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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

ES細胞:マウスの卵子使いクローン胚から作成=理化学研究所

2007年02月20日 | 再生医療
 理化学研究所の研究チームが、体外受精できなかったマウスの卵子を使い、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を効率よく作り出すことに成功した。体外受精に失敗した卵子は通常捨てられるが、研究チームはこれにマウスの体細胞の核を移植し、クローン胚からES細胞を作った。クローン胚由来のES細胞を、新鮮な卵子を使わずに作り出す方法として注目を集めそうだ。19日付の米科学誌「カレント・バイオロジー」に発表した。

 研究チームは、体外受精を実施した920個のマウスの卵子のうち、受精しなかった卵子432個に体細胞の核を移植してクローン胚を作成。特定の化学物質に浸すことによって、クローン胚の6%からES細胞を作成できた。新鮮な卵子を使った場合(7%)とほとんど差がなかった。受精失敗後に24時間保存した卵子でも、4%からES細胞ができた。

 作成されたES細胞は、新鮮な卵子から作ったES細胞と同様に、さまざまな器官や組織に発達する能力が確認された。

 また、体外受精で受精しなかった別の卵子に体細胞の核を移植し、357個のクローン胚をメスのマウスの子宮へ戻したが、子どもは1匹も生まれなかった。体外受精しなかったマウスの卵子は、ES細胞を作る能力はあるものの、子どもまでは成長できないらしい。

 ヒトクローン胚からのES細胞が実現すれば、患者と同じ遺伝情報を持つ器官や組織を作ることができ、難病治療につながると期待されているが、胚を作るための新鮮な卵子の入手方法が課題になっている。研究チームの若山照彦・ゲノム・リプログラミング研究チームリーダーは「体外受精しなかった卵子がES細胞作成に使えることが、ほ乳類で初めて確認できた。ヒトでも体外受精せず廃棄する卵子を使えるようになれば、健康な女性や不妊患者から卵子を新たに採取する必要がなくなるかもしれない」と話している。【永山悦子】

[毎日新聞 / 2007年2月20日]

メス→オス、メダカの性転換に成功=基礎生物学研究所、新潟大学

2007年02月20日 | 生きもの色々
メス→オス、メダカの性転換に成功=基礎生物学研究所、新潟大学

 自然科学研究機構・基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)と新潟大大学院の
研究グループが、遺伝子を操作して人工的にメダカのメスをオスに性転換させ、
その精子を使って子メダカを誕生させる実験に成功した。

 世界初の成果で、米国科学アカデミー紀要電子版に20日掲載された。

 同研究所の長浜嘉孝教授と新潟大大学院の酒泉満教授らは、メダカの性決定
遺伝子を2002年に発見している。今回、オスの性決定遺伝子をメスになるはずの
受精卵に入れたところ、孵化(ふか)した58匹のうち13匹に精巣ができた。
うち8匹は受精可能な精巣で、受精させると、多くの子メダカが誕生した。

 性決定遺伝子は、人間とマウスでも見つかっている。メダカの性決定遺伝子の
構造や働きを詳しく調べることが、哺乳(ほにゅう)類の性決定の仕組みの研究にも
役立つという。

[読売新聞 / 2007年02月20日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070220i406.htm

基礎生物学研究所 プレスリリース
「メダカの性決定遺伝子はDMY遺伝子である」
http://www.nibb.ac.jp/press/070217/070217.html

統合失調症の発症に関与の新遺伝子を確認=理化学研究所、マサチューセッツ工科大学

2007年02月20日 | 脳、神経
 「統合失調症」の発症にかかわる遺伝子を、理化学研究所(理研)、米マサチューセッツ工科大などのチームが新たに確認した。

 20日の米科学アカデミー紀要電子版に発表する。

 神経伝達物質のドーパミンなどが発症にかかわっているとされている統合失調症。

 同工科大の利根川進教授らは、これらの物質の作用を調整するカルシニューリンというたんぱく質が働かないと、統合失調症に似た症状がみられることをマウスの実験で明らかにしており、研究チームは、このカルシニューリンに関連する遺伝子が人の統合失調症の発症に関連しているかどうかを検証した。

 研究チームは、カルシニューリンを作ったり、関連があったりする14種類の遺伝子が患者とその家族、患者同士で配列がどう異なるかを調べた。統合失調症の子供がいる日本人の124家族を対象に調査を試みた結果、14遺伝子のうち4遺伝子については、血縁者であっても、統合失調症ではない親と失調症の子供ではその配列が異なるケースが多いことを突き止め、これらの遺伝子が統合失調症の発症にかかわっていることがわかった。

 ただ、患者同士でも配列の一部は異なっており、発症が遺伝要因だけではなく、環境など他の要因も関与していることをうかがわせているという。

 4遺伝子のうちの1個は利根川教授らがすでに確認しているが、残りの3遺伝子はまったく新しく、統合失調症患者の前頭前野では、その働きが落ちていることも確認された。

[読売新聞 / 2007年2月20日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070220i301.htm

理化学研究所 プレスリリース
- 統合失調症の発症関連遺伝子群を日本人で発見 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070220_2/index.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070220_2/detail.html