猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ハウス・ジャック・ビルト

2020-04-02 22:01:08 | 日記
2018年のデンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作映画「ハウス・ジャック・
ビルト」。

1970代のワシントン州。建築家志望の独身技師ジャック(マット・ディロン)が車で人
けのない雪道を通りかかると、女性(ユマ・サーマン)が車が故障したと助けを求めてく
る。ジャックは彼女を車に乗せ修理工場まで送るが、彼女は無神経で挑発的な発言を繰
り返し、ジャックは彼女に怒りを募らせる。そしてついに彼女を殺害し、それをきっか
けにジャックはアートを創作するかの様に殺人を繰り返すようになり、理想とする「ジ
ャックの家」を建てようとする。

ラース・フォン・トリアー監督のサイコ・スリラー映画。建築家を夢見る技師ジャック
の、12年に亘る殺人の軌跡を5つのエピソードによって描いている。強迫性障害を持つ
ジャックは、自分の理想とする家を作りたいと思っていた。ジャックが連続殺人犯にな
るきっかけは、雪道で車が故障し立ち往生していた女性を助けたことだった。この女性、
困っているところを助けてもらったというのに非常に不躾で嫌な発言をジャックに浴び
せるのだ。これではジャックでなくても頭に来るだろう。とうとうジャックは彼女を殺
害するが、殺されてもあまりかわいそうだと思えないタイプの人だ。これ以降ジャック
は殺人に没頭するようになる。
物語はしばしば登場するヴァージ(ブルーノ・ガンツ)という謎の老人とジャックの対話
によって進行していく。ジャックはヴァージに自分の殺人哲学を語り、殺人をアートだ
と捉えるジャックをヴァージは非難する。この老人が何者なのかはわからない。そして
ヴァージとの対話を続けながらジャックは次々と殺人を重ねていく。その手段はとても
おぞましいものである。グロテスクな描写が多いが、どこかコミカルでもある、変わっ
た映画だ。
ジャック役のマット・ディロンは若い頃はアイドル俳優のイメージが強かったが、やは
り実力派だ。無表情で人を殺したり、強迫性障害なので被害者の家に何度も戻ったりと
いう演技は真に迫っている。ジャックは次第に理想の家を作り上げていくが、あれがジ
ャックの夢見た家だったのだろうか。その理想はどこから芽生えたのだろうか。終盤赤
いマントを着たジャックと、ヴァージが一緒に歩いていくシーンは詩的な感じがする。
グロテスクかつ詩的な映画で、トリアーらしいと思った。


良かったらこちらもどうぞ。ラース・フォン・トリアー監督作品です。
アンチクライスト
メランコリア
ニンフォマニアック Vol.1
ニンフォマニアック Vol.2




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