チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

「②-1区域の1期工事」が完了しても、土量は全体の0.7%弱にすぎない!--- 埋立は決して「後戻りのできない段階」に入ったのではない。 /// 広島高裁判決は国の原状回復義務を認めた!(訂正版)

2018年12月24日 | 沖縄日記・辺野古

(最初のブログは数字に間違いがありました。お詫びして訂正します。)

 12月14日からついに辺野古側での埋立工事が始まった。土砂を積出している琉球セメントの桟橋前や海上での懸命の抗議行動にもかかわらず、連日、土砂が投入されている。

 多くのマスコミは、連日、「国、埋立て加速」「土砂投入拡がる」と報じ、NHKなどを中心に、土砂が投入されている映像を流し続けている。中には、「辺野古埋立て、後戻りの出来ない段階に」というような報道も見られる。

 政府が、本来の工程を全く無視し、沖縄県の再三の行政指導にもかかわらず土砂投入を強行している理由は明かだ。沖縄県民に「もう土砂が投入さてしまった。今さら反対してもどうしようもない」という諦めを植え付けるためである。特に、来年2月の県民投票を前に、工事をがむしゃらに急いでいるのだ。

 しかし、このようなマスコミの報道には違和感を覚えざるを得ない。QAB記者の島袋夏子さんは、「辺野古土砂投入の日、本当に報じるべきだったこと」として、マスコミが土砂が投入される映像を繰り返し流し、「後戻り困難に」と強調することによって、誤ったメッセージを発し続けてしまったのではないかと自省されている(朝日新聞。WEB RONZA)。まさにそのとおりだろう。マスコミが政府の狙いにまんまと乗ってしまったとも言える。

              (本年12月18日の埋立の状況)

 事態を冷静に分析してみよう。今、土砂投入はどこまで進んでいるのか? 本当にもう「後戻りの出来ない段階」に入ったのだろうか? 

 辺野古側の埋立に必要な土砂は合計319万㎥となる。防衛局は本年3月、辺野古側を5つの工区に分けた工事を発注したが、その土量合計は129万㎥であった。すなわち最終的な地盤高は、「基準高+5.7m~10.0m」であるが、今回の発注は「基準高+4.0m」までの高さまで埋めるものである。(以下、今回、発注された工事を「1期工事」、その後の最終地盤高までの工事を「2期工事」と称する。)

 今回、土砂投入が始まったのは、「②-1区域」の「1期工事」である。「3工区」の東半分で、面積は約6.3haとなる。

 この辺りは上の写真でも分かるように、浅瀬が続き、水深はほとんどない。防衛局は、「②-1区域」の「1期工事」に必要な土量・工期を公表していないが、県に提出された赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書にその数字が見つかった。


(5つの工区のうち、緑の部分が「3工区」(大林組・東洋建設・屋部土建共同企業体)。②-1区域はその東半分である。)


 防衛局が県に提出した赤土等流出防止条例の事業行為通知書によれば、今回、始まった「②-1区域」の「1期工事」に必要な土量は、13.75万㎥である。また、工事期間は20ヶ月となっている。

 今回、土砂投入が始まった「②-1区域」は、面積約6.3haで、全体の埋立面積(160ha)の4%であるというのはすでに報道されている。しかし、土量でいうと、20ヶ月先に「②-1区域」の「1期工事」が完了したとしても、全体土量(2062万㎥)の0.7%弱にすぎないのだ。

 辺野古の海に土砂が投入されたというのは、確かに事業が新たな段階に入ったことを意味している。12月14日、土砂が投入された日、私たちは海上から必死の抗議行動を行なった。午前11時、土砂を積んだダンプトラックが現れた時、多くのカヌーメンバーらはフロートを超えて中に突入していった。土砂が投入された瞬間、船上にいた多くの人たちは怒りと悔しさの涙を流した。

 しかし、まだまだ諦めることはない。「②-1区域」の「1期工事」が完了したとしても、土の量でいうとわずか0.7%弱にすぎない。原状回復は困難ではあるが、この程度なら自然の回復力に期待しよう。まだ不可能ではないのだ。

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<付記>

  この問題については、次の広島高裁判決が参考になる。住民の訴えは最高裁で却下されたが、この部分は高裁判決が確定した。

 いくら困難であっても、国は原状回復の義務があるのだ。


 

  

 




 

 

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