猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち

2017-05-24 19:58:51 | 日記
2015年のイギリス映画「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」。
1961年、元ナチス親衛隊将校アドルフ・アイヒマンの裁判が開廷された。生存者たちが
ナチス戦犯の前で語る証言は、ホロコーストの実態を明らかにする絶好の機会となる。
ナチスがユダヤ人にしたことを全世界に知らしめるため、TVプロデューサーのミルトン
・フルックマン(マーティン・フリーマン)とドキュメンタリー監督のレオ・フルヴィッツ
(アンソニー・ラパーリア)はこの世紀の裁判を撮影し、その映像を世界へ届けるという
一大プロジェクトを計画する。世界初となるTVイベントの実現のため制作チームは撮影
の準備を進めるが、様々な困難が立ちはだかる。

元ナチス親衛隊将校で、多くのユダヤ人を強制収容所に送り込んだアドルフ・アイヒマ
ンの裁判を撮影し、世界中に配信したTVマンたちを描いた実話である。こんなことがあ
ったなんて知らなかったなあ。日本でもこの裁判は放送されたのだろうか。
アイヒマンは戦後アルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、1960年に捕らえられ、収監
される。イスラエルの執念の追跡が実を結んだのである。ホロコーストの生存者たちが
証言しても、強制収容所の映像が流れても、アイヒマンは涼しい顔をしているのが怖い。
本当に普通の人だったらしいのだが、何故普通の人がこんな残虐行為を平気で行うよう
になるのだろう。「命令に従っただけ」と言うアイヒマン。時代が人を狂わせるのだろ
うか。誰でも彼のようになる可能性があるのかもしれない。そう思いたくはないが。
「強制収容所はなかった」「ユダヤ人は追放されたが虐殺はされていない」と主張する
人々がいるが、多くの映像が残されているのにどうしてそう思うのかわからない。そう
いうことにしたいのだろうか?ホロコーストはでっちあげということにしたい程ユダヤ
人が嫌いなのか。ガス室はただのシャワー室だったなんて平気で言える人たちが理解で
きない。
プロデューサーのフルックマンたちは権力に押しつぶされそうになりながら、裁判の撮
影と映像の配信にこぎつけるのだが、彼らの姿は本当に感動的。フルックマンが「脅し
には負けない」と力強く言うシーンは特に印象に残った。

ホロコーストに関心がある方には是非こちらも観て頂きたいと思う。実際の映像とナレ
ーションだけの31分のドキュメンタリー映画である。アラン・レネ監督作品。
夜と霧




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
迫力ありました。 (レビュアン)
2017-05-24 20:34:14
失礼します(^^)リアルな映画でしたね。これと「夜と霧」を見れば、やはり狂気を感じますね~
返信する
Unknown (尾崎杏子)
2017-05-25 01:24:17
コメントありがとうございます。2作ともご覧になったのですね。どちらもドキュメンタリーなので説得力ありますね!
「夜と霧」は物議を醸したらしいですが、これを作ったアラン・レネの勇気には感服します。
返信する

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