40ー「漁師」(1832・天保3年・市村座)
”~づくし”の好きなご先祖さまは、こんなものまでづくしてみせる。
”黒いものづくし”。
『お前は沖の鯨どの
潮風に揉まれて お色が真っ黒だ
まだも黒いを言おうなら
夜明けの烏に三番叟
忍びに 助六 定九郎
極上上の評判記
鰯の目の玉 角大師
碁石のつれ合い 旅うなぎ
壷屋の煮豆が黒いとて
こちゃ食べやせぬ 食べやせぬ』
●黒いものはなーんだ。
沖の鯨に、烏、三番叟の面、忍者に助六の衣装、忠臣蔵五段目の定九郎の黒紋付、
評判記の極上上は、墨の文字がでかくて真っ黒だ。
節分に、鰯の目玉に柊の葉っを差したものを門口に吊るすのは、なーぜだ。
魔除けの護符、黒鬼の角大師(つのだいし)と同じ効果があるからさ。
黒碁石の連れ合いは、やっぱり黒。田舎のうなぎはやたらと黒い。
壷屋の煮豆は真っ黒だが、わしゃ食べぬ。
三番叟は、式三番といって、翁・千歳・三番叟の順に舞われる、儀式の舞をいう。
狂言方が演じ、黒色尉という黒い面をつけている。
それと、三番叟は”烏飛び”という、烏のような横飛びをするのが特徴なので、烏が掛詞となっている。
助六は言わずと知れた、黒の小袖に、塗り鼻緒の江戸の男伊達。
定九郎は、忠臣蔵の五段目で、勘平の拳銃に当たって死ぬだけの端役。
中村仲蔵はこの場に工夫を凝らし、山賊姿の定九郎を、黒紋付に尻っぱしりという、
零落した武士のイメージに変えたところ、大当たりで、極上上の評判記に載った。
これは太い筆で書かれていているので、真っ黒に見える。
鰯に柊の葉を差した、おまじないの縁起物は門口に吊るされて、魔除けとされた。
角大師は角のある、やせ細った真っ黒な鬼のような姿をしたモノが摺られた護符。
旅うなぎは、江戸まえにの反対で、地方から下ったうなぎのこと。
ごわごわと黒いのが当たり前で、壷屋の煮豆の黒いのも当たり前。
〓 〓 〓
tea breaku・ 海中百景
photo by 和尚
”~づくし”の好きなご先祖さまは、こんなものまでづくしてみせる。
”黒いものづくし”。
『お前は沖の鯨どの
潮風に揉まれて お色が真っ黒だ
まだも黒いを言おうなら
夜明けの烏に三番叟
忍びに 助六 定九郎
極上上の評判記
鰯の目の玉 角大師
碁石のつれ合い 旅うなぎ
壷屋の煮豆が黒いとて
こちゃ食べやせぬ 食べやせぬ』
●黒いものはなーんだ。
沖の鯨に、烏、三番叟の面、忍者に助六の衣装、忠臣蔵五段目の定九郎の黒紋付、
評判記の極上上は、墨の文字がでかくて真っ黒だ。
節分に、鰯の目玉に柊の葉っを差したものを門口に吊るすのは、なーぜだ。
魔除けの護符、黒鬼の角大師(つのだいし)と同じ効果があるからさ。
黒碁石の連れ合いは、やっぱり黒。田舎のうなぎはやたらと黒い。
壷屋の煮豆は真っ黒だが、わしゃ食べぬ。
三番叟は、式三番といって、翁・千歳・三番叟の順に舞われる、儀式の舞をいう。
狂言方が演じ、黒色尉という黒い面をつけている。
それと、三番叟は”烏飛び”という、烏のような横飛びをするのが特徴なので、烏が掛詞となっている。
助六は言わずと知れた、黒の小袖に、塗り鼻緒の江戸の男伊達。
定九郎は、忠臣蔵の五段目で、勘平の拳銃に当たって死ぬだけの端役。
中村仲蔵はこの場に工夫を凝らし、山賊姿の定九郎を、黒紋付に尻っぱしりという、
零落した武士のイメージに変えたところ、大当たりで、極上上の評判記に載った。
これは太い筆で書かれていているので、真っ黒に見える。
鰯に柊の葉を差した、おまじないの縁起物は門口に吊るされて、魔除けとされた。
角大師は角のある、やせ細った真っ黒な鬼のような姿をしたモノが摺られた護符。
旅うなぎは、江戸まえにの反対で、地方から下ったうなぎのこと。
ごわごわと黒いのが当たり前で、壷屋の煮豆の黒いのも当たり前。
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tea breaku・ 海中百景
photo by 和尚