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ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

笑い測定機開発、大爆笑4秒で20「アッハ」=関西大学

2008年02月15日 | 心のしくみ
 笑いの「量」を数値化し、アッハ(AHA)という単位で表す「笑い測定機」を関西大の木村洋二教授(コミュニケーション論)と大学院修士2年の降旗真司さんの研究チームが開発した。笑いは健康にいいといわれるが、それを科学的に検証するために役立てたいという。

 ほお、横隔膜、腹筋の周辺の皮膚にセンサーを張り付け、1秒に3000回の頻度で筋肉の動きをデータ化する。これをパソコンに取り込み、独自開発の専用ソフト「DLA」で解析し、笑いの度合いを判定する。表情だけの「あいそ笑い」や、声だけの「から笑い」など、心から笑っていない人を見破ることもできるという。木村教授によると、大爆笑は1秒あたり5アッハほどで、これが4秒続くと20アッハになる。

 07年1月に研究を始め、同11月に測定器の原理に関する特許を出願した。開発費は約600万円。年内に携帯電話ほどのサイズに小型化したいという。木村教授は「将来はチンパンジーの笑いを測定して人間との違いを比べたい。人の笑いがどう進化してきたかという答えを探ることも、測定器開発の狙いの一つ」と話している。

 23日午後1時から大阪府吹田市の同大で開かれるシンポジウム「笑いを科学する」で公開実験をする。

[朝日新聞 / 2008年02月15日]
http://www.asahi.com/science/update/0215/OSK200802150063.html

脳蛋白(たんぱく)の欠損が「レインマン」現象に関与か=マサチューセッツ工科大学

2008年02月12日 | 心のしくみ
特定の脳蛋白(たんぱく)の欠損によって、映画「レインマン」に登場するような特殊な能力に秀でた自閉症患者の現象が説明できる可能性が、米マサチューセッツ工科大学(MIT、ケンブリッジ)の研究者らによって報告された。自閉症患者は時に、機械的記憶や音楽などで傑出した能力をみせることがあり、「自閉症サバン(autistic savant)」と呼ばれる。

医学誌「Journal of Neuroscience」2月13日号に掲載された知見によると、シナプス(脳細胞が連絡し合うための接合部)の形成に利用される重要な蛋白が欠損するように遺伝子操作したマウスは、正常なマウスに比べ空間記憶の課題を早く正確に覚えることができたという。しかし、数週間後の検査では、遺伝子操作マウスが記憶したことを思い出す能力は正常なマウスよりも低く、恐怖心を引き起こすような状況を思い出すのが困難であることがわかった。

このように異なるタイプの学習にみられる正反対の作用は、ある認知領域に障害があるが、別の領域では高い能力が認められる自閉症患者の特徴を思わせると、共同研究者の1人であるマサチューセッツ総合病院(ボストン)のAlbert Y. Hung氏は述べている。

シナプスの骨格となるこの蛋白はShank1と呼ばれるもの。この蛋白が欠損すると、マウスのシナプスは、入力に反応する準備はできているが記憶を長時間保持することはできない状態に陥ってしまうものと思われる。ヒトでは、Shank1とよく似た蛋白であるShank3の変異が、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連するとされている。

[Yahoo!ヘルスケアコラム / 2008年02月12日]
http://health.yahoo.co.jp/news/detail/?idx0=w14080216

あなたの眠り 何点? 睡眠計を考案…大阪バイオサイエンス研究所

2008年01月04日 | 心のしくみ
耳から脳波測定 2年内に実用化目指す
 耳に装着して脳波を測り、睡眠の状態を調べる携帯型の「睡眠計」を、大阪バイオサイエンス研究所(大阪府吹田市)の裏出良博・研究部長らが考案し、試作品を完成させた。睡眠の質と量を正確に把握して点数化することも可能で、裏出部長は「家庭での健康管理や居眠り運転の防止などに活用できる」として、2年以内の実用化を目指す。



 裏出部長らは、睡眠時に脳波の成分の一部が消失して単純な波になり、頭の広い範囲で同種の脳波が計測できることに着目。筋肉が収縮する時に発生する信号が計測を妨げるため、信号の影響が少ない耳につける脳波計を作った。

 脳波の波形から、主に体を休める「レム睡眠」と、脳を休める4段階の「ノンレム睡眠」を判別。マウスの実験をもとに、睡眠の深さと覚せいを自動的に判定する解析ソフトを開発し、人間に応用した。

 今後、携帯電話などを介して「睡眠解析センター(仮称)」に伝送、点数化した解析結果を数分で返送するシステムを作る予定。点数が一定以下だと車の運転をやめたり、不眠症の人が自分に合う睡眠導入剤の選別に利用したりすることにも役立つ。データを集積し、年齢や性別、地域ごとに分類した「睡眠脳波データベース」を作ることも検討している。

 健康・体力づくり事業財団などの調査では、日本人の4~5人に1人が不眠と回答し、60歳以上では約30%に上る。睡眠障害は、うつ病、循環器の病気などの引き金になるが、睡眠の状態を知るためには通常、病院などで大がかりな装置を使い、多数の電極を装着して睡眠時の脳波を計測しなければならない。

[読売新聞(関西発) / 2008年01月04日]
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20080104ke02.htm

顔見ず育っても表情識別=成長の特定時期に環境適応-猿の赤ちゃんで=産業技術総合研究所

2008年01月01日 | 心のしくみ
 猿の赤ちゃんは、人間や動物などの顔を最長2年間全く見ずに育っても、人間や猿の顔の表情の違いを見分けられることが分かった。しかし、その後人間の顔だけを1カ月間見続けると、人間の顔しか表情が分からなくなり、猿の顔だけ見続けると、猿の顔しか違いが分からなくなった。産業技術総合研究所の杉田陽一認知行動科学研究グループ長が1日までに行った実験の成果で、論文は米科学アカデミー紀要の電子版に掲載される。
 顔を見る際には、他の物を見るときとは違う脳神経回路が働いているとみられ、これは赤ちゃんにとって表情を読み取ることが、親の保護を受けて生きる上で極めて重要だからだと考えられる。さらに、微妙な表情の識別能力は、感受性がある時期に環境に応じて特殊化することが示された。

[時事ドットコム / 2008年01月01日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008010100126


[「顔の認識」能力、生まれつき備わる サルで確認]

 人やサルが「社会」をつくる際、顔や表情の微妙な違いを見分ける能力が重要な役割を果たしていると考えられているが、脳には生まれつき「顔識別回路」が備わっており、実際に「顔」を見ることによって急速に発達するらしい――。産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のチームがサルを使ったユニークな実験で確かめた。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 チームは生まれたばかりのサル10頭をそれぞれ隔離し、世話をする人も顔を隠して乳幼児期の6カ月~2年間育てた。

 こうして「顔」を知らずに育ったサルだが、人やサルの顔写真を見せると、物の写真より長く見た。また顔写真を見せた後に別の顔写真を見せると新しい顔を長く見ることから、顔を識別していることがわかり、「顔識別回路」が生来のものと確かめられた。目と口の間の距離を変えた写真などを使って、細かい差を識別していることも確認した。

 この実験の後、実物の人の顔を見せるグループと、実物のサルの顔を見せるグループに分け、1カ月後に再び顔写真を見せると、人の顔を見て育ったサルは人の顔写真は見るがサルの顔写真に対する興味を失った。逆にサルの顔を見て育ったサルは、人の顔写真への興味を失った。

 「身近な顔をみて、顔の特徴を識別する能力を急速に発達させていることがわかった」と杉田陽一・脳神経情報研究部門認知行動科学研究グループ長はいっている。

[朝日新聞 / 2008年01月04日]
http://www.asahi.com/science/update/0104/TKY200801040103.html


あけましておめでとうございます。
強引に記事を持ってきてるクセに、相変わらず、殆んど自分のコメント書けません(頓珍漢なことは書いてない方がノイズ少なくて良いかな)。新聞社も記事をすぐに消さずに、ずっと残しておいてくれたらいいのに‥。

表情を読み取る神経回路。‥そのうち「その場の雰囲気(空気)を読むニューロン」なんてものも見付かるのでしょうか。もし、そんなのが見つかったとしても、わたしには備わっていないか、うまく機能していないのかもしれません。わーん(泣)。

本当?就寝前のメールチェックは不眠のもと=エディンバラ睡眠センター

2007年12月29日 | 心のしくみ
 【ロンドン=森千春】「就寝前に電子メールを読むと、不眠の原因になる」――。28日付の英紙デイリー・テレグラフは、エディンバラ睡眠センターのクリス・イジコフスキ博士によるこんな研究結果を報じた。

 コンピューターなど電子機器からの光が、睡眠を誘うホルモン「メラトニン」の分泌を妨げ、脳が眠りに向かうための準備が止まってしまうためだという。

 同紙によると、ベッドに入る1時間前に仕事の電子メールをチェックすると、エスプレッソ2杯分と同じくらいの不眠効果がある。

 研究はホテル・チェーンの委託で行われた。

[読売新聞 / 2007年12月29日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071229i211.htm

・・・うーん、光、なのかなあ?
それよりもたくさんの神経活動を要求する文字情報、言葉の意味が惹起する情動、指の動きなどが脳全体を刺激するような気がするのですが‥。明るく光るものだけを見せる、という比較実験がされていたら、知りたいですね。
それにしても「不眠効果」って‥あんまり役に立たないんじゃないかな(わたしには笑えない(苦笑))。

抗うつ薬:自殺リスクについて注意改訂を指示=厚労省

2007年12月26日 | 心のしくみ
 厚生労働省は、国内で承認されている全種類の抗うつ薬について使用上の注意を改訂し、24歳以下の患者が服用すると自殺を図るリスクが高まることを記載するよう、製薬会社に指示した。

 抗うつ薬により、うつ病患者が自殺を考えやすくなる場合があることは以前から知られており、一部の薬はこれまでも18歳未満への投与に対する危険性を指摘されていた。しかし海外の複数の臨床試験で、24歳以下の患者は抗うつ薬を服用しない場合よりリスクが高まるとの結果が出たことから、米国の食品医薬品局(FDA)が4~5月に使用上の注意改訂を指示。厚労省もこれを受け、注意喚起のために同様の措置を取ることにした。

 厚労省安全対策課は「効能を否定してはいないので、服用をただちにやめるのではなく、医師に相談しながら使ってほしい」と呼び掛けている。【清水健二】

[毎日新聞 / 2007年12月26日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071227k0000m040042000c.html

暗算、サルにもできる 正答率8割=デューク大学

2007年12月18日 | 心のしくみ
 サルにも足し算の暗算をこなす能力があり、正答率は8割近くに達したとする実験報告を米デューク大学(ノースカロライナ州)のエリザベス・ブラノン准教授(認識神経学)らの研究チームがまとめ、科学誌プロス・バイオロジー12月号で発表した。

 動物には数量を認識する能力が備わっていることは分かっているが、足し算などの算数ができるかどうかははっきりしていなかった。(時事)

[朝日新聞 / 2007年12月18日]
http://www.asahi.com/science/update/1218/JJT200712180006.html

鏡の中:左右逆転の謎 古くはプラトンを悩ませ 今も熱い論争(毎日新聞コラム)

2007年12月09日 | 心のしくみ
◇物理で説明か、心理かかわるか

 鏡の前で右手を上げると、鏡の中の私は左手を上げているように見える。なぜ鏡の中では左右が反対なのか。この問いかけは、古くはギリシャの哲学者、プラトンが考えたと言われるほど長い歴史を持つ。現在も認知心理学と物理学の両分野で、国際的な議論が続いている。今年11月、「鏡像問題に決着をつけた」とする認知心理学者の論文が発表されると、物理学者が批判するなど熱い論争が続く。鏡像の謎に迫った。【関東晋慈】

 ◇実証実験で論文

 東京大の高野陽太郎教授(認知心理学)らは11月、英国の心理学専門誌に実証実験に基づく鏡像問題の論文を発表した。102人の学生が協力。この分野では過去にない仮説検証実験だった。

 論文で分析した二つの主な実験は、自分自身と文字を鏡に映し、左右、上下に逆転しているかどうかを問う内容だ。

 まず、自分の姿については、「逆転している」と答えた学生は67人(65・7%)、「逆転していない」と答えた学生は34人(33・3%)だった。高野教授は「3割以上もの人が鏡に映る自分が逆転しないと感じている。鏡像問題は逆転していることが問題の前提だったが、歴史の中で初めて示した事実」と話す。

 この現象を説明するのが視点の転換という。鏡の中の自分の視点から、判断した人は逆転して見え、置き換えなかった人は逆転しないという。

 文字の逆転の実験では、最初にアルファベットの「F」を鏡に映した。102人全員が左右逆転していると答えた。次に、ロシア語のアルファベットであるキリル文字の「ユ」で実験した。52人のうちロシア語を学んだことがない学生45人では、「逆転」と「逆転していない」が同数の16人(35・6%)、「分からない」も13人(28・9%)とばらつきが出た。一方、ロシア語を学んだことがある学生7人は全員が逆転していると答えた。これは、記憶の文字と鏡像が逆になることで生じた結果だという。

 高野教授は逆転する理由について、(1)鏡に映った人の視点から左右を判断する(2)記憶と逆に見える--という二つを挙げている。「理由が複数あるという点が、他の研究者の理論と大きく違うところ」と話し、「鏡像問題は、人間にとって、どう見えるかという問題だ」と主張する。

 ◇問題の起源は

 鏡像問題は「なぜ左右が逆になるのか」という疑問から始まった。だが設問自体があいまいだったことと、物理的説明と視覚による認知という心理的要素の混在で、明快な仮説はごく近年まで提唱されなかった。

 例えば、ノーベル物理学賞を受賞した米国のファインマン(1918~88)は大学生時代に鏡像問題を考えたことが伝記に残っている。日本の朝永振一郎は随筆の中で、ファインマンによく似た説明として「鏡の後ろに回って立つ自分を想定して比較してみる」などと記しているが、最後は「何かもっと一刀両断、ずばりとした説明があるのか、読者諸兄に教えていただきたい」と結論には至っていない。

 国際的には英国や米国、ニュージーランドの心理、物理、さらに哲学者がさまざまな仮説を提唱している。文字を鏡に映すために、ぐるりと回して鏡に向ける時に左右が反対になるとする「回転説」や、逆転している方向を「左右」と見なすのが習わしだという「言語習慣説」まである。

 ◇批判論を準備中

 鏡像問題について国際的に論文発表をしているのは高野教授らのグループのほかに、物理学の分野で多幡達夫・大阪府立大名誉教授(放射線物理学)のグループがある。多幡名誉教授は「鏡像の左右逆転、非逆転の根本的な理由に、心理は本質的なかかわりを持たない」と訴える。物理的要因が心理的プロセスに先立つ原理だという立場で、高野教授の理論を批判する論文を準備中だ。

 多幡名誉教授によると、非対称なものの鏡像は実物と比べ、上下・前後・左右の三つの軸のうち一つの軸が逆になる。鏡に人を映した場合、人の体が外見上ほぼ左右対称なため、上下・前後の軸を決めた後に左右が決まることになる。鏡像を、実物とは違う鏡像固有の座標系で考えると、左右が逆転する。多幡名誉教授は「逆転が起きないのは、実物と鏡像で同じ座標系を使っているから。例えば、右手を上げた場合、鏡像も右側の手を上げている」と説明する。

 多幡名誉教授は「鏡像問題は、物理的に説明できるという考え方と心理がかかわっているという考え方が争ってきた。物理的理解をしっかり踏まえた上で、心理的研究をさらに進めるならば、今後の鏡像問題研究はますます興味深くなると思う」と話している。

[毎日新聞 / 2007年12月09日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071209ddm016040025000c.html

チンパンジーの子、瞬間記憶力は大学生もかなわない?=京都大学霊長類研究所

2007年12月04日 | 心のしくみ
 チンパンジーの子どもには、ものを見て瞬間的に形や位置を記憶する能力が生まれつき備わっており、大人のチンパンジーや大人のヒトの記憶力を超えているようだ。京都大霊長類研究所の松沢哲郎所長や教務補佐員の井上紗奈さんらの研究で解明された。4日発行の米科学誌「カレントバイオロジー」に掲載された。

 同研究所で00年に生まれた3組の子どもと母親で調べた。子どもが4歳(ヒトでいえば6歳)になると、数字の1から9までの形と順番を、コンピューター画面上で教え始めた。画面上の数字を、順番を間違えずに全部触ることができれば、ごほうびのリンゴを食べられる。母親にも同じことを教えてある。

 その上で、問題をさらに難しくした。画面上に現れた数字を、すぐに白い四角形で置き換えて隠す。記憶を頼りに元の数字の順番どおりに四角形を触ることができれば正解だ。チンパンジーの子どものアユムは0.7秒見るだけで九つの数字の位置をほぼ正確に記憶できた。大学生にも試したが、同じ時間ではだれもできなかった。

 そこで、チンパンジーの3組の母子(大人の平均年齢28歳、子ども5.5歳)と、9人の大学生(平均年齢19歳)の記憶力を比べるために、数字を5個に減らし、数字が見える時間を0.65秒、0.45秒、0.21秒とだんだん短くして実験した。すると、大学生では、0.65秒見せた時の正答率は8割だったが、時間が短くなるにつれて正答率が下がり、0.21秒では4割となった。チンパンジーの大人も正答率が5割から2割へ下がり、同じ傾向だった。

 しかし、チンパンジーの子どもは、時間を短くしても正答率がほぼ8割のままだった。また、この記憶は少なくとも10秒は続いていることが実験から明らかになった。

 松沢所長は「瞬間的にものを見てそのまま記憶する能力がチンパンジーの子どもには備わっている。ヒトでもそういう子どもが、まれにいるという。ヒトの子どもとも比べて、この能力のメカニズムを明らかにしたい」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月04日]
http://www.asahi.com/science/update/1204/OSK200712040012.html

糖尿病合併症:「笑い」に腎症への進行抑える効果=国際科学振興財団

2007年12月03日 | 心のしくみ
腎臓の働きが悪くなる糖尿病合併症の腎症への進行を笑いが抑える可能性があると、国際科学振興財団バイオ研究所(茨城県つくば市)の研究チームが3日、発表した。

 チームは、健常者16人、腎症のない糖尿病患者12人、腎症の糖尿病患者11人の計39人に、吉本興業の協力を得て「ザ・ぼんち」の漫才を40分間観賞してもらい、前後で血液を検査した。

 糖尿病患者は、たんぱく質のプロレニンの血中濃度が高くなることが知られており、腎臓の細胞にある受容体とプロレニンが結合すると腎症が進行する。血中濃度を比べたところ、観賞前では健常者の平均が1リットル当たり32.5ナノ(ナノは10億分の1)グラム、腎症のない患者が同93.4ナノグラム、腎症患者が同196.6ナノグラムだったが、観賞後には、腎症のない患者は同60.4ナノグラムに減り、統計的な差が認められた。腎症患者も同166.7ナノグラムと減る傾向があった。

 また、腎臓以外の血液中にあるプロレニンと結合する受容体の遺伝子の活動を笑いの前後で比べた結果、健常者はほとんど変わらなかったが、糖尿病患者は遺伝子の働きが約1.5倍、活発になった。同研究所の林隆志主任研究員は「笑いで遺伝子が活発になり、血中の余分なプロレニンが受容体と結びつき濃度が下がるのではないか。笑いが糖尿病合併症への進行を抑制することを示唆している」と話す。【石塚孝志】

[毎日新聞 / 2007年12月03日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20071204k0000m040089000c.html

ゼロ歳児にも遊び相手を選ぶ能力=エール大学

2007年11月24日 | 心のしくみ
ワシントン(AP) 意地悪な相手と優しい相手を見分けて、優しいほうと遊ぼうとする――生後6カ月から10カ月の赤ちゃんに、こんな複雑な判断能力があるとの研究結果を、米エール大の研究チームがこのほど、英科学誌ネイチャーに発表した。


チームは、大きな目が描かれた木製のおもちゃ3個を使って実験を試みた。1つのおもちゃが急坂を上ろうとする。そこへもう1つの「良いおもちゃ」がやって来て手助けし、別の「悪いおもちゃ」は引きずり下ろそうとする――という場面を赤ちゃんに見せた後、これらを赤ちゃんに与えたところ、ほぼ全員が、悪いおもちゃではなく、良いおもちゃのほうを選んだという。


また、手助けも邪魔もしなかった「中立のおもちゃ」を加えてみると、悪いおもちゃより中立、中立より良いおもちゃを選ぶ傾向がはっきりと現れた。男児と女児の反応に差はなかった。ただ、おもちゃから目を消した実験では、赤ちゃんたちはこれほどの判断力を示さなかったという。


チームを率いた同大の心理学者、カイリー・ハムリン氏は「ゼロ歳児にこのような社会的能力があるとは驚きだ。人間は生まれたばかりの時点で、教えられなくても社会性を備えているようだ」と述べた。


一方、フロリダ・アトランティック大の心理学者、デービッド・ルーコビッチ氏は、「赤ちゃんは生後6カ月までの間に、非常に多くの社会的経験を蓄積する。この実験で示された能力が、経験によって得られたのではないと結論付けるのは誤りだ」と批判する。


これに対し、ハムリン氏は、「予備実験では、生後3カ月の赤ちゃんにも同様の反応がみられた」と主張している。同氏らのチームはさらに、これが人間特有の能力かどうかを調べるため、サルを使った実験にも取り組んでいるが、結果はまだ出ていないという。

[cnn.co.jp / 2007年11月24日]
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200711240001.html

赤ちゃんにも人を見る目?生後6カ月で実験=エール大学

2007年11月22日 | 心のしくみ
 敵になる人か味方になる人か……。生まれて6カ月の赤ちゃんが他人を助ける人の方を好む傾向があることを、米エール大グループが実験で突き止め、22日付英科学誌ネイチャーで発表した。人は小さいころから「モラル」を持っているのではとの見方を示している。

 人を見分ける力は、社会生活を営んでいく上で重要だ。実験では、顔に見せかけたおもちゃが山に登ろうとしているときに、それを助けて押し上げるキャラクターと、妨害する別のキャラクターがそれぞれ登場する場面を見せた。その後、二つのキャラクターを見せると、ほとんどの赤ちゃんが助けるキャラクターを選んだ。

 これまで、1歳半で人を助けようという行動をとるという報告があるが、社会的判断は、かなり大きくなってからできるようになると考えられていた。

[朝日新聞 / 2007年11月22日]
http://www.asahi.com/science/update/1121/TKY200711210399.html

音楽が女性ホルモンと作用 性別で不安緩和効果に差=徳島大学

2007年11月15日 | 心のしくみ
 音楽を聴くと不安が和らぐ効果には女性ホルモンの作用が関係しており、これが性別による効果の差を生んでいる可能性があることを、徳島大の近久幸子助教(環境生理学)らの研究チームがマウスを用いた実験で15日までに突き止めた。

 不安が音楽によって取り除かれるとの報告は多いが、男性より女性で効果が強く現れる傾向があり、理由は不明だった。

 チームは、高所で不安定な実験装置にマウスを入れて行動を分析。メスにクラシック音楽を聴かせると、装置から落ちそうな場所を避けるなど不安を示す行動が減った。

 オスではこの効果がなく、女性ホルモンの一種プロゲステロンを働かなくしたメスでも効果が消失。チームはこの物質が音楽による不安緩和に重要な役割を果たしており、性別で効果の差が出る一因と結論した。

[中日新聞、共同通信 / 2007年11月15日]
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007111501000015.html

「楽観的思考」をつかさどる脳領域を特定=ニューヨーク大学、ロンドン大学

2007年10月28日 | 心のしくみ
ワシントン(AP) 将来の出来事についての楽観的な考え方は、脳のある部分と密接な関係にあるとの研究結果を、米ニューヨーク大の心理学者らがこのほど、英科学誌ネイチャー電子版で発表した。


同大のエリザベス・フェルプス氏は、英ロンドン大のタリ・シャロット氏との共同研究で、被験者15人が先のことを予測する際、脳内の血流がどう変化するかを、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調べた。その結果、本人が楽観的な考え方をしている時ほど、脳の「前部帯状回吻側部(rACC)」と呼ばれる部分の活動が活発になることが明らかになったという。rACCは情動に関連する領域とされ、うつ病患者では血流が低下するとの研究報告もある。


人間は一般に、まだ起きていない出来事について楽観的な見方をする傾向があるとされる。フェルプス氏らの研究では、この傾向を裏付ける結果も報告された。結果が良くも悪くもなり得る将来の出来事80件を被験者に想像させたところ、悪い結果や中立的な結果を予測した人はほとんどいなかったという。たとえば、「髪を切りに行く」ことを想像する場合は、普段のカットでなく、「人生最高の髪型」にしてもらう場面を思い浮かべる人が多かった。


フェルプス氏は、「われわれの脳が楽観的傾向を備えているのは、概して良いことだといえる。逆に悲観的な見方しかできなかったら、何もやる気が起きないだろう」と指摘している。

[CNN.co.jp / 2007年10月28日]
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200710280020.html

体内時計、真夜中の光はやっぱり禁物=理化学研究所

2007年10月22日 | 心のしくみ
 真夜中に光を浴びると眠れなくなるのは、細胞に組み込まれている体内時計が光の刺激でバラバラになり、機能停止に陥るのが原因であることを理化学研究所などの研究チームが突き止めた。

 この成果は、米科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」(電子版)に22日掲載される。

 体内時計は人間などの動物に生まれつき備わっている。体を作る細胞はいろいろな「時計遺伝子」を備えていて、心拍や体温などを約24時間周期で調節する。このバランスが崩れると、不眠症などになることもある。

 理研の上田泰己チームリーダーらは、マウスの皮膚細胞を〈1〉網膜のように光を感じる〈2〉朝の活動モードに切り替える時計遺伝子が働くと、細胞自身が発光する――ように改造。そのうえで、改造細胞群に様々なタイミングで光を当てた。

 正常なら細胞群は朝方光り、夜は消えるはずだが、真夜中に光を当てると、朝の発光が少なくなり、体内時計の働きが弱まった。真夜中に光を3時間続けて当てると、体内時計の機能の一部が停止し、個々の細胞がバラバラに光るようになった。

[読売新聞 / 2007年10月22日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071022it01.htm