防衛局が8月中旬、鹿児島県庁と奄美大島の4市町村を訪れ、奄美大島から辺野古埋立土砂を調達するために、特定外来生物の調査に入ると通告した。
設計変更申請時点では、沖縄南部地区からの土砂調達を中心に考えていたが、戦没者の遺骨が混じっているということで強い反対運動が起き、沖縄北部地区(本部・名護・国頭)以外には、主に奄美大島から土砂を調達する計画に切り替えざるを得なくなったようだ(今日の報道では、うるま市・宮城島からの土砂調達に向けた調査も始まるという。地元の漁協からはもずく漁への影響があるとして反対が強いのだが、押し切ろうとしているのか。防衛局はあまりに強引だ)。
しかし沖縄県では、県外からの土砂調達の際には、特定外来生物の侵入を阻止するための土砂条令が制定されている。沖縄への特定外来生物の侵入を阻止し、世界自然遺産である奄美大島の自然を守るためにも、奄美大島からの埋立土砂調達は認められない。
急遽、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会で相談し、9月10日~12日、阿部、大谷両共同代表と私が奄美大島を訪問した。6ケ所の採石場を回り、大和村長、瀬戸内町長、奄美市副市長、龍郷町長らと面談し、要請書を提出した。11日夜には、記者会見の後、地元の市民グループによる集会も設定され、私が、「辺野古の現状と奄美大島からの土砂調達の問題点」と題して、お話しをさせてもらった。
以下、3日間のフェイスブックから転載する。
(阿部共同代表のFBより借用)
9月10日(火)
大浦湾の埋立土砂が奄美大島から運ばれるということで、土砂全協の阿部・大谷両共同代表と奄美大島に来ました。
今日は、3ケ所の採石場を見た後、大和村の村長さんに要請書を提出しました。沖縄県民が反対している辺野古埋立に協力しないでほしい、特定外来生物の侵入を阻止するための沖縄県土砂条令に基づく県の立入調査への協力等を要請しました。
村長さんは気さくな方で、「新しい採石場を造る計画があり、周辺住民らも同意していたが、村としては、今以上の採石場拡大は認められないということで反対し、計画は頓挫した」そうです。
しかし、今回の防衛局の動きを受け、新しい採石場の設置計画が再燃するかもしれないとのことでした。
明日は、瀬戸内町長に会った後、3ケ所の採石場を訪ね、明後日は奄美市副市長、龍郷町長への要請行動です。
また、明日の夜は、奄美市で記者会見の後、講演会。辺野古の工事の現状と、奄美大島からの土砂搬送の問題点について、話しをさせていただきます。
奄美大島から大浦湾に埋立土砂を搬送させないために全力をあげます。
9月11日(水)
今日は奄美大島から辺野古への土砂調達問題に関して、土砂全協の奄美調査の2日目。朝から採石場を視察した後、瀬戸内町長さんへの要請行動。会議室には自衛隊の写真がいっぱい張られており、町長さんも「私は辺野古移設に賛成の立場です」と言われたが、私たちの話しは、マスコミ公開の場で、丁寧に聞いていただいた。
午後は住用の採石場を視察し、深刻な環境破壊の現状を地元の区長さんらから聞く。私たちが来るというので、たくさんの写真や、県との交渉の資料ファイルを準備されていて、次々と説明していただいた。今でもこれだけの深刻な被害が発生しているのに、今後、辺野古への土砂搬出が始まれば、けた違いの被害となるだろう。区長さんの訴えを聞きながら、また奄美を再訪し、土砂問題にかかわり続けなければと思いを新にした。
奄美市に戻り、午後4時から記者会見。テレビを含めて13社ほどが集まってくれた。そして夜は「自然と文化を守る奄美会議」主催で「辺野古の現状と奄美大島からの土砂調達問題」と題した学習会。50人近くの参加者で熱い議論が続いた。
ぎっしりの行程で疲れたが、学ぶことの多い1日だった。
明日は、奄美市副市長、龍郷町長さんらに要請した後、数か所の採石場、土砂搬出港を視察し、鹿児島経由で沖縄に戻る。私は行けないが、土砂全協の共同代表が鹿児島県庁に行き、知事宛の要請書を提出する。
9月12日(木)
今日は、奄美大島視察の最終日。昨日の記者会見や夜の学習会のことが、奄美新聞、南海日日新聞、南日本新聞、読売新聞に掲載されていた。
朝一番に奄美市役所を訪問。町長は議会の委員会出席中ということで、諏訪副市長と面談し、要請書を提出した。
辺野古への大量の埋立土砂搬送が始まれば、昨日、訪れた住用地区の採石による粉じん・赤土流出・海の汚濁等の被害は、今よりもはるかに深刻なものとなる。報道では町長は「民間事業者の個々の活動についての言及は差し控えさせていただく」とコメントしたようだが、奄美市の生活・自然環境悪化を防ぐためにも、市として放置できる問題ではないはずだ。
大急ぎで龍郷町役場へ。竹田町長と副町長に会い、要請書を提出した。8月20日、防衛局は、「事業者が土砂を搬送するので、防衛局としては関与しない」と言ったそうだ。あまりに無責任な発言だ。
鹿児島経由で帰沖(現在、鹿児島空港)。
この3日間で、奄美大島の6ケ所の採石場を訪ね、大和村の村長さん、瀬戸内町・龍郷町の町長さん、奄美市の副市長さんらと面談した。島内の市民グループの方々や、採石場による被害を被っている多くの方にお会いすることもできた。
沖縄への特定外来生物の侵入を阻止すると同時に、奄美大島の環境破壊を許さないために、今後も連絡をとりながら取り組んでいきたい。