乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

MRIの精度

2010年03月10日 | 患者の気持ち
乳がん手術において、切除範囲はなるべく小さくしたい。
これは乳がんと告知された人なら、自然にわいてくる感情です。が、その一方で、癌の取り残しは絶対ごめんですよね。

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【乳癌診断に造影MRIを加えても再手術は減らない】 2010. 2. 26
Lancet誌から

 通常の診断過程を経て広範囲局所切除術の適用が決まった乳癌患者に、さらにMRI検査を行ってより適切な術式を選べば、転帰が向上するのでは―そう考えた研究者たちが、無作為化比較試験を行った。しかし、得られた結果は、こうした患者にMRIの追加が不要であることを示唆した。英Hull Royal InfirmaryのLindsay Turnbull氏らがLancet誌2010年2月13日号に報告した。

 英国のNHS乳癌スクリーニングプログラム(NHS BSP)が掲げている目標の1つが、外科的治療を受けた乳癌患者の中で再手術を要する人の割合を10%未満に抑えることだ。しかし、その目標は未だ達成できていない。

 再手術率を低下させるためには、最初の手術時に適切な範囲を切除することが重要だ。しかし、マンモグラフィー検査で乳房濃度が高い女性の腫瘍を正確に検出することは難しい。近年、MRIを用いれば、病巣をより正確に検出できるという報告が複数あった。

 そこで著者らは、MRI検査を追加すれば再手術率を下げられる可能性があると考え、原発性乳癌の患者を対象に、トリプルアセスメントと、これに造影MRIを加えた診断法の有効性を、再手術率などを指標に比較し、費用対効果も検討するオープンラベルの平行群間比較試験を行った。

 トリプルアセスメントとは、臨床的診断(視触診など)、イメージング診断(マンモグラフィーと超音波検査)、病理学的診断(穿刺吸引細胞診またはコアバイオプシー)の3つの結果を総合的に評価する方法で、英国では最も標準的に用いられている。

 英国内の45施設で、トリプルアセスメントにより原発乳癌と診断され、広範囲局所切除術の適用が計画されていた18歳以上の患者1623人を登録。無作為に、ガドリニウム増強MRIを施行(816人、平均年齢54.0歳)またはMRI施行なし(807人、51.0歳)に割り付けた。

 MRI群でMRIの結果がトリプルアセスメントに基づく判断と一致しない場合には、様々な専門家を集めたチームによる再検討を行い、手術が当初の計画より遅れないことを念頭に置きながら生検を追加実施するなどして術式を決定した。

 主要エンドポイントは、割り付けから6カ月以内に再手術(部分切除または乳房切除)が必要になった患者、または、最初の手術時に回避されるべき乳房切除術が行われた(摘出された組織が乳房切除は不要であることを示した)患者の割合に設定。分析はintention to treatで行った。

試験は、MRIを追加することにより主要エンドポイントに設定されたイベントの発生率が10~15%変化した場合に、十分な信頼度で検出できるよう設計された。

 MRI群の患者は、割り付けから中央値3日でMRIを受けていた。手術は14日目に行われていた。MRIの結果に基づいてさらに生検を受けた患者では、手術実施は22日目だった。MRIなし群は割り付けから13日目に手術を受けていた。

 広範囲局所切除術が適用された患者は、MRI群の92%、MRIなし群の98%、乳房切除はそれぞれ7%と1%だった。

 6カ月以内に再手術を受けた、または回避できたはずの乳房切除を受けていた患者は計309人(全体の19%)。MRI群は153人(19%)、MRIなし群では156人(19%)で、オッズ比は0.96(0.75-1.24、p=0.77)。これは、通常のトリプルアセスメントにMRIを加えても患者に有意な利益はないことを示唆する。

 なお、回避できたはずの乳房切除を受けていた患者はMRI群が19人(2%)、MRIなし群が4人(1%未満)だった。

 MRI群で検査結果に基づいて術式が変更された患者は55人(7%)。50人はMRIにより新たな病変が発見された患者だった。うち15人(30%)は回避できたはずの乳房切除を受けていた。残りの35人については適切な変更が行われたと判断された。

 切除組織の病理学的分析結果を用いて、MRI検査の診断精度を調べた。MRIは広範囲局所切除が適切な患者の84%を正しく同定できていた(真陰性)。だが、本来なら乳房切除術が必要なのに広範囲局所切除を指示する結果になった患者が16%いた(偽陰性)。また、MRIの結果が乳房切除の必要性を示した患者のうち、実際にこの術式が適切だったのは62%(真陽性)、残りの38%は広範囲局所切除が選択されるべき患者だった(偽陽性)。

 これらの結果を基に感度と特異度を推定したところ、それぞれ50.0%(12.7%-57.4%)と98.3%(86.6%-92.0%)になった。

 2次エンドポイントとして、8週時、6カ月後、1年後にQOL(乳癌用評価指標であるFACT-Bによる)を比較したが差はなかった。

 当初12カ月間に実際に要した医療費と、EQ-5Dを用いて評価したQOLに基づいて費用対効果の比較を試みた。やはりQOLに有意差はなく、医療費はMRI群で高かった(5508.40ポンドと5213.50ポンド)が差は有意ではなかった。

 得られた結果は、今回対象となったような患者グループにおいては、MRIを追加しても患者の利益は向上しないことを示唆した。

 原題は「Comparative effectiveness of MRI in breast cancer (COMICE) trial: a randomised controlled trial」
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この報告では、MRIの精度には限界があるように見えます。というか、そもそも機械に“100%の精度”を求めるほうが無理か。

乳房全摘出した私は、日常生活でかなり支障を来たしています。
まず、水着。泳ぎに行けなくなっちゃったし、温泉もだめだわ。真夏のクソ熱い時期に、胸の開いた服は着れない。ブラも高価な専用パッドを装着しなくちゃなんいし。で、下着が擦れて痛くなるし。最大のハンディは、恋愛するエネルギーが湧かなくなったことです。

と、まあ、がっくりしていたんですけど。
最近、乳房再建術が飛躍的に進歩してきました。で、放射線治療がなかった私は、再建術が可能です。
よく考えてみれば神経質な私ですから、もし部分切除にとどまったとしても、今度は残った胸の形について悩みそうです。恋愛するエネルギーが湧かなくなるのは、同じじゃないかと(^^;)。

もっとよく考えてみると、乳がんの告知を受けた瞬間、全摘出だと温泉へいけなくなるとか女性の象徴を失うとか、そんなん全然思いませんでした。とにかく、自分の命を助けてほしくて必至でした。
ですので、今の私の不満は、それだけ元気になった証拠だともいえます。
告知当時と現在と、気持ちが大きく変化している。それを認めることが、“納得の医療”かな。


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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)