猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ユージュアル・ネイバー

2019-08-06 20:47:14 | 日記
2013年のアメリカ映画「ユージュアル・ネイバー」。

両親を亡くし、祖父母の家に引き取られた少女マリアン(ナターシャ・カリス)。転校先
の学校に馴染めず孤独な日々を送っていた彼女は、近所の家に住む車椅子の少年アンデ
ィ(チャーリー・ターハン)と親しくなる。しかし外科医であるアンディの母キャサリン
(サマンサ・モートン)は、何故かマリアンの存在を快く思っていない様子。やがてマリ
アンは、彼らに関する驚きの事実に辿り着く。

異色サスペンス・ドラマ。両親を亡くし、祖父母の家に引き取られた少女マリアンは、
近所の家に住む車椅子の少年アンディと知り合う。アンディはベッドに寝ていることが
多く、外出することはない。マリアンはアンディの部屋の窓を開けて室内に入るが、ア
ンディの母親で外科医であるキャサリンはアンディとマリアンが仲良くするのを嫌がる。
ある日いつものようにアンディの部屋の窓から侵入していたマリアンだったが、キャサ
リンが部屋に近づいてくるのを知って別の部屋に隠れる。そこから地下に降りていった
マリアンが見たものとは。
なかなかおもしろい映画だった。ちょっと不自然に思うところもあるが、それはキャサ
リンの息子を想う気持ちの表れなのだろうと見て取れる。この母親、とにかくアンディ
に対して過保護でヒステリックである。怒り出すと夫も手がつけられない。医者があん
なにヒステリックでいいのだろうかと思ってしまうが。
マリアンはアンディの家の秘密を知ってしまうが、祖父母がそれを信じてくれないのが
もどかしい。警察に行けば良かったのかもしれないが、なかなか子供がそんなことでき
ないだろうし、信じてもらえないかもしれない。登場人物たちの演技が皆良かった。子
役たちも、息子を溺愛している母親も、冷静な父親も、それぞれ良かった。ホラー映画
より恐ろしい母親の愛の狂気。マリアンの祖父役のピーター・フォンダが年を取ってい
てびっくりしたが、渋くてやっぱりかっこよかった。




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帰らざる夜明け

2019-08-01 21:04:10 | 日記
1971年のフランス映画「帰らざる夜明け」。

緑に囲まれたフランスの田舎町。通りすがりの男ジャン(アラン・ドロン)は、車の
荷台から石油孵卵器をおろしている未亡人クーデルク(シモーヌ・シニョレ)の手助
けをしたことから、彼女の家で働くことになった。運河の跳ね橋を挟んで、亡き夫
の妹夫婦が住んでいた。彼らはクーデルクと一緒に暮らしている父親アンリ(ジャ
ン・テシエ)を丸め込んで、クーデルクが支えてきた農地を自分たちのものにしよ
うと企んでいた。クーデルクとジャンの間には、男と女の微妙な気持ちが流れ始め
た。ジャンが人殺しの前科者で脱獄して追われている身だとわかってからも、クー
デルクの愛は深まるばかりだった。

フランスの田園風景がとても美しい。そこで農業をしている未亡人クーデルクと出
会った通りすがりの男ジャン。働きながら旅をしているということで、ジャンはク
ーデルクの家で雇ってもらうことになった。ジャンはクーデルクが持ってきた孵卵
器を動かすことに苦心するだけでなく、よく働いた。若く美しいジャンにクーデル
クが惹かれるのも無理からぬことだった。2人はやがて男女の仲になる。クーデル
クの夫の妹夫婦は彼女の農地を手に入れようと考えており、クーデルクだけでなく
ジャンのことも目の仇にするようになる。
美しい風景に歪んだ人間関係が対照的。やがてジャンは妹夫婦の娘フェリシー(オ
ッタビア・ピッコロ)とも関係を持つようになる。フェリシーは少し頭が弱いのか、
誰の子ともわからない赤ん坊を生み、その子に名前もつけていないのだ。ジャン、
若い娘、年増の未亡人の三角関係の構図ができてしまい、クーデルクは悩む。これ
ではジャンがただの女たらしのように見えなくもない。
ジャンは毎日農作業をし、それなりに楽しんで生活をするのだが、やがて警察に身
元がばれてしまうことになる。せっかく孵卵器がうまく作動し始めたのに。クーデ
ルクはジャンへの愛を貫こうとする。アラン・ドロンとシモーヌ・シニョレの演技
がとてもいい。言ってみれば刹那的な愛だったのだ。哀れで悲しい物語である。暗
い映画だが印象的でおもしろかった。




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