猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

瞳の奥の秘密

2013-12-10 04:25:57 | 日記
2009年のアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」。
刑事裁判所を定年退職したベンハミン・エスポシト(リカルド・ダリン)は、25年前に起
きた凄惨な殺人事件を題材に小説を書こうとしていた。ベンハミンは久し振りに当時の
職場を訪ね、上司だったイレーネ・ヘイスティングス検事(ソレダ・ビジャミル)に会った。
2人は25年前の事件について語り始めた。
1974年のブエノスアイレス。銀行員リカルド・モラレス(パブロ・ラゴ)の美しい妻で23歳
のリリアナ(カルラ・ケべド)が自宅で乱暴され殺害された。現場に到着したベンハミンは、
無惨な死体に衝撃を受ける。やがて捜査線上に1人の男が浮上する。リリアナの幼なじみの
イシドロ・ゴメス(ハビエル・ゴディーノ)という男である。リリアナのアルバムの写真の
中のゴメスは、リリアナを熱い目で見つめていた。ベンハミンと同僚のパブロ・サンドバル
(ギレルモ・フランチェラ)はゴメスの居場所を捜し出し、逮捕にこぎつけるが、事件は意外
な方向へと展開していった。

アルゼンチンの映画を観たのは初めてだが、おもしろかった。サスペンスでありながら、
人間ドラマでもある。映像もきれいで重みがあった。
最初の方でリリアナ(美人でしかもかわいい)のあまりに無惨な死体に、ベンハミンと同じ
ようにショックを受けた。結婚して半年だというのに…
そして夫モラレスの嘆き、悲しみの大きさが伝わってくる。モラレスは事件後、仕事が
終わると駅に向かう。犯人がどこかの駅を利用するに違いないと思って、曜日によって
駅を変えて毎日毎日待っているのだ。その執念はリリアナへの愛によるものだ。
犯人が逮捕された時、モラレスはベンハミンに刑はどうなるのかと聞く。この国には死刑
がないので、強姦殺人は終身刑だとベンハミンは答える。モラレスはそれでいいと言う。
「死刑には反対だ。死刑にしてしまえばそれで終わりだ。犯人には長生きしてもらって、
ずっと苦しんで欲しい」というモラレスの言葉は、後にとても大きな意味を帯びてくる。
ラスト近くに事件の真相が明かされるシーンは、息を飲む。
気になるところというか突っ込みどころもいくつかあったが、とてもおもしろく、私の
好みの映画だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あの頃、君を追いかけた

2013-12-06 15:22:43 | 日記
台湾映画「あの頃、君を追いかけた」を観にいった。
1994年、台湾中西部の町、彰化(しょうか)。中高一貫校に通うコー・チントン
(クー・チェンドン)はどこにでもいる高校生。あだ名はコートン。彼にはシュー
(イエン・ションユー)、シエ(スティーブン・ハオ)、ツァオ(ジュアン・ハオチュエン)、
リャオ(ツァイ・チャンシエン)といった個性豊かな友人がいた。ある日コートンと
シューは授業中に過ぎた悪ふざけをして、教師にこっぴどく叱られる。2人は席替えを
命じられ、コートンは優等生のシェン・チアイー(ミシェル・チェン)の前の席に移動する。
チアイーはコートンのお目付役兼勉強の指導をすることになった。
実はチアイーはコートン達5人がずっと思いを寄せていた少女だった。チアイーとオカルト
好きの親友チアウェイ(フー・チアウェイ)は、いつも授業を妨害するコートン達を迷惑
がっていたが、そんなことはお構いなしに5人はバカげた方法でチアイーにアプローチを
しては、失敗していた。ある日チアイーが珍しく教科書を忘れ困っていたところを、コー
トンが助け、身代わりになって教師に怒られる出来事があり、それをきっかけにコートン
とチアイーの距離は一気に縮まっていく。

台湾お得意の切ない青春映画だ。「九月に降る風」(←私はこの映画が大好き)に似ている
雰囲気もあるが、こちらの方がずっとコミカル。
欧米の高校生はおとなっぽすぎる感じがするけど、台湾の高校生って日本の高校生とほと
んど変わらないんだな、と思った。先生の厳しさも日本の学校みたいだな、と思った。
「私は長い間問題児を見てきたが、変態は初めてだ」というセリフには笑ってしまった。
コートンの友人シェンがいつも勃起しているので、あだ名が勃起(ボーチ)というのも笑えた。
でも台湾の高校では本当にあんな厳しい罰が行われているのだろうか。椅子を頭の上に
抱えてうさぎ飛びとか、中腰で長時間立たせるとか。1994年が舞台だから今はわからない
が、日本だったら問題になるだろう。
「九月に降る風」でも驚いたのだが、台湾の高校には生徒指導や校内の安全維持などのために
「教官」と呼ばれる軍人がいるのだ。学校の中に軍人…何だか怖い。でもいずれこの制度は
なくなることが決定しているそうだ。
教室に蒋介石の写真が飾られているのも印象的だった。
主人公達はやがて大学に進学し、卒業して社会に出るのだが、高校や大学で井上雄彦先生の
噂話をしたり(天才と言っていた)、アニメオタクがいたり、日本のAVが人気があったりと、
とにかく親近感を覚えた映画だった。そういえばコートンの友人ツァオは顔もキャラクター
も及川ミッチーに似ていておもしろかった。
私は女子校に行ったので、教室で男子と勉強したり、遊んだり、ケンカしたりという経験が
ない。ちょっと羨ましい気もした。とかく男子は女子よりバカで不真面目だ。これは万国
共通らしい。それと日本人男性もらしいが、どうしてみんなあんなに女子のポニーテール
が好きなの!?これは私にはわからない。
切ないラスト。コートンはあれでいいの?と思ったが、彼らのキラキラした青春時代は
永遠に胸に残るのだろう。それでいいのかな。いい映画だった。

最近You Tubeで中国語や広東語の歌ばかり聞いていたのもあって、すっかり脳みそが華流
になってしまった
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする