「起電力」とは一体何でしょう。この言葉も一般的によく使われ、例えばインダクタンス(コイル)やトランスなどはこの言葉抜きに語ることはできませんが、「電圧」と同義である故になかなか理解しにくい概念です。
例として、コイルにおける端子電圧:vと、誘導起電力:eを表す式を示します。
v=N・dφ/dt -----①
e=-N・dφ/dt -----②
(N:コイルの巻数、φ:コイルに鎖交する磁束、φ=NI)
一般に起電力の記号は[e]、単位は[V](ボルト)と、電圧と同じです。このように「起電力」と「電圧」は同じものと捉えられ、また実際問題として同じものなのですが、上記の磁気誘導(コイル、トランス)を考える場合など、電圧とは異なる起電力の言葉の意味を理解しておく必要があります。わざわざ別の名前を与えているのですから、電圧よりも起電力の方が好都合な場合があるということですね。
ここで[レンツの法則]を思い出してみます。図を参照してください。
「コイルは、これと鎖交する磁束の変化を妨げる方向に、磁束を発生させる誘導起電力を生じる」
この言葉が起電力の性質をよく表しています。「磁束の変化を妨げる方向に磁束を発生させる力」=誘導起電力、としていますが、コイルに磁束を発生させるのはコイルに流れる電流ですから、起電力とは「電流を流そうとする力」と言えます。このようにして生じる「起電力」が、結果として端子間の「電圧」に言葉を変えるのです。
イメージを捉えるために、空気圧縮機(コンプレッサ)に例えれば、空気の圧縮ポンプが起電力に相当すると言えるでしょうか。圧縮ポンプが動き始めるとエアタンクに取付けた圧力メータの値が上がって行きます。この空気圧が起電力に対する電圧に相当します。タンクが密閉であれば空気は流れず圧力がどんどん上がっていきますね。ここで、圧力メータを取外してそこにエアホースをつなげば、空気が流れホースの先から大気へと噴出します。これは端子電圧間に負荷をつなげば電流が流れることと等価と言えます。
エアホースをはずし再度圧力メータを取付けて圧縮ポンプを動かせば、また空圧は上がっていきます。そしてあるところで圧縮ポンプを止めれば、空圧は一定値に固定されます。これは起電力がゼロで電圧のみ存在しているという状態です。さてこの状態を表す電子回路はどのようなものでしょうか?そう。電荷を溜めているコンデンサです。このコンデンサには確かに端子電圧はありますが、内部に起電力はありません。
(コンデンサが放電によって電流を流す場合、コンデンサの起電力のせいだとは言いませんね。)
コンデンサに電荷を溜めたのは、コンデンサに電流を流し込んだ外部の起電力です。これも「起電力とは電流を流そうとする力」であり、結果として端子電圧の形で現れることを示していますね。
つまり、最もシンプルに言えば、”起電力は電源である”ということです。”電源”という概念の具体的な形態は「電池」や「発電機」ですね。ドロッパ型電源やスイッチング電源も一般に”電源”と呼ばれますが、実際は電源電圧の「変圧および安定化」回路です。
さらに厳密に言うと、電源とは種々の物理(化学)エネルギを電気エネルギに変換するもので、変換された時の電気エネルギが起電力ということです。
さて、誘導起電力の性質をもう少し詳しく見てみましょう。
式をもう一度記述します。
v=N・dφ/dt -----①
e=-N・dφ/dt -----②
(N:コイルの巻数、φ:コイルに鎖交する磁束、φ=NI)
磁束がコイルに鎖交することにより生じる起電力は、このように微分値として現れます。つまり「磁束の変化の度合い」が起電力ですから、誘導起電力は過渡現象か交流のどちらかであると言えます。これが一つの性質です。
もう一つは、式②の頭にマイナス符号が付いていることです。これは端子電圧を表す式①と逆相ということですね。端子電圧vに対して磁束φ(電流i)は90°遅れ、起電力eは磁束φに対して90°遅れるので、端子電圧vに対しては、起電力eは常に逆相になります。
関連記事:
「トランス(変圧器)の原理①」2009-10-21
「コイルとは何か② 自己誘導起電力」 2012-10-21
「インダクタンスと磁気」2009-10-01
しかし「起電力」とは一体何でしょう。この言葉も一般的によく使われ、例えばインダクタンス(コイル)やトランスなどはこの言葉抜きに語ることはできませんが、「電圧」と同義である故になかなか理解しにくい概念です。
例として、コイルにおける端子電圧:vと、誘導起電力:eを表す式を示します。
v=N・dφ/dt -----①
e=-N・dφ/dt -----②
(N:コイルの巻数、φ:コイルに鎖交する磁束、φ=NI)
一般に起電力の記号は[e]、単位は[V](ボルト)と、電圧と同じです。このように「起電力」と「電圧」は同じものと捉えられ、また実際問題として同じものなのですが、上記の磁気誘導(コイル、トランス)を考える場合など、電圧とは異なる起電力の言葉の意味を理解しておく必要があります。わざわざ別の名前を与えているのですから、電圧よりも起電力の方が好都合な場合があるということですね。
ここで[レンツの法則]を思い出してみます。図を参照してください。
「コイルは、これと鎖交する磁束の変化を妨げる方向に、磁束を発生させる誘導起電力を生じる」
この言葉が起電力の性質をよく表しています。「磁束の変化を妨げる方向に磁束を発生させる力」=誘導起電力、としていますが、コイルに磁束を発生させるのはコイルに流れる電流ですから、起電力とは「電流を流そうとする力」と言えます。このようにして生じる「起電力」が、結果として端子間の「電圧」に言葉を変えるのです。
イメージを捉えるために、空気圧縮機(コンプレッサ)に例えれば、空気の圧縮ポンプが起電力に相当すると言えるでしょうか。圧縮ポンプが動き始めるとエアタンクに取付けた圧力メータの値が上がって行きます。この空気圧が起電力に対する電圧に相当します。タンクが密閉であれば空気は流れず圧力がどんどん上がっていきますね。ここで、圧力メータを取外してそこにエアホースをつなげば、空気が流れホースの先から大気へと噴出します。これは端子電圧間に負荷をつなげば電流が流れることと等価と言えます。
エアホースをはずし再度圧力メータを取付けて圧縮ポンプを動かせば、また空圧は上がっていきます。そしてあるところで圧縮ポンプを止めれば、空圧は一定値に固定されます。これは起電力がゼロで電圧のみ存在しているという状態です。さてこの状態を表す電子回路はどのようなものでしょうか?そう。電荷を溜めているコンデンサです。このコンデンサには確かに端子電圧はありますが、内部に起電力はありません。
(コンデンサが放電によって電流を流す場合、コンデンサの起電力のせいだとは言いませんね。)
コンデンサに電荷を溜めたのは、コンデンサに電流を流し込んだ外部の起電力です。これも「起電力とは電流を流そうとする力」であり、結果として端子電圧の形で現れることを示していますね。
つまり、最もシンプルに言えば、”起電力は電源である”ということです。”電源”という概念の具体的な形態は「電池」や「発電機」ですね。ドロッパ型電源やスイッチング電源も一般に”電源”と呼ばれますが、実際は電源電圧の「変圧および安定化」回路です。
さらに厳密に言うと、電源とは種々の物理(化学)エネルギを電気エネルギに変換するもので、変換された時の電気エネルギが起電力ということです。
さて、誘導起電力の性質をもう少し詳しく見てみましょう。
式をもう一度記述します。
v=N・dφ/dt -----①
e=-N・dφ/dt -----②
(N:コイルの巻数、φ:コイルに鎖交する磁束、φ=NI)
磁束がコイルに鎖交することにより生じる起電力は、このように微分値として現れます。つまり「磁束の変化の度合い」が起電力ですから、誘導起電力は過渡現象か交流のどちらかであると言えます。これが一つの性質です。
もう一つは、式②の頭にマイナス符号が付いていることです。これは端子電圧を表す式①と逆相ということですね。端子電圧vに対して磁束φ(電流i)は90°遅れ、起電力eは磁束φに対して90°遅れるので、端子電圧vに対しては、起電力eは常に逆相になります。
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時期の話①の記述
「自己誘導起電力は次式で表される。
e = -N dφ/dt [V]
Nφ=LI だから φ=LI /N を自己誘導起電力の式に
代入すると
e = -L dI/dt [V] となる。
誘導起電力 e = -L dI/dt が生じているときのコイルの端子電圧 v は v = L dI/dt である。符号に注意。
つまりコイルの端子電圧 v と誘導起電力 e は同時に存在し、常に逆極性ということである。コイルに電流を流す力は端子電圧 v であるから、同時に存在する逆極性の e によって電流の変化を妨げられることが、このことからも理解できる。」
とあります。起電力と電圧の違いをさらに、この記事で説明されていると思うのですが、・・・
ここから素人質問です。ごめんなさい。
ホロンさんの説明を解釈した自分の考えでは
コイルの誘導起電力eとコイルの端子電圧vが符号が異なる同じ値であるなら、コイルに電圧はv+eでゼロになってしまうのでは?と思ってしまいます。
たとえば、
自分の考えで、レンツの法則の図を説明しますと、
レンツの法則の左側の図の動作は
①赤矢印の磁束が発生(磁束が増加)
②eの誘導起電力(左端子がプラス右端子がマイナス)が発生し、電流を流そうとする
③コイル内に誘導起電力による電流が流れると青矢印の磁束(誘導起電力による磁束)が発生し、磁束の増加は抑えられる
(トータル磁束が減るか磁束ゼロのまま?)
レンツの法則の右側の図は、磁束の増加は誘導起電力である程度抑えられるものの、全体的には増加するので、磁束が増加する方向の電流(コイル端子+側からー側に向かう電流)が流れることになり、電流によって発生するコイル電圧(抵抗での電圧降下と同じもの?)が発生する。
なのですが、おかしいでしょうか?
さてとあるコイルにVという直流電圧を与えるとします。するとコイルを流れる電流Iは最初はゼロで、次第に1/Lを比例定数とするtの1次関数として上昇しますね。これはコイルの内部に電流(変化)を妨げようとする何者かが存在しているということですね。抵抗は電流を妨げようとしますが、コイルに抵抗はありませんね。
この電流(変化)を妨げようとしているのは、さて、何なんなんでしょう?(^^)
[加筆修正を加えました]