乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

癌末期の緩和ケア

2009年09月11日 | 緩和ケア
緩和ケアの公開講座に参加しました。
講師は、緩和ケアの専門医としてご高名なaruga先生です(ブログはこちらから)。一目、「生」で見たくて、猛スピードで安全運転して会場にかけつけますた。えへ。
で、私が興味を持った部分を紹介します。

1 痛みの伝わり方について

痛みの機序は大変複雑である。その一つに、痛みの信号が、刺激部分から神経を経て大脳に認知される際、脳の「気持ち」を司る部分のすぐそばを通る系がある。この部分は自律神経や情動による影響を受けやすい。

痛みの刺激は、血中のある成分の分泌を促進する。その成分が「痛みのサイクル」を回す。痛みの刺激がなくなっても、サイクルは回ってしまう。従って、早い段階で痛みを取ることが必要。


自分の心が弱いから、不安になってしまうんだ、、、と、私は長らく思っていました。
癌患者の集まる掲示板などで、「とても不安だ」という書き込みは多くみられますよね。で、健康な人がそれを批判するような書き込みをして、全く患者の気持ちを想像できず、荒れてしまうのを見かけることがあります。

実際、痛み刺激が自律神経や情動を司る場所のすぐそばを通るんだから、本当に気分が悪くなって不安になるのは、あり得ることだったんだ・・・! と思ったら、私は大変スッキリしました。だから痛くない人には、この苦しみがわからんわけだわ、とも。


2 医療用麻薬とは - 麻薬による「依存」や「耐性」の疑問について

痛みのある人が痛みをとる目的で医療用麻薬を使用することと、痛みのない人が麻薬を使うこととは、動物実験により意味がちがうことがわかってきた。

痛みは、脳が“異常信号”を出している状態。痛みが続くと、脳がアンバランスになる。医療用麻薬でバランスを取り戻すと、脳は正常の状態に戻る。故に、薬の依存症にはならない。

痛みのない人は、脳のバランスが取れている状態。そこに麻薬を投与すると、バランスが崩れ、依存症に陥りやすくなる。


           


3 医療用麻薬の投与法

 痛みはとても複雑なので、複数の薬を少ない量から投与開始。

 i) 長く効くものと、早く効いて早く切れるものを組み合わせる。
ii) 副作用なく開始できたら、痛みがとまるところまで増量する。
iii) 眠気と痛みの出現で薬量を調整する。
  薬が少ないと痛みが出る、多いと眠気が出る。


「慢性的な痛みは、脳に非常事態として認識される」。
痛みがある場合、薬の依存や耐性は起きないと知り、大変安心しました。また、痛みのない普通の人が麻薬を打つ時と、脳内で全く異なる反応が起こっていることもわかりますね。

と、この点が明瞭になり、私は満足です。
また、aruga先生は「生活の支障を取り除き、心地良く、普通に生きるために痛み止めの薬は必要」と有用性を説明されました。
そうです、癌患者にとって「普通」に暮らせることが、幸福を味わえることにつながるのです。

会場まではちょっと遠かったけど、やはり「生」aruga先生にお会いできてよかったです。ブログの文面から、とても優しいくてホンワリしたイメージを持っていたのですが、本物の先生は、しっかりとしたおみ足(笑)で、力強かった(・▽・)!

ホスピスに入った際、たくましそうな医師に緩和ケアをしてもらったら、なんだか元気になっちゃいそうです。終末期こそ、私は生き生きとした医療スタッフを見て暮らしたいと思います。


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さて、私は春先に肺癌で母を亡くしました。その緩和ケアの先生は元々、肺癌の専門医。医療用麻薬を使用して、意識をできるだけ落としたケアを行いました。それでも最期は、呼吸困難でとても苦しそうでした。その時の光景が、何度もフラッシュバックすることがあり、気分は今一つでした。
自分も乳がんになってしまった以上、この光景はずっと、自分の脳裏に焼きついたままになってしまうのか…。

そんな沈んだ気持ちで過ごしていたところ、今回の公開講座のチラシを見つけました。以前より、aruga先生のブログを読んでいたので、遠くたって何だって、どーしても行きたくなりました。で、末期癌のケアについて先生にお尋ねしたところ、

「苦しかったかどうか、実際のところは患者さんにしかわからない」。

母の担当医も、緩和ケア医のブログでも、医師はみな同じことを言う。
「そうだよな、これは誰にもわからないことなんだ。私がいくら考えたって、やっぱりわかんないわ…」。
と、はたと気がついたのです。

講座から一週間が経ち、フラッシュバックはまだありません。人間はこうして、自分に都合の悪いことは、徐々に思い出さなくなってゆくものだ、、、と実感しています。

おそらく、納得のできる回答を得るまで、私はどこかに何かを探しに回ったと思います。ちょっと遠出をしたら、そこに答えがあった、という感じです。
力強そうな先生からパワーを頂いて、私は元気になりたかった、、、んだなあと、今になって思います。

なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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