猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

タイムリセット 運命からの逃走

2015-12-13 05:40:54 | 日記
1997年のタイ映画「タイムリセット 運命からの逃走」。
ジアップ(サンヤー・クンナゴン)とワーン(ナンタリガー・タンマプリーダナン)
は家族公認の恋人同士。信心深いワーンはデートの時、必ずお寺で手を合わせる
のが習慣で、今日も2人で寺へ向かった。その帰り道、ワーンは車にはねられそう
になる。だがぶつからなかったはずなのに、彼女は突然血を出し、意識不明になっ
てしまった。ジアップは彼女を抱え、病院に運んだ。ワーンの家族も病院に駆け
つけるが、医師は原因不明の重体だと言う。絶望的な気持ちになって寺へ向かった
ジアップは、初めて心から手を合わせる。するとどこからともなく僧が現れ、原因
は彼女が前世で人を5人殺した因果応報であり、彼女を助けるためには、代わりに
死ぬ運命にある人間を5人助けるしかないと言う。そこでジアップは、未来の出来事
が載っている新聞の死亡記事をもとに、人助けに奔走する。

タイ映画らしく、とても仏教色の濃い物語だった。輪廻転生をテーマにしたオカ
ルト・ファンタジーであり、おもしろかった。急に原因不明で意識不明になって
しまった恋人。普段は信心深い訳ではない青年だが、寺に祈りに行く。そこで
僧に恋人が死にかけている理由を聞かされる。青年は「彼女は今は信心深い
善人です」と言うが、僧は「運命だ」と。
未来の出来事が載っている新聞の死亡記事って、監督のオキサイド・パンは
つのだじろう氏の「恐怖新聞」を読んだのだろうか。オキサイド・パンはホラー
映画を作る人なので、読んだかもしれない。主人公のジアップは恋人を助ける
ために、新聞を読んでは死ぬ予定の人の命を救う。そして時間との戦いでもあ
り、ジアップは常に汗をかいて走り回っている。迫りくるタイムリミット。ワーン
のために、そしてジアップのためにもこちらも必死で応援したくなる。香港出身の
監督の作品らしく、物語はスピーディーに進んでいく。そしてラストのどんでん
返しは感動的だ。
タイで大ヒットした映画らしい。ジアップ役の俳優はハンサムではないが、とて
も人気があるとのこと。私は輪廻転生を信じている。現世の徳は積まないと
いけないな~。



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リアル・ハント

2015-12-08 05:59:57 | 日記
2008年のアメリカ映画「リアル・ハント」。
ある片田舎で牧場を営む家族。4人の子育てに疲れていた母親は、産後うつに
悩まされていた。そんな中、夫が長期の出張でうつの症状が悪化してしまい、
ついに常軌を逸してしまう。

実際の事件が基になっているらしいが、こんなに恐ろしい事件が本当に起きた
のだろうか。ネットで検索しても、事件のことは出てこない。育児ノイローゼに
なった母親が、幼い4人の子供たちを殺そうとするのである。育児ノイローゼの
人は多分皆そうだと思うが、子供に対して「あんたが生まれなければ私はこん
なに苦労しなかったのに!」という感情を持つのだと思う。それがひどくなると、
子供に殺意を持つのだろう。昔からよく起きる事件である。ただこの映画の母
親の場合、それが尋常ではない。女1人でここまでできるものだろうか、という
凄さである。子供たちだけでなく、近所のおじさんや犬まで殺してしまう。
でもよく思うが、男の人って鈍いなー。実際に起きる母子心中事件や、母親が
子供を殺してしまう事件を聞くと、父親は何をしてたんだろう?と思う。妻の様
子がおかしいのに気づかないのか、見て見ぬふりをしているのか。この映画
の父親の場合は前者である。妻は映画の初めから異常な様子を見せている
のに、夫はわかっていない。もう1人子供が欲しいな、などと言っている。ブン
殴ってやりたいくらいだ。あんたね、産むのも育てるのも女なのよ。
長男(10歳くらい)は頑張った。長男役の子は迫真の演技である。この映画の
1番怖いところは、狂った母親ではなく、ラストの父親の言葉なのだと思う。



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ブルーベルベット

2015-12-04 03:51:32 | 日記
1986年のアメリカ映画「ブルーベルベット」。
父親の入院を機にジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)は大学を休学し、
生まれ故郷である田舎町ランバートンに帰郷した。ある日、父を見舞った帰りに
野原を通りかかったジェフリーは、そこで切断された人間の片耳を発見する。
その片耳を父親の友人であるジョン・ウィリアムズ刑事に届けたジェフリーは、
それが縁でウィリアムズ刑事の娘サンディ(ローラ・ダーン)と出会う。ウィリアム
ズ刑事の話を盗み聞きしたサンディによると、今回の事件には、ドロシー・ヴァ
レンズ(イザベラ・ロッセリーニ)という歌手が関係しているらしい。好奇心を覚え
たジェフリーは、サンディの協力で、ドロシーの住むアパートに無断で侵入する。

デヴィッド・リンチ監督による幻想的で倒錯的なミステリー。序盤でジェフリーが
野原で人間の片耳を発見するところから、惹き込まれる。人間の耳なんてそう
落ちてないだろう。刑事に耳を届けたジェフリーは、刑事の娘サンディと知り合い、
彼女の話に興味を持つ。刑事はジェフリーに「関わるな」と忠告するが、もう遅
かった。事件の真相を知りたくてたまらなくなったジェフリーは、異常な世界に
足を踏み入れることになってしまう。最初は協力的だったサンディも、危険を感
じてジェフリーを止めようとするが、彼の行動はエスカレートしていく。
不法侵入、覗き、麻薬、性倒錯。物語は陰惨で残酷だ。ドロシーの夫と子供を
人質に取り、ドロシーにサディスティックな行為を強いるフランク(デニス・ホッ
パー)の異常さ。デニス・ホッパーの変態的な演技が圧巻である。人工呼吸器
?のようなものを吸って興奮している姿は、思い出すだけでも気持ち悪い。
デヴィッド・リンチの映画には本当に変な人が出てくるなあ。おかまの麻薬の密
売人も変だし、彼の家に肥満の人ばかりが集まっているのも、意味がわから
ない。イザベラ・ロッセリーニの美しさはさすが。ドロシーも夫と子供を人質に
取られて精神的に参っているとはいえ、やはり異常。イザベラ・ロッセリーニの
暗い美しさが、ドロシーの異常さを強調している。耳を見つけたがために事件に
巻き込まれてしまう(というか自ら関わってしまう)ジェフリーの恐怖を、カイル・
マクラクランがうまく表現していた。ジェフリーを見ていると、ばっかねー、刑事
の忠告を聞いておけば良かったのに、と思った。
テーマ曲がとてもきれいで良かった。名作である。



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