全く聖書を読んだことがなくても、ソロモンという名を聞いた方は多いのではないでしょうか。
「キング・ソロモンの秘宝」など、夢のある冒険物語の映画が作られています。
また、ソロモンの秘宝が日本にまで運んでこられて、四国のどこかに眠っているなどと
まことしやかな「伝説」もあります。
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さて、ソロモンは、確かに大金持ちでした。巨億の富を築いた王でした。
古代イスラエルの三代目の王で、ダビデ王の7番目の息子でした。
彼はBC971年に、王位に就いています。
ソロモンが何歳で王位に就いたのかはわかりませんが、
彼はエルサレムで四〇年間、王であったと、聖書に、記されています。
父ダビデ王の揺るぎのない神への姿勢と、果敢な戦いの時期を経て、
イスラエル王国はようやく安定期に入っていました。
ソロモンが王位に就いた頃のイスラエルは、周辺国との間に平和な関係が結ばれ、
彼は戦いより、政治的折衝や商業、貿易によって平和を維持し、多大の富を集めるのです。
ソロモンが「美貌のもちぬし」だったかどうかはわかりません。
ダビデの家が美貌の血筋であり、ソロモンの母バテ・シェバは、
ダビデがその色香に迷って、姦淫の罪を犯した相手です。
ダビデがバテ・シェバを見つける場面は、次のように描写されています。
ある夕暮れ時、ダビデは床から起き上がり、王宮の屋上を歩いていると、ひとりの女が
からだを洗っているのが屋上から見えた。その女は非常に美しかった。
(旧約聖書Ⅱサムエル記11章2節)
彼女は、宮殿にいるダビデ王の目に着くように、屋上で水浴びしていたのです。
王を誘惑するような野心家の女性だったとも考えられます。
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バテ・シェバは、早くから宮廷の重臣たちとのつながりをつくり、
ダビデ王に、息子ソロモンの王位を約束させるのです。
アドニヤがクーデターを起こしてまで、即位式をしようとしたとき、
バテ・シェバは、すぐさまダビデに直訴し、
ふたたびソロモンを後継だとダビデに宣言させるのです。
政治力に長けた母親を見て、また複雑な宮廷の力関係の中で、
多くのライバルを押しのけて三代目の王になったソロモンは、
素晴らしい知恵と叡智の持ち主でした。
何よりも、深い信仰の持ち主でした。
古代イスラエル王国では、もともと神聖政治国家でした。
王は、神から民をまとめ、国を指導する役割を与えていただいているだけで、
王も神のしもべであるという自覚が必要でした。
その意味でも、若い日のソロモンは、模範的な王でした。
父王の遺志だった神殿を建設し、宮殿を新築し、国土を広げ、富を蓄え、
イスラエルを栄光の大国にしました。
しかし、繁栄が、彼をつまずかせました。
(つづく)