猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

裁かれるは善人のみ

2015-12-16 22:52:18 | 日記
ロシア映画「裁かれるは善人のみ」を観にいった。
入り江のある小さな町。自動車修理工場を営むコーリャ(アレクセイ・セレブ
リャコフ)は、再婚した若い妻リリア(エレナ・リャドワ)、亡き妻との間に生ま
れた息子ロマ(セルゲイ・ポホダーエフ)と共に、祖父の代からの家に住み続けて
いる。ロマは継母であるリリアに心を開かず、反抗してばかりだ。1年後に選挙
を控えた強欲な市長のバディム(ロマン・マディアノフ)は、ある計画のため権力
に物をいわせ、コーリャの土地を買収しようと画策する。コーリャは市を相手に
訴訟を起こし、友人である弁護士のディーマ(ウラジミール・ヴドヴィチェン
コフ)をモスクワから呼び寄せた。

タイトル通り、悲惨で救いのない物語である。でもとても見応えがあって、140
分という時間を感じさせなかった。物語はコーリャの家の中から始まる。古い
家だが、妻のリリアが窓に可愛いカーテンを掛け、たくさんの植木鉢に水を
吹きかけている。明るい陽射しに清潔なキッチン。いつもいつも思うけど、ヨー
ロッパの家のキッチンってどうしてあんなに可愛いんだろうなあ。古くて決して
広いとは言えない家なのに、住みたくなってしまう。
市長から土地を買収される話が出ており、立ち退きを迫られているコーリャ。
悪代官のようなこの市長はいろんな手を使ってコーリャを破滅させようとして
いる。リリアは夫の土地への執着や、難しい年頃のロマの反抗に疲れている。
美しい顔に疲労が見てとれる。更にコーリャがモスクワから呼び寄せた、友人
の弁護士ディーマの出現によって、コーリャ一家には予想もしていなかった
不幸が訪れる。ロマがもうこんな家いやだ!と言って泣き叫ぶシーンが印象
的である。
宗教的な映画でもある。悪徳な市長にさえ信仰心はあるらしい。コーリャが
神父に何故こんな目にあわなければいけないのか、と相談した時、神父は
ヨブの話をする。コーリャは意味がわからない、と去っていく。私も初めはよく
わからなかったのだが、調べてみるとしみじみわかってきた。
コーリャのあまりにも救われないラスト。そして市長は教会の礼拝で、幼い
我が子に「神様は全て見ておられるのだよ」と説く。ゾッとするシーンである。
それにしてもロシアの人ってよくお酒を飲むなあ~。お酒飲まなきゃ話がで
きないのか?と思うくらい。
潮が引いた海辺に巨大な鯨の白骨が横たわる景色がとても印象的で、泣き
叫ぶようなエンディングの曲も良かった。


  **********************

選択性夫婦別姓でないのが憲法違反ではないという結果が出て驚いた。なん
で同姓を強要されなくちゃならないの?塚本協子さんはさぞ悲しまれたこと
だろう。別姓にして欲しいと言っている訳ではないのだ。別姓でも同姓でも
選べるようにして欲しいと言っているのだ。それのどこがいけないのか。
世界中のほとんどの国は選択できるようになっていると聞いた。同姓を強要
しているのは日本を含め3カ国くらいだとも。なんという保守的な判断だろう。
民法で夫の姓妻の姓どちらにしても良いとあるが、ほとんどの夫婦は夫の
姓で届けるだろう。女性が夫になる人に「私の姓にして」と言ったとしたら、
大抵の男性は嫌がるだろう。どっちを選んでも良い、となっていてもだ。まだ
日本では嫁をもらう、嫁ぐ、という観念が強く残っているからだ。嫁に行くの
ではなく、結婚するのだ。結婚の意味をわかっていない人(特に男性やその
両親)は多い。男女がお互い実家の戸籍を抜けて、新しい戸籍を作ることが
結婚だ。男性の家に入るのではない。一体いつの時代の話なのか。
同姓の強要はおかしいと思う。残念な判断である。



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コメント
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