猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

シャドー

2018-12-12 10:03:44 | 日記
1982年のイタリア映画「シャドー」。

ニューヨーク在住の人気ミステリー作家ピーター・ニール(アンソニー・フランシオサ)
が新作「暗闇」のプロモーションのためにローマを訪れるが、同じ頃その小説を万引き
した若い女性が自宅で何者かによって殺害される。ジェルマニ刑事(ジュリアーノ・ジェ
ンマ)の訪問を受けたニールは殺害現場に「暗闇」が散乱していたこと、殺害の手口が小
説と同じであることを聞かされて困惑するが、そこへすぐ近くにいると思われる犯人か
ら電話がかかる。内容は更なる殺害予告だった。そしてまたしてもニールの周辺で同じ
手口の殺人事件が起きる。

ダリオ・アルジェント監督のミステリー映画。ニューヨークからローマへやってきた人
気ミステリー作家のニール。彼の周りで、彼の本の内容と同じ手口の殺人事件が続けて
起きる。興味を持った彼は犯人を突き止めようと行動する。犯人はニールに異常な執着
を持っており、本の中の文章と同じように"堕落した人間"が許せない。ニールの泊まっ
ているホテルの部屋のドアの下から殺人の度に差し入れられる手紙。刑事は事件の鍵は
ニールと彼の本だと言う。
誰の妄想だか記憶だかわからないが、白い服に赤い靴の女の姿が不気味。それを思う何
者かはしばしば具合が悪くなり、薬を飲んで抑えているようだ。当然だがその女の光景
は事件と密接に結びついている。赤い靴の女のシーンや音楽が気味悪く、ああアルジェ
ントだな~と思う。堕落が許せない犯人。そしてそれはニールも同じだった。真犯人が
誰なのかわからない。ミスリードもあっておもしろい。犯人の精神世界と現実の殺人事
件を結びつけているところや、犯人目線の映し方も興味深かった。
突っ込みどころもあるし、「サスペリア2」や「フェノミナ」にはかなわないが(私はこ
の2作がとても好きだ)、なかなかおもしろかった。刑事役のジュリアーノ・ジェンマが
かっこよかった。




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フラワーズ・オブ・シャンハイ

2018-12-07 21:19:05 | 日記
1998年の台湾・日本合作映画「フラワーズ・オブ・シャンハイ」。

19世紀末の清朝末期、遊郭では高級官僚たちが毎日のように宴を催している。王
(ワン/トニー・レオン)は遊女小紅(羽田美智子)とは5年来のなじみであるが、惠
貞(ウェイ・シャオホェイ)の元へも通い始めた。泣き止まない小紅を王は懸命にな
だめるが、対処しきれず戸惑うばかり。王が訪れる度に沈み込み不機嫌になる小紅
も、そんな自分を持て余し気味。必死になだめる王であるが、婚礼にも応じない小
紅の真意が未だ掴み切れない。

ホウ・シャオシェン監督の映画。遊郭の中のみを舞台にしており、全体的に薄暗い。
だが調度品などがとても美しく、日本の遊郭のような暗く悲惨な雰囲気はない。あ
くまでも私が持っているイメージだが。それでも女性ばかりの場所なので、人間関
係は色々ある。遊女の小紅は5年来のなじみである客の王が他の遊女の元へも通い
出したことで、泣いてばかり。そんなものなのだろうか。誰のところへ行ってもい
いような気がするのだが、王と小紅は本気に近い(本気の?)恋愛をしていたようだ。
そこでいさかいが起きてしまう。
舞台が遊郭の中のみなので、物語が平坦な感じがするが、よく観ていると結構起伏
がある。色んなことが起きている。ただ途切れ途切れの撮り方なので多少退屈に感
じてしまうのは仕方ないのかもしれない。遊女たちの衣装が豪華で所作もきれい。
美人もたくさん登場する。そういったきれいさを観る映画なのかな、とも思う。ト
ニー・レオンの弁髪も印象的だが、どうしてトニー・レオンの相手役が羽田美智子
なのだろう、と思った。映像が暗い映画だが、私は割と好きである。



良かったらこちらもどうぞ。ホウ・シャオシェン監督作品です。
ミレニアム・マンボ




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仕立て屋の恋

2018-12-04 21:24:09 | 日記
1989年のフランス映画「仕立て屋の恋」。

若い女性の殺人事件の容疑者として仕立て屋の中年男イール(ミシェル・ブラン)が
浮上する。極端に几帳面で人嫌いなイールには性犯罪の前科があったからだ。しか
し彼は実は犯人ではなく目撃者だった。そんな彼の唯一の楽しみは向かいの部屋に
暮らす若く美しい女性アリス(サンドリーヌ・ボネール)の姿を覗き見ることである。
ある夜、アリスはイールが自分の部屋を覗いていることに気づく。初めは気味悪が
っていたアリスだったが、ある思惑があってイールに近づく。

パトリス・ルコント監督作品。彼の得意とする匂い立つようなエロティシズムが全
編に漂っている。若い女性が殺され、刑事は人嫌いで近所の人たちから変人扱いさ
れていて、性犯罪の前科があるイールに目をつける。実はイールは事件の目撃者な
のだが、そのことを刑事に言わない。何故ならイールは向かいの部屋の女性アリス
のことが好きでいつも覗き見しており、彼女の恋人が犯人で、アリスは犯人隠匿を
しているということを知っていたからだ。ある日アリスはイールが自分を覗き見し
ていることに気づく。イールが何を知っているのか気になったアリスは、イールに
興味を持ったふりをして近づく。
イールはイールでアリスの思惑に気づいており、それでも彼女と接触できたことに
喜びを感じる。この辺り、イールとアリスの腹の探り合いが心理サスペンスっぽく
もあり、おもしろい。フランスの人は窓にカーテンを掛けないのだろうか。アリス
の部屋は丸見えで、覗いてくれと言わんばかりである。孤独なイールにしてみれば
興味を引くのは当然と言えば当然だ。イールの楽しみはアリスの部屋を覗くことと、
ボウリングである。ボウリングが非常にうまく、この時ばかりは変人と思われてい
るイールも拍手を浴びる。そのシーンは日常とのギャップが大きく、彼の孤独さや
変態っぽさを際立たせている。
そう、イールのしている覗き見は変態行為である。そして彼はそのことにより全て
を知ってしまった。その上で、イールはアリスに一緒に海外移住をしようと持ち掛
ける。しかしそれはかなわなかった。アリスに裏切られてしまうのだ。アリス役の
サンドリーヌ・ボネールはあまり美人ではないが、美人に見えるように官能的に撮
られていると思った。変態のおじさんのかわいそうなお話である。



良かったらこちらもどうど。パトリス・ルコント監督作品です。
髪結いの亭主
イヴォンヌの香り
暮れ逢い




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