ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

チンパンジーの子、瞬間記憶力は大学生もかなわない?=京都大学霊長類研究所

2007年12月04日 | 心のしくみ
 チンパンジーの子どもには、ものを見て瞬間的に形や位置を記憶する能力が生まれつき備わっており、大人のチンパンジーや大人のヒトの記憶力を超えているようだ。京都大霊長類研究所の松沢哲郎所長や教務補佐員の井上紗奈さんらの研究で解明された。4日発行の米科学誌「カレントバイオロジー」に掲載された。

 同研究所で00年に生まれた3組の子どもと母親で調べた。子どもが4歳(ヒトでいえば6歳)になると、数字の1から9までの形と順番を、コンピューター画面上で教え始めた。画面上の数字を、順番を間違えずに全部触ることができれば、ごほうびのリンゴを食べられる。母親にも同じことを教えてある。

 その上で、問題をさらに難しくした。画面上に現れた数字を、すぐに白い四角形で置き換えて隠す。記憶を頼りに元の数字の順番どおりに四角形を触ることができれば正解だ。チンパンジーの子どものアユムは0.7秒見るだけで九つの数字の位置をほぼ正確に記憶できた。大学生にも試したが、同じ時間ではだれもできなかった。

 そこで、チンパンジーの3組の母子(大人の平均年齢28歳、子ども5.5歳)と、9人の大学生(平均年齢19歳)の記憶力を比べるために、数字を5個に減らし、数字が見える時間を0.65秒、0.45秒、0.21秒とだんだん短くして実験した。すると、大学生では、0.65秒見せた時の正答率は8割だったが、時間が短くなるにつれて正答率が下がり、0.21秒では4割となった。チンパンジーの大人も正答率が5割から2割へ下がり、同じ傾向だった。

 しかし、チンパンジーの子どもは、時間を短くしても正答率がほぼ8割のままだった。また、この記憶は少なくとも10秒は続いていることが実験から明らかになった。

 松沢所長は「瞬間的にものを見てそのまま記憶する能力がチンパンジーの子どもには備わっている。ヒトでもそういう子どもが、まれにいるという。ヒトの子どもとも比べて、この能力のメカニズムを明らかにしたい」と話している。

[朝日新聞 / 2007年12月04日]
http://www.asahi.com/science/update/1204/OSK200712040012.html


最新の画像もっと見る