ノアの小窓から

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聖書に見る美貌14――ソロモン

2016年11月07日 | 聖書




       全く聖書を読んだことがなくても、ソロモンという名を聞いた方は多いのではないでしょうか。

       「キング・ソロモンの秘宝」など、夢のある冒険物語の映画が作られています。
       また、ソロモンの秘宝が日本にまで運んでこられて、四国のどこかに眠っているなどと
       まことしやかな「伝説」もあります。
                
       さて、ソロモンは、確かに大金持ちでした。巨億の富を築いた王でした。
       古代イスラエルの三代目の王で、ダビデ王の7番目の息子でした。

       彼はBC971年に、王位に就いています。
       ソロモンが何歳で王位に就いたのかはわかりませんが、
       彼はエルサレムで四〇年間、王であったと、聖書に、記されています。
       父ダビデ王の揺るぎのない神への姿勢と、果敢な戦いの時期を経て、
       イスラエル王国はようやく安定期に入っていました。

       ソロモンが王位に就いた頃のイスラエルは、周辺国との間に平和な関係が結ばれ、
       彼は戦いより、政治的折衝や商業、貿易によって平和を維持し、多大の富を集めるのです。

       ソロモンが「美貌のもちぬし」だったかどうかはわかりません。

       ダビデの家が美貌の血筋であり、ソロモンの母バテ・シェバは、
       ダビデがその色香に迷って、姦淫の罪を犯した相手です。
       
       ダビデがバテ・シェバを見つける場面は、次のように描写されています。

         ある夕暮れ時、ダビデは床から起き上がり、王宮の屋上を歩いていると、ひとりの女が
         からだを洗っているのが屋上から見えた。その女は非常に美しかった。
                           (旧約聖書Ⅱサムエル記11章2節) 
       
       彼女は、宮殿にいるダビデ王の目に着くように、屋上で水浴びしていたのです。
       王を誘惑するような野心家の女性だったとも考えられます。


                  


       バテ・シェバは、早くから宮廷の重臣たちとのつながりをつくり、
       ダビデ王に、息子ソロモンの王位を約束させるのです。

       アドニヤがクーデターを起こしてまで、即位式をしようとしたとき、
       バテ・シェバは、すぐさまダビデに直訴し、
       ふたたびソロモンを後継だとダビデに宣言させるのです。

       政治力に長けた母親を見て、また複雑な宮廷の力関係の中で、
       多くのライバルを押しのけて三代目の王になったソロモンは、
       素晴らしい知恵と叡智の持ち主でした。
       何よりも、深い信仰の持ち主でした。

       古代イスラエル王国では、もともと神聖政治国家でした。
       王は、神から民をまとめ、国を指導する役割を与えていただいているだけで、
       王も神のしもべであるという自覚が必要でした。

       その意味でも、若い日のソロモンは、模範的な王でした。
       父王の遺志だった神殿を建設し、宮殿を新築し、国土を広げ、富を蓄え、
       イスラエルを栄光の大国にしました。


       しかし、繁栄が、彼をつまずかせました。

                                  (つづく)