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再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

末期肝臓がんの新治療法に着手、局部細胞凍らせ破壊=岐阜大学

2008年11月09日 | 医療技術
 岐阜大医学部は、末期の肝臓がんを凍らせて壊死(えし)させる新しい治療法開発に着手した。これまでの臨床で一定の効果がみられたため、保険診療が一部可能となる高度医療評価制度の認定を求めて今月中にも厚生労働省に申請。治療法の早期確立を目指す。

 この治療法は、先端だけ熱を通す直径3ミリほどの針を腹部から肝臓内のがん組織に刺し、マイナス196度の液体窒素を送り込んで局所的に凍結させる。治療は週1回、15分間の冷却を5分の間を置いて3回繰り返し、がん細胞を破壊する。

 腫瘍(しゅよう)外科研究室の長田(おさだ)真二准教授(45)が中心に研究し、2002年から昨年6月ごろまで13人の患者でデータを収集。治療開始2カ月後では、6人でがんに対する免疫機能が活性化し、肝臓内の凍結させなかった部分やリンパ節や腹膜へ転移していたがんも縮小した。残り7人はがんに対する免疫は変化せず、凍結した部分でがん細胞が消えただけだった。

 末期がん治療ではがん細胞を熱で焼く方法が知られているが、長田准教授は「細胞を焼くとがん細胞内のタンパク質が変性して免疫細胞が正しく反応できない。凍結する方法ではこのタンパク質が変性せず、免疫機能が活発になるのでは」と推察する。

 今後、マウスなどの動物実験でも詳しいメカニズムを解明する方針。長田准教授は「これまでは保険診療と併用できず、研究のための症例数に予算的限界があった。申請が認められれば、多くの患者さんに治療を受けてもらえる」と話した。

[中日新聞 2008年11月06日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008110602000054.html



 皮膚に開けた小さな孔から細い管を挿入し体の奥深い患部へ到達させて治療を行う方法を「インターベンション治療」と呼びます。 この細い管のような医療器具は、薬剤を注入するカテーテル、丈夫な風船、ステンレスのワイヤを繰り出す装置のついたカテーテルから、先端にハサミや発熱装置、あるいは内視鏡、レーザー焼灼などなど、と、さまざまな装置が開発されています。
インターベンション治療は、今までの全身麻酔を行いメスで大きく開腹する外科手術と比べると患者さんの負担が小さく、QOL(生命の質)もあまり下げず、また術後の回復も早いので、脚光を浴びています。

 それにしても末期肝臓がんの患者さんの半数近くに手術部分だけでなく他の部位の病変の縮小や免疫機能の改善が見られたというのは朗報ですね。将来、ヒトはがんという病気も克服してしまい、軽い気持ちでちょっと通院すれば治癒ってしまう、という時代がやって来るのでしょうか?

 がんの研究には、体毛の生えていない肌色でしわしわの「ヌードマウス」が活躍します。胸腺(T細胞の免疫機能をつかさどる器官)が欠損しており、ヒトの癌組織の移植に拒絶反応がありません。皮下のがん組織ならぱっと見て定規を当てただけで、その大きさの変化を観察できます。ヌードマウス、頑張れ。


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