猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

休暇

2013-09-25 03:33:35 | 日記
日本映画「休暇」。
刑務官の平井(小林薫)はベテラン刑務官として日々淡々と仕事をしている。
彼が勤める拘置所には、死刑囚の金田(西島秀俊)が収監されている。金田は模範囚で、毎日
絵を描いて静かに過ごしていた。その絵はとても素晴らしいものだった。
いい年をして独身の平井に、縁談が持ち上がった。夫を亡くして幼い息子を育てている美香
(大塚寧々)である。縁談はスムーズに運び、すぐに結婚の話になった。だが美香の息子・達哉が
心を開いてくれないことが平井には気がかりだった。
結婚式を間近に控えたある日、金田の死刑執行が決まった。刑務官たちの間で、執行の際に
落ちてきた体を受け止める、”支え役”を誰がやるかが話し合われた。皆、人の死に関わる仕事は
したくないのだ。
”支え役”を担当した者は、1週間の休暇が与えられることになっていた。平井は有給休暇を使い
果たしていて、美香との新婚旅行に行けないでいたのだが、苦悩の末支え役を志願した。
同僚たちは、休暇のために支え役をやることにした平井を、「人の命の重さがわかっていない」
と非難した。

静かな映画だった。主人公の平井の生活が淡々と描かれる。刑務官の仕事は想像はつくものの、
ああこういう仕事なんだ、と改めて理解した。意外と死刑囚と親しく話したりするんだなあ、と
思った。いつかは死刑が執行されるとわかっている人と毎日接するのはとてもきついと思う。
この映画では、死刑囚・金田の犯罪について全く描かれていない。誰をなぜ殺したのか?
死刑になって当然、な人なのか、そんなに悪い人ではなかったのに、運命のいたずらで殺人を
犯す結果になってしまった人なのか。後者なら、少しだけ気の毒に思うが、その辺りの描写が
全くない。
これは、刑務官である平井の心情や行動を理解するために、あるいは共感するために、あえて
金田がどんな人間なのか(死刑囚としての現在ではなく、事件を起こすまで)を描かなかったの
かな、と思った。
気になったのが、支え役。私はテレビのニュースで日本の死刑執行について詳しく説明している
のを見たことがあるが、支え役って必要か?と思った。落ちてきた体を受け止めると言っても、
絞首刑なので床にドスンと落ちてくる訳ではなく、足場を外され落ちてくる人を、どうして
受け止めなければならないのだろう。この映画で平井は、落ちてきた金田の体に抱きつくような
行動をとっていた。ニュースで支え役のことについて言ってたっけ?と思った。
重たいけど、いい映画だった。死刑になった人の魂は、どこに行くのだろう。
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