猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ソハの地下水道

2020-06-20 23:01:55 | 日記
2011年のポーランド・ドイツ合作映画「ソハの地下水道」。

1943年3月、ドイツ占領下のポーランド。下水修理業者であるレオポルド・ソハ
(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は、副業として、空き家となったユダヤ人の家
から金目のものを盗み出して生活していた。そんなある日、ゲットーからトンネル
を掘って逃げてきたユダヤ人たちを見つけたソハは、最初は金目当てで下水道内に
彼らを匿うが、次第に彼らの悲惨な境遇に同情するようになり、心を通わせていく。

アグニェシュカ・ホランド監督による、第2次世界大戦中ユダヤ人たちを助けたレ
オポルド・ソハというポーランド人の実話映画である。ソハは地下水道で働いてい
たが、空き家になったユダヤ人の家から金目のものを盗み出して下水道に隠してい
るという小悪党のような人だ。仕事だけでは生活が苦しいのでそうやって妻と娘を
養っていた。ある日ソハはゲットーから逃げてきたユダヤ人たちが下水道に隠れて
いるのを発見し、ドイツ軍に売り渡すより彼らから金品を受け取る方が得だろうと
考え、そのまま匿うことにする。
ソハは最初は決して善意からユダヤ人たちを匿ったのではなかった。あくまでも金
目当てである。けれども食料品や生活用品などをユダヤ人たちに届けたり、彼らの
生活の面倒を見たりしているうちに彼らと心を通わせていき、次第に金目当てでは
なくなっていく。そのソハの心の変化は美しいと思った。ユダヤ人たちも暗く汚く
通気も悪い下水道でよく耐えていたものだと思う。地上に出れば殺されるか収容所
送りになるかだっただろうから、仕方なかったのだろうけれど。そういう時代があ
ったという事実が悲惨で痛ましい。
やがてユダヤ人たちも金品が底を尽くが、ソハはあるユダヤ人に自分の金を渡し、
「これを皆の前で私に渡せ。無償で援助していると思われたくない」と言うシーン
は感動的だ。そしてソハにも危険が迫る。何度かドイツ兵に見つかりそうになるの
だが、迷路のように入り組んだ下水道を知り尽くしているソハはその度にユダヤ人
たちを隠して切り抜ける。見つかったら自分も死刑なのだ。
そうやってユダヤ人たちは14ヵ月もの間潜伏生活を続け、やっと自由を手にする。
14ヵ月下水道にいたってすごい。眩しい地上に出て、ユダヤ人たちとソハやソハ
の妻が喜び合うシーンは本当に感動的。素晴らしいシーンだった。ソハはその後、
娘をかばってソ連軍のトラックにはねられて亡くなったという。「ユダヤ人を助け
たから天罰が下った」と悪口を言う人もいたそうだ。名もなき英雄の実話である。


良かったらこちらもどうぞ。アグニェシュカ・ホランド監督作品です。
オリヴィエ オリヴィエ




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2 コメント

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実話とは (いごっそう612)
2020-06-22 07:45:09
実話ベースの映画ということで非常に興味がわきました。しかも泣けそうですね!機会があれば観てみます!ありがとうございました。
返信する
Unknown (杏子)
2020-06-22 16:43:05
>いごっそう612さん
コメントありがとうございます。とても感動的でいい映画でした。やっぱり実話なのでズシリと来ますね。是非是非!
返信する

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