2022年のフランス映画「ふたりのマエストロ」。
ドニ・デュマール(イヴァン・アタル)は指揮者としてパリのクラ
シック界で脚光を浴びているが、彼の父でベテラン指揮者のフラ
ンソワ(ピエール・アルディティ)は息子の活躍を素直に喜べずに
いた。ある時、フランソワの元にミラノ・スカラ座から音楽監督
就任の依頼の電話がかかるが、その一方でドニはスカラ座の総裁
から呼び出され、フランソワへの依頼がドニへの依頼の誤りだっ
たと知らされる。夢にまで見ていたオファーに浮き足立つ父に、
その真実をどう伝えるべきか、ドニは苦悩する。
指揮者の父子が最悪の依頼間違いをきっかけに互いの心と向き合
う姿を描いた人間ドラマ。パリの華やかなクラシック界でそれぞ
れ指揮者として活躍する父フランソワと息子ドニ。2人の間には
ライバル意識があり、ドニが権威あるヴィクトワール賞を受賞し
ても、フランソワは素直に喜ぶことはなかった。ある日フランソ
ワの元に、世界最高峰のミラノ・スカラ座の音楽監督への就任を
依頼する電話がかかってくる。ドニは父の成功を素直に喜べずに
いたが、翌日、今度はドニがスカラ座総裁から呼び出しを受ける。
実は就任を依頼されたのはドニで、フランソワへの連絡は総裁の
秘書のミスだったのだ。父に真実を伝えなければならずドニは苦
悩する。
とてもフランス的な物語。同じ指揮者である父と息子がライバル
意識を持っていたり、ドニには恋人がいるが元妻がマネージャー
を務めており、仕事に関しては元妻を信頼していたりと、フラン
スの個人主義をよく表していると思った。ドニの息子のマチュー
(ニルス・オトナン=ジラール)も父と祖父が指揮者で自らもピア
ノを習っているのに、「僕は音楽はやらないよ。料理の道へ行く
」と言うところなど、フランスらしいサバサバさが窺える。
そしてドニの両親は未だに結婚していないのだ。これもフランス
の「事実婚で事足りる」という社会的、文化的な面を表していて
興味深い。フランソワはスカラ座の話が来た時点で妻に「結婚し
て一緒にミラノに行こう」とプロポーズするのだが。とにかく色
んなところがフランス的でおもしろい。
クラシックの名曲がたくさん聴けるのもいい。それだけでも観る
価値はある。ワンシーンだけだが、ドニがパソコンで小澤征爾の
指揮を観ているシーンも嬉しい。1つ気になったのが、ドニは恋
人と一緒にスカラ座へ行くが、恋人のヴァイオリンの腕前で大丈
夫なのだろうかというところ。あまりうまくなかったように見受
けられるのだが…。ラストは圧巻で感動的。大団円というのはこ
ういうのを言うのだろう。とてもいい映画だった。
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ドニ・デュマール(イヴァン・アタル)は指揮者としてパリのクラ
シック界で脚光を浴びているが、彼の父でベテラン指揮者のフラ
ンソワ(ピエール・アルディティ)は息子の活躍を素直に喜べずに
いた。ある時、フランソワの元にミラノ・スカラ座から音楽監督
就任の依頼の電話がかかるが、その一方でドニはスカラ座の総裁
から呼び出され、フランソワへの依頼がドニへの依頼の誤りだっ
たと知らされる。夢にまで見ていたオファーに浮き足立つ父に、
その真実をどう伝えるべきか、ドニは苦悩する。
指揮者の父子が最悪の依頼間違いをきっかけに互いの心と向き合
う姿を描いた人間ドラマ。パリの華やかなクラシック界でそれぞ
れ指揮者として活躍する父フランソワと息子ドニ。2人の間には
ライバル意識があり、ドニが権威あるヴィクトワール賞を受賞し
ても、フランソワは素直に喜ぶことはなかった。ある日フランソ
ワの元に、世界最高峰のミラノ・スカラ座の音楽監督への就任を
依頼する電話がかかってくる。ドニは父の成功を素直に喜べずに
いたが、翌日、今度はドニがスカラ座総裁から呼び出しを受ける。
実は就任を依頼されたのはドニで、フランソワへの連絡は総裁の
秘書のミスだったのだ。父に真実を伝えなければならずドニは苦
悩する。
とてもフランス的な物語。同じ指揮者である父と息子がライバル
意識を持っていたり、ドニには恋人がいるが元妻がマネージャー
を務めており、仕事に関しては元妻を信頼していたりと、フラン
スの個人主義をよく表していると思った。ドニの息子のマチュー
(ニルス・オトナン=ジラール)も父と祖父が指揮者で自らもピア
ノを習っているのに、「僕は音楽はやらないよ。料理の道へ行く
」と言うところなど、フランスらしいサバサバさが窺える。
そしてドニの両親は未だに結婚していないのだ。これもフランス
の「事実婚で事足りる」という社会的、文化的な面を表していて
興味深い。フランソワはスカラ座の話が来た時点で妻に「結婚し
て一緒にミラノに行こう」とプロポーズするのだが。とにかく色
んなところがフランス的でおもしろい。
クラシックの名曲がたくさん聴けるのもいい。それだけでも観る
価値はある。ワンシーンだけだが、ドニがパソコンで小澤征爾の
指揮を観ているシーンも嬉しい。1つ気になったのが、ドニは恋
人と一緒にスカラ座へ行くが、恋人のヴァイオリンの腕前で大丈
夫なのだろうかというところ。あまりうまくなかったように見受
けられるのだが…。ラストは圧巻で感動的。大団円というのはこ
ういうのを言うのだろう。とてもいい映画だった。
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