チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<連載>辺野古新基地建設が頓挫する2つの理由(その1) 土砂投入は違法であり、許されない!

2019年01月04日 | 沖縄日記・辺野古

 辺野古新基地建設が頓挫する理由について、3回の連載で説明する。1回目は、「土砂投入は違法であり、許されない」。以後、「軟弱地盤問題」、「特定外来生物の侵入を阻止するための知事権限で、県外からの埋立土砂搬入はできない」と続く。

    (土砂投入が始まった。しかし、この一帯は非常に浅い海域であることが分かる)


第1 土砂投入は違法であり、許されない

土砂投入が始まったけれど ---またも繰り返された違法工事

 2018年12月14日、とうとう辺野古の海に土砂が投入された。

 政府は、「かってない大きな一歩」と強調、多くのマスコミも、土砂投入の状況を時間をかけて放映した。その後も、連日のように「国、埋立加速」、「辺野古、土砂広がる」、「海の原状回復は困難」といった報道が続いている。

  確かに、大幅に遅れていた辺野古新基地建設事業が新しい局面に入ったことは事実である。しかし、事態を冷静に分析してみよう。現在、辺野古の工事はどうなっているのか? 本当にもう取り返しのつかない事態なのか? 辺野古新基地はつくられてしまうのか? 以下、これらの点を検討する。

                                                     

・知事の承認を得ないまま工程を変更し、辺野古側からの埋立開始

  沖縄県は、2018年8月31日、辺野古新基地建設のための公有水面埋立承認を撤回した。ところが政府は、本来、国民救済のための制度であり、国の機関は使えないはずの行政不服審査法を濫用し、撤回の効力を一時停止してしまった。

 そして、12月14日から土砂投入を始めたのだが、執行停止決定が違法である以上、県の承認撤回は継続しており、防衛局は埋立工事を行なう権限を喪失しているのである。

 今回、土砂投入が強行されたのは、辺野古側の「②-1」工区である(別図1 参照)。

 防衛局が沖縄県に提出した埋立承認願書では、埋立工事は、辺野古ダム周辺の土砂を使って、大浦湾最奥部の「①-1工区」 から始めるとされていた。そして、大浦湾沿岸部の「①-2工区」の埋立に入る。辺野古側の「②工区」「②-1工区」の埋立は、その後から始める計画だった。

 しかし大浦湾での工事は、大規模な岩礁破砕が不可避であり、さらに後述する軟弱地盤等の問題のため、防衛局は施工順序を大幅に変更。工事の容易な辺野古側から埋立工事を始めたのである。

 このような工程変更は、本来なら、公有水面埋立法に基づき知事に設計概要変更申請、さらに環境保全図書の変更ともなるから、埋立承認の際の留意事項に基づく知事への変更申請が必要だが、いずれの手続も行なわれていない。この施工順序の変更問題は、県の2018年8月31日の埋立承認「撤回」の理由の一つとされている。

「②-1工区」は上の写真のように非常に浅い海域であり、少しの土砂で埋立は進む。当初の予定を変更し、工事の容易な区域での土砂投入を始めたのは、県民に工事の進捗を見せつけることにより、「もう今更反対しても駄目だ」という諦めの意識を植え付けようとしているのである。

 

・今回の埋立区域は、面積で4%。土量では0.7%弱にすぎない ---原状回復はまだ可能!

 今回、辺野古側の埋立土砂は全て海上搬送される。これは、埋立承認願書の「設計の概要」や添付の「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」(以下、「土砂に関する図書」)に記載されており、陸上搬送を行なうには設計概要変更申請、さらに留意事項に基づく知事の承認が必要である。

 当初は、辺野古側の埋立土砂は、「①-2工区」完成後に中仕切岸壁Bに土砂運搬船を横付けして陸揚げするとされていたが、工程を大幅に変更したため、現状では土砂の陸揚場所はK9護岸の場所に造った仮設護岸しかない。1日の陸揚量は限られており、このままでは、土砂の陸揚げには大変な期間が必要となる。まだ、埋立工事に着手する準備が整っていないのだ。

 それにもかかわらず、慌てて辺野古側の土砂投入に踏み切ったのは、2019年2月24日の県民投票を前にして、県民の諦めを誘うためのパフォーマンスである。

 今回、土砂投入が始まった「②-1工区」の面積は6.3ha、全埋立面積(160ha)の約4%である。ところが非常に浅い海域であるため、埋立てに必要な土量はごくわずかである。

 2018年3月に契約された辺野古側の埋立工事(5件)は、最終の完成高(「基準高+5.7~10.0m」)まで土を入れるものではなく、「基準高+4.0m」の高さまでの埋立である(これを「1期工事」という)。必要な土の量は、13.75万㎥となっている。工期は20ヶ月。すなわち、20ヶ月後に「②-1工区」の1期工事が完成しても、まだ、全体の埋立土量(2062万㎥)から見ると0.7%弱にすぎないのだ。

 この程度の土量で抑えることができれば、まだ原状回復は不可能ではない。もちろん、土砂投入という新たな事態により、環境への致命的な影響を与えていることは事実である。しかし、一刻も早く土砂投入を中止させ、土砂を引き上げさせれば、まだ自然の回復力によって海は戻るだろう。

 玉城デニー知事は12月21日、防衛局の土砂投入強行に対して、「土砂投入を即刻中止するとともに、既に投入された土砂を速やかに撤去すること」という行政指導を行なった。さらに、12月27日の記者会見でも、「違法に投入された土砂は当然に回復されなければならない」と強調している。

 

・また繰り返されている防衛局の違法工事

 そもそも今、進められている土砂投入は、行政不服審査法を濫用したことがまず許されないが、仮にそれが違法でないとした場合でも、留意事項に基づく実施設計・環境保全対策等の事前協議が行なわれておらず、違反工事と言わざるを得ない。

 さらに、具体的な事業の進め方でも、いくつもの問題が指摘されている。

 当初、埋立土砂の海上搬送を予定していた本部港(塩川地区)が、9月末の台風のために損傷し、2019年の3月頃まで使えなくなった。そこで国は12月3日から、名護市の琉球セメントの私設桟橋を使って土砂搬送を始めたのだが、無理な強行だったから多くの問題が浮上している。

 まず、願書に添付された「土砂に関する図書」には、埋立土砂は本部地区の港から積出すと図示されている。それを変更して名護市の港から海上搬送するには、埋立承認の際の留意事項に基づき、知事の承認を得なければならないが、防衛局はその手続をとっていない。

 琉球セメントの桟橋は、知事の公共用財産使用許可を得たものだが、桟橋からの土砂積込は、目的外使用、第3者への転貸であり公共用財産管理規則に違反する。また、桟橋設置の完了届も出されていない。桟橋に設置されたベルトコンベアは大気汚染防止法の届出は石材搬送とされており、土砂を搬送するには変更手続をしなければならない。さらに、桟橋の敷地内に大量の土砂を積上げていることも沖縄県赤土等流出防止条例に違反する。何もかもが違法なのだ。

 防衛局は、市民らの抗議や県の指摘を受け、いったん積込作業を停止した。しかし、琉球セメントに完了届を提出させ、赤土等流出防止条例違反が指摘されている堆積土砂を使わず、砕石場から土砂をダンプで運んで直接、運搬船に積み込むという方法で海上搬送を開始したのである。その土砂が12月14日から辺野古の海に投入されている(条例違反の敷地内に積まれていた土砂も、海に投入された)。

 政府は、あくまでも「14日、土砂投入」にこだわり、強引な手法を続けているのだ。

 知事は、こうした防衛局の違法工事に対して、2回にわたって土砂投入の中止を求める行政指導を行なった。政府が行政不服審査法を使って埋立承認を撤回したのは違法であること、実施設計・環境保全対策の事前協議が行なわれていないこと、変更承認を得ずにK9護岸を陸揚げ桟橋として使用していること等の他、土砂に関する図書や埋立承認願書に記載されている、土砂採取場所の報告が行なわれていないこと、埋立土砂の購入時の性状確認が実施されていないことなどを問題としている。

 まず、土砂採取場所が明かにされていない。埋立承認願書には、「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」を添付し、土砂の採取場所と採取量を記載することとされている(国土交通省港湾局埋立研究会編『公有水面埋立実務便覧』等)。しかし今回の事業では、「埋立承認後に適正な契約手続を経て、工事計画に即した安定・確実な調達が可能な土砂供給業者と土砂購入に係る契約を締結する予定であることから、当該契約を締結した段階でその採取場所等は確定することになる」(「土砂に関する図書」)として、委託調査で調べたいくつかの地区のストック量が示されているにすぎない。「土砂の採取場所は現時点ではまだ決定していない」(2016年4月26日 衆議院沖縄北方特別委員会)であったにもかかわらず、県への届出もないまま埋立土砂の投入を始めたのである。

 防衛局は12月14日、土砂を投入した後に土砂の性状検査結果を県に提出した。ところが、いくつかの検査報告書が2年半以上も前のものであったり、実際に投入された土砂は明かに赤土等の粘土分を大量に含んでいるにもかかわらず、検査結果では粘土分はほとんど含まれないとされていた。県も、あまりに不可解な検査報告書に呆れ、「検査対象の土砂の性状が、既に投入された土砂と同一のものであるかにつき重大な疑義が生じている」(知事の行政指導文書 2018.12.21)と指摘している。

 知事は土砂投入の中止を求めると同時に、「既に投入された土砂を速やかに撤去すること」、「県の立入検査を受け入れ、検査のための土砂の提供に応じること」などを指示した。防衛局は今も応じないまま、土砂投入を強行しているが、決して許されるものではない。

 

 

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