猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

スイス・アーミー・マン

2022-11-15 21:54:42 | 日記
2016年のアメリカ映画「スイス・アーミー・マン」。

遭難して無人島に漂着した青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども
助けは来ず、絶望して命を断とうとした時、波打ち際に男の死体(ダニ
エル・ラドクリフ)が打ち上げられているのを発見する。死体からは腐
敗ガスが出ており、浮力を持っているのに気づく。その力は次第に強ま
り、死体は勢いよく沖へと動き出す。ハンクはその死体にまたがるとジ
ェットスキーのように発進し、無人島脱出を試みる。何とか別の島へ辿
り着いたが、そこにもまた人はいなかった。ところが死体が「僕の名前
はメニー」と言って、しゃべり出す。

サバイバル・コメディというのだろうか。ジャンル分けがしにくいが、
シュールでとてもおもしろかった。無人島で絶望を感じた青年ハンクは
首を吊って自殺しようとしていたが、波打ち際に若い男の死体らしきも
のを見つける。人工呼吸や心臓マッサージをしてみたがやはり死んでい
た。ハンクはもう1度自殺しようとするが、死体が動いていることに気
づく。腐敗ガスのせいで動いているのだとわかるが、死体は海に向かっ
て動き出し、ハンクは思い切って死体にまたがる。そしてジェットスキ
ーの要領で沖合を目指す。
別の島に着くが、ハンクは死体をそのままにしておくのが忍びなくて、
死体をかついで陸を捜す。孤独なハンクにとって死体でも仲間のような
気持ちになっていたのだ。ハンクは死体と共に夜を明かすが、やがて死
体は「メニー…メニー…」とつぶやき出す。驚いたハンクは「君の名前
はメニーなのか?」と話しかけ、それから死体は色々とおしゃべりを始
める。メニーにはどうやら記憶がないようで、ハンクはあれこれと教え
てやる。
ダニエル・ラドクリフは「ハリー・ポッター」シリーズのイメージを払
拭するためか変わった映画によく出ているが、これは本当にヘンテコな
映画だ。全編死体の役だなんて。でもさすがの演技力である(ポール・
ダノもだが)。登場人物は2人だけで、ラスト近くで他の人が出てくるだ
け。2人がずーっとしゃべっているだけなのだが、不思議と飽きない。
ハンクは内気な青年で、いつもバス停で見かける女性を好きだったが、
声をかける勇気はない。それに彼女は既婚者だった。けれども彼女を隠
し撮りしてスマホの待ち受けにしていて、メニーはその写真を見て彼女
のことを好きになる。
下ネタ満載の映画で、笑える。そしてハンクとメニーのやり取りがとて
もおもしろい。生きた青年と死んだ青年のサバイバルはどのように着地
するのだろうと思って観ていたが、ラストはホロリとする感じで、ハン
クとメニーの笑顔がいい。映画のタイトルはどういう意味かと思ってい
たが、スイスアーミーナイフというものがあるのだと知った。そういえ
ば聞いたことがあるような。多機能ナイフのようなもので、メニーはと
にかく色々と役に立つ死体なのでこのタイトルなのか、と思った。奇抜
すぎて人によってはおもしろくない映画かもしれないが、私はとてもお
もしろかった。




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2 コメント

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ゾンビ・サバイバル?? (ウラジーミル・アスポン)
2022-11-16 09:20:07
ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフがいきなり死体役なんてもったいないと思いました。
死んでたら、出番がオシマイになると思ったからです。

その死体は何とおしゃべりするんですね。
有名なダニエル・ラドクリフにそんなチョイ役をやらせるわけはないですね…(^^;

でも、死体が水に浮く浮力を持っているからって、死体にまたがって
無人島脱出を試みるなんて、気持ち悪いですね。
死体なんて触るのも正直、キモイです。

しかも腐敗ガスが出ているなら不衛生ですよね。

無人島に遭難して孤独でも死体を仲間にするのは御免です。
仲間にするなら、自然界にいる動物の方がイイです。

面白そうな映画ですね。話がぶっ飛んでいますね。

登場人物が少ないけど、これは飽きそうにありません。

死体なのに喋るという事は、要するにゾンビ・サバイバル映画なのでしょうね。

最後はハンクも無人島から無事脱出して普通の世界に戻ると
死体との交流は続かず、メニーと名乗る死体は埋葬されて終わりですね。
その部分を想像すると寂しいです。

生きてるモノ同士なら、無人島でのサバイバルを切っ掛けに交流が続きそうです。
Unknown (杏子)
2022-11-16 20:46:49
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。この映画、公開された当時
「ダニエル・ラドクリフが死体役」って話題になっていました。
ほんとに奇想天外な物語です。死体は青白い顔をして色々おしゃべりをします。

ハンクは1度死のうと思っていたくらいなので、もうヤケクソというか、
使えるものは死体でも使え!という心境だったのではないでしょうか(笑)
孤独なので死体と寝てもいいと思ったのでしょう(^^;)

死体がしゃべるようになってからは、2人の間に友情が生まれていきます。
メニーが生きていたら、きっといい友達になれただろうな、と思いました。

ラストはちょっと感動的です。ハンクは皆から変人扱いされるかもしれないけど、
いい終わり方だと思いました。

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