最近もそうだけど、
去年あたり、寅さん映画の放送が毎週のようにあって、なぜか楽しみに観ている。
なるほど、この年になって見ると、なかなか惹かれるものがあるのです。
やさしい人しか登場しないドラマで、「これぞ家族のぬくもり」というお話です。
「純情で、それゆえ、うまく社会に適応できない永遠の少年」寅さんが、でも、なぜか、
家族の中でも、地域社会でも浮いていて、
けっきょく、毎回、最後は寅さんが旅に出て行っておしまいになる。
「あの甘ったれた性格がいやだよ」とわたし。
「それがいいんだよ」と彼。
「そうだよ。あの家族いいなあ」と、彼の友人。
「寅さんは、おれの憧れだよ」と、別の男も追従する。
彼等は、寅さんとは対照的な男達だった。
物書き志望だったり、劇団員だったり、雑誌記者だったり、放送台本を書いていたり、
寅さんに、
「おい、インテリ」とか「おい、芸術家」と、軽蔑のまなざしで呼ばれそうな男たち。
理屈っぽくて、自信ありげで、世の中を変えたいと思っていたり・・・。
共通しているのは、みな、ある意味、家庭と社会からはじき出されていた。
そうだ。
彼らは、さくらが好きだったんだ。団子屋の おばちゃんがすきだったんだ。
あんな風に、やさしく受け入れてくれる女たちが好きだったんだ。
でも、そんな女は、もう絶滅寸前だったんだね。
あの、かならず起きる家族間でのつかみ合いの喧嘩もそうだけど。
あれが、彼らの夢であると、当時のわたしは、気がつかなかった。
ウーマンリブと、高学歴が始まった時代だった。
女たちが男を見る基準が変わっていたんだね。
男たちは、自由に憧れていて、でも、きびしく値踏みされていて、きっと内心
ひるんでいたんだ。
そっか。そうなんだ。、
だって、女はそろそろ、家庭の外に出ようと、していたころだものね。
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