乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

福島大野病院事件がもたらしたのは…

2008年03月03日 | 福島県立大野病院事件
福島大野病院事件を機に医療崩壊が加速したと、多くの医師が考えているようです。

ネットでは医師による署名活動が盛んですし、最近は一般の方々もこの活動に賛同する動きもあります。がんになっても、あわてないの著者、平方眞医師のブログで見つけた記事を紹介します。
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「患者側も医療を壊さない配慮を」
2008/2/27 「患者側も医療を壊さない配慮を」 
 キャリアブレインニュースで「勤務医の疲弊、患者にも原因」という記事があり、Yahoo!ニュースにも載っていた。患者側に責任転嫁しようというのではなく、医療を守るためには利用者側の協力も不可欠という意味だ。記事は次のとおり。長いです。

勤務医の疲弊、患者にも原因
2月27日9時48分配信【医療介護情報CBニュース】

厚労省は「安心と希望の医療確保ビジョン」会議を開き、医師不足が深刻な産科・小児科・救急医療などの現場で先進的な取り組みをしている医師から意見を聴いた。
 「雨が降ったからという理由で救急車を呼ばないでほしい」「患者の暴言で仕事への誇りがズタズタにされる」――。厚生労働省の審議会で、産科・小児科・救急の医師が共通して挙げたのは勤務医の疲弊で、その原因の1つに「クレーマー患者」や「暴力患者」などの存在を挙げた。西川京子厚生労働副大臣は「医療の分野では国民の意識が育っていない。すべて受け入れる側が悪いというのではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく」と感想を述べた。(新井裕充)

 厚労省は2月25日、「安心と希望の医療確保ビジョン」会議を開き、産科・小児科・救急の現場で先進的な取り組みをしている医師から意見を聴いた。

 この会議は、長期的な視点に立って日本の医療の問題点を考えようと、舛添要一厚生労働大臣が中心となって1月7日に設置された。

 4回目を迎えたこの日のテーマは、医師不足が深刻な産科・小児科・救急医療などの現状把握。各分野の医師が現在の問題点や今後の課題などについて意見を述べた。

 東京都立府中病院・産婦人科部長の桑江千鶴子氏(東京医科歯科大産婦人科臨床教授)は「産婦人科臨床現場の3つの問題」として、(1)劣悪な労働環境と待遇、(2)医療事故と訴訟への恐怖、(3)医療者への暴言・暴力(モンスターペイシャント)の存在――を挙げた。

 桑江氏は「大野病院事件で産婦人科の医師が逮捕されて以来、ビクビクする状況で萎縮医療になっている」と述べ、過酷な労働環境に追い討ちをかける訴訟リスクや患者の暴力などが医師のモチベーションを下げていると指摘した。
 「優しい気持ちでなんとかしてあげたいと思っても仕事に対する誇りをズタズタにされ、若い医師は疲弊している」
 桑江氏はこのように述べ、早急に解決することが難しい大きな問題であるとした。

 続いて、愛知県岡崎市の花田こどもクリニック院長の花田直樹氏は「現在の小児医療の問題点」として、(1)不当な報酬の低さとフリーアクセスによる患者数の多さ、(2)小児科勤務医の減少、(3)乳幼児医療無料化に伴う救急外来のコンビニ化、(4)訴訟リスクとクレーマーの存在――を挙げた。

 花田氏は「コンビニ感覚で救急車が利用されるが、コンビニ診療さえ難しい状況だ。しかし、司法判断は救急外来にも最高級の医療レベルを要求している。無理して対応しても刑事事件の対象になり得ることを医師は学習している」と述べ、産婦人科の医師が逮捕された福島県立大野病院事件の影響で入局する医師が減少し、現場では「無理に救急を受け入れない」という萎縮医療が生じているとした。

 花田氏はまた、医師らに言いがかりを付ける「クレーマー患者」の存在が萎縮医療に拍車を掛けているとした。
 「過熱する医療事故の報道で、不信に満ちた攻撃的な言動が目立ち、現場のやる気をさらに萎えさせている。今までは医師の使命感でカバーしてきたが、現状では医療安全上も自分の健康上も無理がある」

■ 救急患者の増加と国民の意識
 疲弊した勤務医をさらに追い詰める「クレーマー患者」と訴訟リスク。その背景には救急患者の増加がある。
 日本医科大学付属病院・高度救命救急センター部長の山本保博氏は、救急患者が増えている一方で救急医療機関が減少していることを指摘。「救急医療の現状、課題」として、(1)救急医療施設の負担の増大(救急患者の増加など)、(2)資源の圧倒的な不足(救急医不足など)、(3)救急医の士気の低下――を挙げた。

 山本氏は救急車の出動件数(2005年)のうち搬送されていない約9%について、「救急車が到着しても現場に患者がいない」と指摘。その主な理由として、▽119番した後の辞退、▽いたずら、▽酔っぱらい――を挙げた。
 その上で、119番通報した患者を重症度や緊急度などによって分類する「トリアージ」の必要性に触れた。
 「アンダートリアージ(過小評価)をどう考えるかという問題がある。『ちょっと胸がつかえる感じがする』という患者のうち1万人に1人ぐらいは心筋梗塞の場合がある。このような患者を自宅に戻してしまった場合の問題がある。しかし、これからはトリアージをしていかなければ、“たらい回し”はどんどん増える」

 この日、舛添厚労相が欠席したため、西川京子副大臣が次のように感想を述べた。
 「安全で安心な食物にコストがかかるという意識は国民の間に育ってきたが、医療の分野では国民の意識が育っていない。今日はマスコミの方もいるようだが、すべて受け入れる側が悪いという指摘の仕方ではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく。今、これを厚生労働省が一番先にやっていかなければならない」
(記事ここまで)

 日本では「水と安全はタダ」という、世界では通用しない常識があるが、いつの間にか「水と安全と医療はタダであるべき」と、人々の意識の中では医療も組み込まれるようになっていた。しかし今や医療提供側には全く余裕がなく、水のごとく医療を供給するのは無理である。

 医療側からこういう意見を言うと「甘えるな」と非難されるとは思うが、敢えて言う。「今は医療をいじめるな」。医療、特に最前線で頑張っている医療はもはや「弱者」である。いたわって壊れないように扱わなければ、本当になくなってしまう寸前である。なくなって困るのは国民である。頼むから最前線の医療を保護してほしい。
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この記事では、東京都立府中病院・産婦人科部長の桑江先生、花田こどもクリニック院長の花田先生、ともに大野病院事件が萎縮医療をもたらしたと述べています。

花田先生の「司法判断は救急外来にも最高級の医療レベルを要求している。無理して対応しても刑事事件の対象になり得ることを医師は学習している」と述べ、産科現場では「無理に救急を受け入れない」よう、医療は委縮している事実は深刻です。

私自身は、主治医が無理して対応して下さり、十分な医療を受けた一人です。こういう人は「できる限りの治療をやった」という満足感が強い。こうなると再発は運だなと腹が座ります。

初発のがんにつきまとう、ぬぐってもぬぐってもぬぐいきれない再発の不安が相当払拭される、、、この精神的な安定感ががん治療には重要だと実感しています。

せっかくがんの治療を終了しても、その半数が再発の不安から鬱状態になり、精神科にかかる患者も多いと聞きます。病後のケアまで考慮しないといけないのがこの病気。

医療の委縮は私にとって深刻な問題です。


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2 コメント

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Unknown (yuko)
2008-03-05 00:36:32
最近、新聞やテレビで救急医療が崩壊しつつあるという報道をよく見るようになりました。
気軽に救急車を利用する人たちが増えていることや、特に緊急ではない夜間受診が増えていること、それらが重篤で救急医療を受ける必要のある人を阻害している事実等々。

医療問題が深刻だという報道が続々となされるようになれば、いずれは人々の医療問題への関心、認識が深まっていくのではないでしょうか。

ノエルさんが載せておられた厚生省の副大臣の発言を見ると、おっしゃることは大変納得できるものです。
政府関係者の認識はとても大事ですから、少し安心しました。









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yukoさん (ノエル)
2008-03-05 11:39:32
副大臣が「医療の分野では国民の意識が育っていない」とおっしゃた点に注目しています。大方の国民は医師のブログを読むより、TVや新聞報道から知識を得、自分の考えを構築するでしょう。

国民の意識を育てるにはこういった報道機関を利用するのが効率が良いと思う一方で、報道機関もまた「会社経営」に縛られているのも事実です。

現場の声を集めるのが一番確かな情報です、、、これが一番労力がかかることなんですけどね。
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