猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

マンティコア 怪物

2024-05-09 21:11:28 | 日記
2022年のスペイン・エストニア合作映画「マンティコア 怪物」
を観に行った。

ゲームデザイナーとしてモンスターのキャラクターを創作している
青年・フリアン(ナチョ・サンチェス)は、パーティーで美術史を学
ぶディアナ(ゾーイ・ステイン)と出会い、ミステリアスな彼女に惹
かれていく。ある日、隣の家から助けを呼ぶ子供の声が。見ると火
の手が上がり、閉じ込められている少年・クリスチャン(アルバロ
・サンス・ロドリゲス)を救ったフリアンだったが、以来パニック
発作に悩まされるようになり、やがて彼は自身の抱える秘密が原因
でマンティコア(怪物)を作り出してしまう。

マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督が人間の心の闇を
描いた心理サスペンス。「マジカル・ガール」が非常におもしろか
ったので、期待して観に行ったが、やはりとてもおもしろかった。
ゲームデザイナーの青年・フリアンは同僚の誕生パーティーで美術
史を学んでいるというディアナと出会う。聡明でミステリアスな彼
女にフリアンは惹かれていく。ある日フリアンは自宅で作業中に隣
の家から火があがっているのを見る。助けを呼ぶ子供の声を聞いて、
夢中でクリスチャンというその少年を助ける。煙を吸ったフリアン
は救急隊に診察され、大丈夫だと言われるが、夜になって呼吸が苦
しくなり病院へ行くが失神してしまう。医師からはパニック発作だ
と言われ抗不安薬を出される。
フリアンとディアナは近づいていく。ディアナは2年前に脳卒中を
起こした父親の介護をしていると言う。しかしディアナがフリアン
の家を訪れている時、父親が亡くなったという電話が入る。フリア
ンは父親の葬儀に顔を出し、ディアナから感謝される。フリアンと
ディアナは仲良くなっていくが、フリアンはある秘密を抱えており、
悩んでいた。その秘密は普段は表面に出さないように隠していたが、
火事で吸った煙のようにフリアンの心の中でくすぶっていた。
ディアナの容姿があまりかわいくないのだが、これには理由があっ
て、あーそういうことなのねと納得させられる。フリアンの秘密は
反社会的だが、それでもフリアンがかわいそうに思えてくる。彼は
一線を超えまいと必死なのだ。そしてディアナの方も何だかおかし
い。出会い方からして不自然だし、まさか全部ディアナが仕組んだ
こと、と考えるには無理があるか。物理的に不可能だ。「マジカル
・ガール」でもよくわからないシーンがいくつかあったが、この監
督はそういう作風なのだろう。
そして予想だにしていなかった驚きのラスト。ディアナも秘密を抱
えていたのだ。それはフリアンの秘密と似て非なるものだ。でも同
じ次元のものかもしれない。ラストシーンの後のフリアンとディア
ナの行く末を考えると、ゾッとする気もするしホッとする気もする
し、複雑である。これはとても怖い映画なのかもしれない。カルロ
ス・ベルムト監督は大変な日本オタクで、「マジカル・ガール」は
日本人が観ると楽しめるはずだ(コメディではないが)。この「マン
ティコア 怪物」にも寿司だのウナギだの伊藤潤二の漫画だのが登
場し、日本オタクぶりは健在。スペインの人が伊藤潤二を知ってい
るんだなあ。



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コメント (2)
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