西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

32-関寺小町

2009-08-24 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
富士田吉治―31「関寺小町」


次は古い小歌を拝借しての、小町の回想。

『待つ身なりゃこそ畳算(畳に簪を投げて、吉凶を占う)
 忍ぶその夜のわざくれか(じっと待つ夜はじれったい)
 実そうで御座んすえ
 誰そやこの夜中に(誰かが、こんな夜中に)
 鎖いたる門を叩くとも(閉ざした門を叩いても)
 よも開けじ(決して開けない)
 宵の約束なければ(約束のない男には)
 手管も恋の習わせなり(恋には駆け引きが肝心なの)』

多くの男を袖にしてきた、小町全盛期の思い出だ。
しかし、すぐに我に返る。

『心付きて声変わり(はっと気づけば老婆の声)
 怪しからず見ゆれば(これはしたり)
 すごすごと関寺の庭に帰る有様は
 山田の畦の案山子よの(ぼろを着た案山子のようだ)』 


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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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