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ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

マウスiPS細胞で角膜再生へ=東北大学、京都大学

2008年01月26日 | 再生医療
 東北大の西田幸二教授(眼科)らのチームが、マウスの体細胞から作られた万能細胞(iPS細胞)を使い、角膜になる幹細胞にまで分化させて培養することに、京都大との共同研究で成功した。今後、人間のiPS細胞を使った実験を計画、すでに臨床応用されている角膜移植などと組み合わせることで拒絶反応のない再生治療の実現をめざすという。

 西田教授らは、京都大の山中伸弥教授からマウスのiPS細胞の提供を受けて、1年半前から研究を始めた。iPS細胞を1カ月ほどかけて増やした後、薬剤を使って分化を誘導し、角膜細胞の前の段階の細胞を取り出し、培養することに成功した。今後、角膜の細胞に完全に分化させる手法を確立し、臨床応用につながる細胞シートの作製につなげたい考えだ。

 角膜の治療は、他人の角膜や角膜の細胞を培養して作ったシートを移植する方法と、患者本人の角膜細胞から作ったシートを移植する方法の2種類がある。ただ、他人の角膜を使う方法では拒絶反応を避けられず、患者本人の角膜からシートを作る方法は病気のためにうまく細胞が増えないなどの問題がある。患者の健康な部位からiPS細胞ができれば、そうした課題を克服できる。

 今回はマウスでの成果だが、原理的には人も同じ手法で分化・誘導を実現できると考えられるという。西田教授は「ヒトのiPS細胞でも再現できれば、拒絶反応がなく、質が高い細胞シートを使った治療法を比較的早く実現できるのではないか」と話している。

[朝日新聞 / 2008年01月26日]
http://www.asahi.com/science/update/0125/TKY200801250329.html

「iPS細胞で心筋再生」共同研究、始動=京都大学、大阪大学

2008年01月22日 | 再生医療
 人間の皮膚から様々な細胞に変化できる万能細胞(iPS細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授と、筋肉から作った細胞シートで重い心臓病の治療に成功した大阪大の澤芳樹教授が、iPS細胞を使った共同研究を始めることになった。

 世界初の二つの成果を組み合わせ、心筋の再生医療を目指す。

 一方、京都大は22日、山中教授をトップとする「iPS細胞研究センター」の設置を正式に発表、再生医療の実現に向け、万能細胞研究が大きく動き出した。

 澤教授らは昨年、患者の足の筋肉の細胞をもとにシートを作製。心臓移植が必要だった患者の心臓の周囲に張り付け、心機能の回復に成功した。シートは心筋にはなっていないため、iPS細胞から変化させた心筋でシートを作り、治療に生かしたい考えだ。

 京大の研究センターは、昨年10月に開設された「物質―細胞統合システム拠点」の一部門。教授や研究員、技術職員ら10~20人でつくる「専任チーム」と、京大再生医科学研究所などから参画する「兼任チーム」数チームで構成される。

 当面は、京都市内にある民間研究施設「京都リサーチパーク」内の研究室を借り、2年後をめどに専用研究棟を建設する。iPS細胞の研究は、国内の研究者を結集したコンソーシアム(共同体)を設け、オールジャパン体制で取り組む予定で、京大のセンターがその中心になる。

 山中教授はこの日の記者会見で「世界に開かれた研究施設にしたい。iPS研究は10年、20年と息の長い取り組みが必要なので、若い研究者を積極的に育てたい」と語った。

[読売新聞 / 2008年01月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080122-OYT1T00307.htm

iPS細胞研究センターを設置=京都大学

2008年01月22日 | 再生医療
 京都大は22日、山中伸弥教授らが世界で初めて作製したヒトの万能細胞(iPS細胞)の研究拠点「iPS細胞研究センター」(センター長・山中教授)を発足させた。基礎から臨床応用の研究まで担う。世界的な競争に対抗するオールジャパンの研究態勢を築くための中核になる。

 センターは「世界トップレベル研究拠点」として昨年文部科学省から選ばれた京都大の「物質―細胞統合システム拠点」の柱の一つとの位置づけだ。人材の雇用や予算など、運営の権限は山中教授に任せる。京都市内の民間研究施設「京都リサーチパーク」内にオフィスを借り、2年後をめどに拠点施設を建設する。

 国内外から選ぶ教授陣らによる複数の専任チームのほか、京都大の研究者が兼任で参加する。まず、専任のうちの山中チームと5チームほどの兼任チームが、万能細胞のさまざまな細胞、組織への分化・誘導や、人体への安全性の確認などの研究に取り組む。

 会見で、山中教授は「10年、20年という息の長い研究にするために若い人が切磋琢磨(せっさたくま)できる、世界に貢献するセンターにしたい」と述べた。

    ◇

 重い心臓病をもつ患者の心臓に「心筋シート」を張る臨床研究をしている大阪大の澤芳樹教授らは、山中教授らからiPS細胞の提供を受けて共同研究に乗り出す。iPS細胞を使うことで、質の高い心筋細胞を増やせる可能性があり、心臓の収縮力を高めることが期待できるという。

 iPS細胞を使った京都大との共同研究は、慶応大や理化学研究所などもすでに始めている。

[朝日新聞 / 2008年01月22日]
http://www.asahi.com/science/update/0122/TKY200801220407.html

京都大学 ニュースリリース
物質-細胞統合システム拠点 iPS細胞研究センターを設置
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080122_1.htm
トピックス
http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080122_1/tpc080122_1.htm

死んだ心臓に細胞を注入して再生、ラット(摘出した心臓)で成功=米ミネソタ大

2008年01月14日 | 再生医療
 死んだラットの心臓を薬剤処理して型枠とし、内部に誕生直後のラットの子の心臓から採取した細胞を注入して実験器具内で培養したところ、拍動して機能したと、米ミネソタ大の研究チームが14日、米医学誌ネイチャー・メディシンの電子版に発表した。
 当面はこの実験成果をラットの体内で実現することが課題となるが、将来、心臓移植手術が必要な患者を対象として、死亡者の心臓に患者自身の幹細胞を注入して再生し、移植できれば、ドナー(提供者)不足問題をある程度解決できる可能性がある。この技術を腎臓や肝臓、肺に応用する研究も進めているという。
 日本の国立循環器病センターと産業技術総合研究所は2004年7月、拡張型心筋症の患者の骨髄から多様な細胞への分化能力がある「間葉系幹細胞」を採取・培養して同じ患者の心臓に移植し、心筋と血管を同時に再生させることに成功したと発表している。

[時事ドットコム / 2008年01月14日]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200801/2008011400011

【細胞植え付け心臓再生、米大チームがラット実験】
 【ワシントン14日共同】死んだラットの心臓を型枠にして、別のラットの細胞を植え付けて拍動する心臓を丸ごと再生するのに米ミネソタ大の研究チームが成功、14日までに米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に発表した。皮膚や軟骨などの組織や、ぼうこうの再生はこれまでも行われているが、本格的な臓器再生につながる成果として注目を集めそうだ。
 チームによると、取り出したラットの心臓を特殊な溶剤で処理して細胞を除去し、心室や心臓弁、冠状動脈といった三次元構造がそのまま残ったコラーゲンなどからなる細胞外基質の塊を作製。

 この基質を型枠として、生まれたばかりのラットの心臓の細胞を注入して培養すると、心臓の細胞が増殖。4日後に心筋の収縮が起こり、8日後には全体が拍動し始め、血液を押し出す力は大人のラットの2%になった。


 チームは、人間の心臓の大きさや形に近いブタの心臓でも細胞の除去に成功した。
[(共同発)NIKKEI NET いきいき健康 / 2008年01月14日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008011503282h1

学内企業が独自に人工皮膚=広島大学

2008年01月07日 | 再生医療
 広島大の学内ベンチャー企業、ツーセル(広島市南区)は、牛の血清などを使わない独自の培養法で細胞を増幅させ、人工的に皮膚を作る技術を確立した。現在、細胞培養の際には血清を使う手法が主流だが、血清内の不明因子が感染症などを引き起こすリスクがあった。再生医療での安全性向上が期待される。今後、培養法の完成度を高めて、2009年に厚生労働省へ確認申請。早ければ10年の製品化を目指すという。

【写真説明】ツーセルが開発した壊死した皮膚の細胞を再生する技術。自社開発した培養装置を使い、無血清で皮膚の再生を促す細胞を培養する

[中国新聞 / 2008年01月07日]
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200801070018.html

株式会社ツーセル ホームページ
http://www.twocells.com/Home/Home.htm

iPS細胞で脊髄損傷のマウスの症状が改善=慶應義塾大学

2007年12月25日 | 再生医療
 慶応大学の岡野栄之教授(生理学)は25日、京都市で開かれたシンポジウム「多能性幹細胞研究のインパクト」で講演し、京都大との共同研究で、脊髄(せきずい)を損傷したマウスに、iPS細胞から分化させた神経前駆細胞を移植し、症状を改善できたことを明らかにした。

 岡野教授らのチームは、胸髄損傷により後ろ脚がまひしたマウスに対し、マウスの体細胞を使ってつくったiPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を損傷後9日目に移植した。その結果、症状は、後ろ脚に体重をかけられるまでに回復したという。腫瘍(しゅよう)はできなかった。また、神経前駆細胞が神経細胞に分化するだけでなく、移植を受ける側の神経の再生も促していることも分かった。

 iPS細胞が実際に治療に使えるかどうかについては、マサチューセッツ工科大のチームが重症の貧血のモデルマウスを使って症状改善に成功している。脊髄損傷の再生医療をめぐっては、米国では来年にもES細胞を使った臨床試験が始まる見通しだ。

[朝日新聞 / 2007年12月25日]
http://www.asahi.com/science/update/1225/OSK200712250065.html

万能細胞、肝臓や胃の細胞からも、山中教授ら成功=京都大学

2007年12月11日 | 再生医療
 皮膚の細胞からだけでなく、肝臓や胃の粘膜の細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ることに、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授と大学院生の青井貴之さんらがマウスを使って成功した。11日、横浜市で開かれた日本分子生物学会で発表した。同研究室が手法を開発したiPS細胞は、これまで皮膚や骨髄系の細胞からしか作製されていなかった。

 青井さんらは、大人のマウスの肝臓や胃の粘膜の細胞に四つの遺伝子を導入してiPS細胞を作製。さまざまな組織の細胞への分化能力が、受精卵から作る万能細胞の代表格である胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と同等であることを確認した。さらに、全身が肝臓や胃の粘膜由来のiPS細胞からできたマウスも誕生し、体内でも全身の細胞に分化できることが裏付けられた。

[朝日新聞 / 2007年12月11日]
http://www.asahi.com/science/update/1211/TKY200712110365.html

子どもの歯で再生医療 学内に研究拠点=名古屋大学

2007年12月07日 | 再生医療
 名古屋大は6日、乳歯から骨や神経など様々な細胞に分化する能力を持つ「幹細胞」を取り出し、再生医療に役立てる研究をするため、学内に「乳歯幹細胞研究バンク」を設立したと発表した。

 乳歯は同大付属病院など6病院から提供を受け、数年で1万個程度の幹細胞を収集、研究データを集めて臨床応用を目指す。同大によると、大学などの公的機関に乳歯の幹細胞バンクを設置するのは世界初。

 バンクを設立したのは、医学系研究科の上田実教授らのグループ。提供された乳歯や親知らずから、幹細胞を採取して培養。超低温で保存して研究する。幹細胞を使った再生医療では、骨髄や臍帯血(さいたいけつ)があるが、乳歯の幹細胞はこれらに比べて、細胞の増殖能力が高く、採取が簡単なことから、実用化に期待が集まりそうだ。

 上田教授らは子犬の歯から取り出した幹細胞で親犬のあごの骨を再生できることをすでに確認しており、近親者の再生医療に使える可能性もあるという。上田教授らは犬の実験例を重ねて研究成果を発表したうえで、厚生労働省や学内の倫理委員会の審査を経て、人の臨床実験を実施したいとしている。上田教授は「これまで捨てられていた歯が有効活用できるうえ、受精卵からつくられる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)に比べ、倫理的な問題も少ない。将来的には、孫の乳歯で祖父母の骨粗しょう症による骨折や傷跡などを治療できる可能性がある」と話している。

[読売新聞 / 2007年12月07日]
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071207-OYT8T00085.htm

iPS細胞:米研究チーム、マウスで貧血症治療に成功

2007年12月07日 | 再生医療
 貧血症のマウスの皮膚細胞から作った万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を使い、貧血症を治療することに、米国の研究チームが成功した。6日の米科学誌「サイエンス」電子版に発表した。iPS細胞を使い、動物の病気の治療に成功したのは世界で初めて。すでに京都大などのチームがヒトの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功しており、再生医療の実現へまた一歩前進したといえる。

 米マサチューセッツ工科大などの研究チームは、遺伝性の重度の貧血「鎌(かま)状赤血球貧血症」のマウスの尾から皮膚細胞を採取。京都大のチームと同じ四つの遺伝子を導入して、さまざまな細胞に分化する能力のあるiPS細胞を作った。四つの遺伝子のうち一つはがん遺伝子だったが、ウイルスを使って特殊な酵素をiPS細胞に導入し、この遺伝子を取り除いた。

 次に、iPS細胞の中にある貧血の原因遺伝子を健康な遺伝子に組み換え、赤血球や白血球など血液のさまざまな細胞を作り出す元となる造血幹細胞に分化させた。

 この造血幹細胞を、細胞を採取したマウス3匹の尾の静脈に注射したところ、体内で健康な血液を作り始め、約3カ月後には血液中の成分が大幅にで改善した。

 研究チームは「さまざまな細胞に分化できる能力を持たせるための遺伝子の導入や、iPS細胞になってからの遺伝子組み換えなどは、がんを含む副作用を引き起こす可能性がある。ヒトに応用するには、これらの問題を解決し、安全な方法を開発する必要がある」としている。

 ヒトiPS細胞の作成に成功した山中伸弥・京都大教授は「iPS細胞を患者自身の細胞から作り、遺伝子の異常を修復し、必要な細胞を分化させ、同じ患者に戻して治療するという、理想とする治療が実現できることを、マウスを使って示した重要な研究だ」と話している。【須田桃子】

[毎日新聞 / 2007年12月07日]
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20071207k0000m040175000c.html

【人間の皮膚から万能細胞、再生医療へ前進=京都大学】 (11月20日)
http://blog.goo.ne.jp/cinogi/e/39f4bab4f70c921788dedb822692eb25

がん遺伝子なしで万能細胞作製、応用に一歩=京都大学

2007年12月01日 | 再生医療
 体の細胞から万能細胞(iPS細胞)をつくる際に使う「がん関連遺伝子」なしでも万能細胞をつくることに、京都大・再生医科学研究所の山中伸弥教授らが成功した。この万能細胞をもとに生まれたマウスを育ててもがんにならないことを確認。同じ方法で人の万能細胞もつくったという。同グループは先月、世界で初めての人のiPS細胞づくりを公表したばかりだが、臨床応用に向け課題といわれた安全性の問題を一つ解消したことになる。1日発行の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)に発表する。

 山中教授らは、皮膚の細胞に四つの遺伝子を組み込み、万能細胞をつくる手法を確立した。ただ、がん発生にかかわるとされる遺伝子c―Mycを含んでいた。この手法でつくった万能細胞をもとに生まれたマウスでは2割に腫瘍(しゅよう)ができた。

 今回、c―Mycを除いた残りの3遺伝子だけを皮膚細胞に入れる実験を実施。培養条件を見直し、新しい万能細胞をつくった。この万能細胞を使って生まれたマウス26匹を100日間育てたが、1匹もがんにならなかった。一方、c―Mycを含む場合では、37匹中6匹にがんができた。

 ただ、今回の手法でも安全性の問題が解決されたわけではない。山中教授は「皮膚の細胞に遺伝子を送り込むのにウイルスを使うので、がんを引き起こす可能性は残っている」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月01日]
http://www.asahi.com/science/update/1130/OSK200711300290.html

人間の皮膚から万能細胞、再生医療へ前進=京都大学

2007年11月20日 | 再生医療
 人の皮膚細胞などに複数の遺伝子を組み込み、各種の組織のもとになる万能細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)をつくることに、京都大・再生医科学研究所の山中伸弥教授らが成功した。21日、米科学誌セル(電子版)に発表する。米ウィスコンシン大も同日、米科学誌サイエンス(電子版)に同様の成果を発表する。人間の体細胞から万能細胞ができたことで、臓器や組織を補う再生医療が現実味を帯びてきた。

 代表的な万能細胞の胚(はい)性幹(ES)細胞は、生命の萌芽(ほうが)である受精卵を壊してつくるので批判が根強い。山中教授と高橋和利助教らは昨年8月、マウスの皮膚の細胞に四つの遺伝子を組み込み、世界で初めてiPS細胞を作製。受精卵を壊す必要がなく、倫理問題が少ないとして注目された。

 山中教授らは今回、成人の顔の皮膚の細胞や関節にある滑膜の細胞に、マウスの場合と同じ四つの遺伝子を導入。人やサルのES細胞の培養用の増殖因子を使ったり、マウスより長く培養したりして、人間のiPS細胞をつくるのに成功した。この細胞が、神経細胞や心筋細胞、軟骨などへ分化できることも確認したという。

 山中教授は「再生医療の実現にはまだ少し時間がかかるが、ねらった細胞に効率よく分化させたり、安全性を高めたりして、臨床応用につなげたい」と話している。

 一方、米ウィスコンシン大のチームは、山中教授らの4遺伝子のうち二つを別の遺伝子にして、新生児の皮膚細胞からiPS細胞をつくった。

[朝日新聞 / 20071120]
http://www.asahi.com/science/update/1120/TKY200711200405.html

子宮筋肉に「幹細胞」、筋腫発症の解明に期待=慶応大学

2007年11月06日 | 再生医療
 人間の子宮の筋肉組織に、高い増殖能力を持ち、筋肉や脂肪などの細胞に成長できる「幹細胞」が存在することが、慶応大の岡野栄之(ひでゆき)教授(生理学)らの研究でわかった。子宮筋腫(きんしゅ)などの病気発症の解明につながる成果で、米科学アカデミー紀要(電子版)に近く掲載される。

 女性が妊娠すると、胎児をはぐくむ子宮は通常の20倍以上の重さまで増大する。また、子宮の中に筋肉の塊ができる子宮筋腫は、単一細胞が増大してできると考えられてきた。だが、これらの詳しい仕組みはわかっていなかった。

 研究チームは、手術で摘出した63人分の子宮筋組織から特殊な方法を使い、幹細胞の性質を持つ細胞を収集。この細胞をマウスの子宮に移植し、妊娠させたところ、人の細胞で構成された子宮筋組織が作られた。妊娠・出産に重要なホルモンと結合するたんぱく質もできていた。

 この細胞は脂肪細胞や骨細胞にも変化でき、幹細胞であることが確認された。研究チームの丸山哲夫・同大講師(産婦人科)は「子宮の一部を失った人に、この細胞を移植して再生する医療に結びつく可能性がある」と話している。

[読売新聞 / 2007年11月06日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071106i406.htm



【ヒトの子宮筋幹細胞を確認 慶大グループ】

 子宮の細胞は妊娠すると増えたり大きくなったりするが、そのおおもとになる子宮筋幹細胞を、ヒトの子宮筋組織から見つけることに慶応大グループが成功、今週の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。幹細胞は子宮筋腫の発生にかかわっている可能性があり、子宮筋腫の仕組み解明や治療に道が開けそうだ。

 グループは同意を得て採取したヒトの子宮筋組織の細胞から、活動していない細胞群を選び出し、個別の細胞に分化していない幹細胞の集まりであることを確認、培養にも成功した。

 この細胞群から得た細胞を免疫不全マウスの子宮に移植したら、ヒト由来の子宮筋ができた。妊娠後は分娩(ぶんべん)に必要なヒト由来のたんぱく質も発現した。多分化能を確認したほか、子宮筋腫でみられる子宮筋細胞が骨や脂肪の細胞に変わる様子も確認できた。幹細胞が子宮筋腫の発生に関係する可能性もうかがえた。

 同グループの丸山哲夫講師(生殖内分泌学)は「将来、子宮頸(けい)がんの手術で切除した部分の再生など治療法の開発につなげたい」と話す。

[朝日新聞 / 2007年11月06日]
http://www.asahi.com/science/update/1106/TKY200711060044.html

再発の仕組みを解明 成人の急性骨髄性白血病=理化学研究所、九州大学、虎ノ門病院

2007年10月29日 | 再生医療
 大人の急性骨髄性白血病の再発は、急激に増殖する白血病細胞そのものではなく、白血病細胞のもとになる白血病幹細胞がカギを握っているらしいことが、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(横浜市)と九州大病院、虎の門病院などの共同研究でわかった。新たな治療戦略を立てるのに役立ちそうだ。米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーに発表した。

 急性骨髄性白血病は成人10万人に約3人が発症し、白血病の中では発症率が高く根治が難しい。

 研究チームは、ヒトの白血病を再現するマウスを作り、白血病細胞と白血病幹細胞について、抗がん剤の効き目や発症能力などを調べた。

 その結果、白血病細胞は増殖能力が高いが抗がん剤がよく効いた。一方、幹細胞は増え方はゆっくりだが抗がん剤はあまり効かなかった。このため、抗がん剤で治療をしても、幹細胞が残って再発の原因になっていることが考えられた。

 幹細胞に抗がん剤が効かないのは、これまでの抗がん剤が増殖能力が高い細胞を標的にしていることが裏目に出ているためらしい。

 理研の石川文彦ユニットリーダーは「再発防止では急激に増える白血病細胞をたたくとともに、増殖速度が正常細胞に近い白血病幹細胞もたたく必要がある。それができる分子標的薬の開発につなげたい」としている。

[朝日新聞 / 2007年10月29日]
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710280142.html

神経細胞を正しく配線、“目印”のたんぱく質を発見=東京大学

2007年09月01日 | 再生医療
 動物の体内で神経細胞が正しく配線されるのに、不可欠な“目印”となるたんぱく質を、東京大大学院新領域創成科学研究科の能瀬聡直教授らがショウジョウバエで見つけた。

 伸びる神経細胞に対し、「こっちに来るな」と働きかけるもので、交通事故などで傷付いた神経の再生治療に役立つ可能性がある。米科学誌「カレント・バイオロジー」(電子版)で発表した。

 神経細胞は、「軸索」という突起を伸ばして、決まった相手の神経や筋肉などの細胞と結合することで、正しい神経回路をつくっていくが、その仕組みは詳しくわかっていなかった。

 能瀬教授、稲木美紀子研究員らは、幼虫になる前のショウジョウバエを解剖。筋肉に神経細胞が結合する過程を詳しく調べた結果、「Wnt4」と呼ばれるたんぱく質が、本来の相手とは異なる細胞と結合しないよう、伸びる神経細胞を拒絶する役割を担っていることがわかった。

 能瀬教授によると、神経回路の配線時に、神経細胞に「こちらにおいで」と働きかける、たんぱく質はこれまで3種類見つかっているが、「来るな」というたんぱく質の発見は初めて。

[読売新聞 / 2007年09月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070901it11.htm

聴力回復実験に成功、メニエール病治療に道=厚生労働省研究班

2007年06月28日 | 再生医療
 様々な細胞に分化する幹細胞を難聴のラットの内耳に移植し、聴力を回復することに、厚生労働省研究班(主任研究者=松永達雄・国立病院機構東京医療センター室長)が成功した。

 難聴や激しいめまいがおこるメニエール病の治療法の開発に道を開くもので、米病理学誌最新号で報告した。

 音を脳神経に伝える内耳には、音を電気信号に変えるのに必要な細胞(線維細胞)と信号をセンサーのように感知する細胞(有毛細胞)がある。難聴は、こうした細胞が何らかの原因で死んでしまって起こる。しかし、センサー役の有毛細胞に幹細胞を移植しても、聴力は回復しなかった。松永室長らは、有毛細胞が生きていて、線維細胞だけが死んでいる難聴に着目。線維細胞を人工的に死滅させたラットの内耳に、骨髄から採取した幹細胞を移植し、聴力が回復するか試した。

 その結果、半数のラットで幹細胞が生着し、線維細胞と同じたんぱく質を作ることを確認。2週間後、聴力を比較したところ、何もしない7匹のラットの聴力の自然回復は平均37%だったのに対し、幹細胞が生着したラット6匹は平均60%まで向上した。線維細胞の障害や異常は、健康な人の聴力が突然落ちる「突発性難聴」や、メニエール病に関係していると指摘される。松永室長は「慢性化した難聴でも、音を感じる細胞や神経が生きていれば、幹細胞の移植で聴力が回復するかもしれない」と話している。

[読売新聞 / 2007年06月28日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070628i501.htm

聴力回復実験に成功、メニエール病治療に道…厚労省チーム(読売新聞) - goo ニュース