乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

低脂肪食と糖尿病

2008年09月02日 | 食と栄養
女性ホルモンが女性の体を守るというのは、よく聞く話しです。閉経したら、子宮体がんに気をつけてと言われるし、太りやすくなるとも・・・。
糖尿病の罹患率も上がるんですね。(- -;)

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「低脂肪食に換えるだけでは糖尿病リスクは下がらない」
 2008. 8. 21Arch Intern Med誌から
主要栄養素の摂取バランスよりも体重減少が重要

 摂取熱量が同じでも、食物から摂取する脂肪を減らせば、糖尿病リスクは下がるのだろうか。これを検証するため、糖尿病の罹患率が急速に上昇する閉経女性を対象に無作為化試験を行った結果、低脂肪食に換えるだけでは糖尿病リスクは低下しないことが示された。米国Fred HutchinsonがんセンターのLesley F. Tinker氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年7月28日号に掲載された。

 耐糖能異常と判定された人が、低脂肪食を実践すると同時に積極的に運動して体重を減らすと、糖尿病リスクが下がることは明らかになっている。そのため運動量に変化がなくても、低脂肪食に換えればエネルギー摂取量が低下し、体重が減少して、糖尿病リスクに好ましい影響が現れる可能性がある。今回著者らは、体重減少なし、運動量増なしでも、低脂肪食を継続すれば閉経女性の糖尿病リスクは下がると仮定し、健康な閉経女性を対象に低脂肪食が糖尿病リスクに与える影響を調べた。

 無作為化比較試験は、米国内の40医療機関で1993~2005年に行われた。Women’s Health Initiative (WHI)に参加した女性のうち、50~79歳の閉経女性4万8835人を登録した。癌などの既往がなく、総熱量の32%以上を脂質から摂取していた女性を選んだ。

 これら被験者を、通常の食事(対照群、2万9294人、60.0%)または低脂肪食(介入群、1万9541人、40.0%)に割り付けた。

 介入群に対しては、生活改善のためのグループセッションを実施した(初年度18回、その後は毎年4回)。摂取熱量を減らすことは求めず、体重減少の目標も定めなかった。総熱量に占める脂質の割合は20%を目標とし、1日に5皿以上の野菜または果物、1日に6皿以上の穀物の摂取を推奨した。

 一方の対照群には、国が食生活についてまとめたガイドライン『Dietary Guidelines for Americans』を与えたが、食生活の変更は求めなかった。

 追跡期間は平均8.1年で、6カ月おきの受診の際に処方薬と市販薬の使用について聞き取り調査を実施し、糖尿病に対する経口治療薬またはインスリンの使用開始の有無を確認した。食事の内容は、食物摂取頻度調査票を用いてモニターした。


分析対象となったのは、ベースラインで糖尿病だった女性を除いた介入群1万8378人(94.0%、平均年齢62.2歳、平均体重76.4kg、BMI 28.9)と対照群2万7511人(93.9%、62.2歳、76.2kg、BMI 28.9)。

 ベースラインの摂取熱量は、介入群1790kcal、対照群1788kcal、1年後はそれぞれ1502kcalと1594kcal、6年後は1435kcalと1548kcalだった。

 総熱量に占める脂質の割合は、ベースラインは両群共に37.7%、1年後の割合は介入群が24.2%、対照群は35.0%、6年後は28.6%と36.9%だった。

 摂取食品のGI(glycemic index)、GL(glycemic load)は1年目、6年目共に介入群の方が高かった。これだけを見ると、低脂肪食が糖尿病リスク低減に役立つという仮定に疑問が生じる。

 介入群では、1年後の体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、血糖値が対照群より有意に低かった(すべてP<0.001)。6年後の時点でも、体重(75.6kgと76.2kg)とBMI(28.8と29.1)は介入群で有意に少なかった(いすれもP<0.001)。  追跡期間中に糖尿病の治療を新たに開始した女性は、介入群1303人(7.1%、年間罹患率は0.88%)、対照群2039人(7.4%、年間罹患率は0.91%)で、ハザード比0.96(95%信頼区間0.90-1.03、P=0.25 )と差がなかった。

 サブグループ解析では、介入群の中でベースラインと比較したエネルギー摂取量の減少が大きかったグループで、糖尿病リスクの有意な減少が見られた(P=0.04)。しかし、体重減少で調整すると差は有意でなくなった。これは体重減少が糖尿病予防に役割を果たすことを示唆する。

 以上のように、閉経女性が低脂肪食を継続しても、糖尿病リスクは変化しなかった。今回の結果は、主要栄養素の摂取バランスよりも体重減少の方が糖尿病リスク低下には役立つ可能性を示した。

 原題は「Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Treated Diabetes Mellitus in Postmenopausal Women: The Women's Health Initiative Randomized Controlled Dietary Modification Trial」
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というわけで、この無作為化比較試験からも、糖尿病を予防するには「適正体重を保つ」ってことが一番ってことになりそうですね。

厚生労働省が発表したH16年度国民栄養調査では、日本人女性40-50歳代(普通の労作)の食事脂肪摂取量は一日55gほど、一日の総カロリーの25%ほどです。
脂質、総エネルギー量ともに現在、厚労省の示す健康日本21の目標値ギリギリに収まっている状況です。
(脂肪摂取量は、年齢が上がるに従い減少、年齢が下がるに従い上昇しています)。

ちなみに肥満については、米国ではBMIが30以上、日本では25以上を肥満としています。日本人でBMI30というと、見た目はポッチャリした感じかな。
都市部の女子大生のBMIが20とか21とか、そのぐらいの結果になることがあります。んが、内臓脂肪が多い「隠れ肥満」の学生も多く、BMIの値だけでは正確さを欠くでしょう。

私が入院中、同室の方が糖尿病で乳がんの手術を受けた方がいました。糖尿病のコントロールをしっかりやってから手術の順だったとおっしゃっていました。数ヶ月間は糖尿病の治療に時間をさいたと言います。がんは発見されたらすぐに手術してほしいと思うものですが、糖尿病を患っていると、この方のようにすぐに治療に入れない場合もあります。
日頃の食生活で予防のしやすい病気でもあり、かつ、現代人はなりやすい病気でもありますね。

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なかのひと

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